国内外を旅して風景や人、土地の文化を撮影するフォトグラファー、飯田裕子。独自の視線で切り取った、旅の遺産ともいうべき記憶を写真と言葉でつづる連載、第5回

TEXT AND PHOTOGRAPHS BY YUKO IIDA

 翌日はロンドンから車で少し足を伸ばして、郊外のラベンダー畑を訪れた。地平線まで一面の紫色花が揺れ、香りは風に乗り、心身ともに癒してくれる。ラベンダーは鎮静効果、抗炎症作用があり、もちろんアロマテラピーに使う香りとしてその効果を感じる人は少なくない。

 そして、自然のフィールドを歩くのが何よりも好きなのがイギリス人だ。郊外には必ずあるパブリック・フット・パスと呼ばれる小道は、牧草地から人の土地、畑をも縦断しているので、イギリスの友人と犬を連れて散歩をしたときには、カモミールの畑を通り抜けた。そしてフェンスの脇に早咲きのエルダーフラワーを見つけては摘み、家に帰ると早速シロップを作ったのだった。イギリス人の感じる旬が、日々の営みの中のハーブに生かされていた。

画像: ロンドンから車で1時間少しの郊外にヒッテン・ラベンダー・フィールドがある

ロンドンから車で1時間少しの郊外にヒッテン・ラベンダー・フィールドがある

画像: パブリック・フット・パスを歩き、カモミールの畑を通った

パブリック・フット・パスを歩き、カモミールの畑を通った

 旅人として、イングリッシュ・サマーの緑や花を愉しむことは、イギリスの人たちと喜びを分かち合うこと。気負いない、ふだん着の喜びや知恵に触れることが、旅の最善の方法だと私は思っている。

飯田裕子
写真家。1960年東京に生まれ、日本大学芸術学部写真学科に在学中より三木淳氏に師事。沖縄や南太平洋の島々、中国未開放地区の少数民族など、国内外の“ローカル”な土地の風景や人物、文化を多く被写体とし、旅とドキュメンタリーをテーマに雑誌、PR誌で撮影・執筆に携わる。現在は千葉県南房総をベースに各地を旅する日々。公式サイト

 

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