ホテルジャーナリスト、せきね きょうこが独自の視点でおすすめの東京ホテルを案内。連載第41回目は、常時開催のデザートブッフェも絶大な人気を誇る「ヒルトン東京」

BY KYOKO SEKINE

 「ヒルトン」という名を聞くたびに、私の脳裏に浮かぶ忘れられないひとつの映像がある。若かりし頃、初めて訪れた英語圏ではない海外旅行先で、不安を抱きながら慣れない空港のEXITを出たとき、大きな送迎バスが目に飛び込んできた。ボディに書かれていたのは、「Take me to The Hilton」。それはまさにヒルトンホテルのゲスト専用送迎バスだった。残念ながら私のホテルではなかったが、「困ったら、そうだ、ヒルトンに行けばいい。英語は通じるはず!」と、一気に心強さを感じたことが強く心に残っている。

 世界中に点在するヒルトンホテルは、国際的な老舗チェーンホテルの代表格である。私が目にし、かつて多くの旅行者を魅了した印象的なコピー、「Take me to The Hilton」は、このホテルの名がより広く世間に知られたきっかけともなったキャンペーンコピーであったという。

画像: 西新宿の中心に建つホテルの外観。38階建て、室内プールやジム、サウナ、屋外テニスコートなどスポーツ施設も充実

西新宿の中心に建つホテルの外観。38階建て、室内プールやジム、サウナ、屋外テニスコートなどスポーツ施設も充実

 コンラッド・ヒルトンが米国テキサス州でホテルを買い求めたのが1919年。今年は「ヒルトンホテル」の生誕100周年となる。1963年6月には、北王子魯山人の料亭「星ケ岡茶寮」の跡地(千代田区永田町。現「ザ・キャピトルホテル 東急」の所在地)に「東京ヒルトンホテル」が開業。のちに、英国のロックグループ、ザ・ビートルズの東京公演の際に彼らが滞在したホテルとして、その名が一気に浸透した。

 そして1984年9月、西新宿にある新宿国際ビルディング内に、日本初の完全外資による「東京ヒルトンインターナショナル」が誕生。現在は「ヒルトン東京」として、老舗ホテルとしての厚い信頼を誇りながらも、伝統だけにとらわれない新しさを提案している。

画像: スタイリッシュなロビーは、つねに世界中から集まるゲストでにぎわい、インターナショナルな雰囲気が漂う

スタイリッシュなロビーは、つねに世界中から集まるゲストでにぎわい、インターナショナルな雰囲気が漂う

 数多の外資系ホテルの中でも「ヒルトン東京」は日本らしさを強く意識し、館内のいたるところに「和」を表現。客室の造りにも和のテイストが色濃く見られる。柔らかなオフホワイトの色調と木の温もりを基調とした客室には、障子と襖が配されている。また、オープン以来、食の大切さをモットーに、“ヒルトンジャパン”としてつねに新しい食の提案を続けている。

画像: 「ヒルトンルーム」<28~35㎡> 障子や襖もあり、アースカラーで落ち着いた雰囲気が人気

「ヒルトンルーム」<28~35㎡>
障子や襖もあり、アースカラーで落ち着いた雰囲気が人気

画像: 「タワースイートキング」<66㎡> 2019年4月にオープンしたエグゼクティブフロアにある客室のひとつ。ジャパニーズモダンの贅を尽くしたインテリア

「タワースイートキング」<66㎡>
2019年4月にオープンしたエグゼクティブフロアにある客室のひとつ。ジャパニーズモダンの贅を尽くしたインテリア

 東京のホテルの中で、「どこにも負けない」とスタッフが自慢するひとつが、1階のマーブルラウンジで常時開催されているデザートブッフェだ。季節感のあるスイーツのオンパレードに、毎日、ウィークデイでさえ目を疑うほどのファンが列をなしている。全席予約限定のため、並んでいるのは、すでに席を確保済みのゲストたち。幅広い年齢層の女性たちが、開店30分以上も前からマーブルラウンジの周囲に並ぶ様子は圧巻だ。

画像: ロビーに続く1階の「マーブルラウンジ」。デザートブッフェの時間帯は、このラウンジの周囲をデザートファンが取り囲むように並ぶ

ロビーに続く1階の「マーブルラウンジ」。デザートブッフェの時間帯は、このラウンジの周囲をデザートファンが取り囲むように並ぶ

 現在は、2018年12月26日にスタートした苺のフェアがあまりの好評のため、6月3日まで開催を延長して開催中。「ストロベリーCATSコレクション」として、パリを舞台に、猫が案内するストーリー仕立てである。

画像: 年に一度は開催される人気の「ストロベリーデザートブッフェ」。毎年テーマを変えて、工夫を凝らしたブッフェが展開される。2019年はパリの街を猫が案内するというファンシーな「ストロベリーCATSコレクション」。これでもかと並ぶ、苺のスイーツはどれも魅力的

年に一度は開催される人気の「ストロベリーデザートブッフェ」。毎年テーマを変えて、工夫を凝らしたブッフェが展開される。2019年はパリの街を猫が案内するというファンシーな「ストロベリーCATSコレクション」。これでもかと並ぶ、苺のスイーツはどれも魅力的

画像: 6月4日(火)から、ストロベリーに代わって始まる「Happyハニー・ホリック」。ハチミツやチーズ、レモン、マンゴーなど鮮やかな黄色づくしで、夏にぴったりのブッフェだ

6月4日(火)から、ストロベリーに代わって始まる「Happyハニー・ホリック」。ハチミツやチーズ、レモン、マンゴーなど鮮やかな黄色づくしで、夏にぴったりのブッフェだ

 つねににぎわう1階のマーブルラウンジとはまた別に、2階のダイニングフロア「TSUNOHAZU」の斬新な提案も受けている。つのはずは、漢字ならば「角筈」。かつて西新宿のこの辺りを指した地名である。総面積2171㎡、豪快なグリルや繊細な日本料理、ホテル開業以来の人気を博す中国料理、スタイリッシュなバー&ラウンジなど、2014年10月にリニューアルしたダイニングフロアは、仕切りのない自由な雰囲気ながら、それぞれ個性的で斬新、高級感の漂う店づくりが印象的だ。

画像: 「エグゼクティブ ラウンジ」 37階にリニューアルオープン。3つのゾーンに分かれ、モダンなデザインの中にも和の感性をとり入れた贅沢な空間 PHOTOGRAPHS: COURTESY OF HILTON TOKYO

「エグゼクティブ ラウンジ」
37階にリニューアルオープン。3つのゾーンに分かれ、モダンなデザインの中にも和の感性をとり入れた贅沢な空間
PHOTOGRAPHS: COURTESY OF HILTON TOKYO

 さらに、この4月27日には「エグゼクティブ ラウンジ」が改装を経て新たにデビュー。ラウンジ内は和の雰囲気をとり入れた3つのゾーンに分かれ、いずれも落ち着いたアースカラーの贅沢な空間である。37階という高層階からの眺望も満喫できる。エグゼクティブフロア滞在のゲストは、ここで朝食から午後のティータイム、カクテルタイム、そしてナイトキャップまで、自由に、プライベートなくつろぎの時を過ごすことができる。

 利用者はこのホテル名に厚い信頼を寄せ、それだけに期待するところも大きい。「ヒルトンホテルらしさ」は、そうしたゲストの望みを素早くキャッチし、それを行動に移す迅速さや、グローバルなマインドとともに日本的な細やかさも兼ね備えたサービスにある。ブランドホテルとして培った、長い経験のたまものだろう。

 

ヒルトン東京(HILTON TOKYO)
住所:東京都新宿区西新宿6-6-2
電話: 03(3344)1111
客室数:825室
料金:¥25,000~(1泊1室1名の料金。消費税・サービス料別)
公式サイト

せきね きょうこ
ホテルジャーナリスト。フランスで19世紀教会建築美術史を専攻した後、スイスの山岳リゾート地で観光案内所に勤務。在職中に住居として4ツ星ホテル生活を経験。以来、ホテルの表裏一体の面白さに魅了され、フリー仏語通訳を経て、94年からジャーナリズムの世界へ。「ホテルマン、環境問題、スパ」の3テーマを中心に、世界各国でホテル、リゾート、旅館、および関係者へのインタビューや取材にあたり、ホテル、スパなどの世界会議にも数多く招かれている。雑誌や新聞などで多数連載を持つかたわら、近年はビジネスホテルのプロデュースや旅館のアドバイザー、ホテルのコンサルタントなどにも活動の場を広げている
www.kyokosekine.com

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