TEXT AND PHOTOGRAPHS BY NAMI IKUMA
プロからも高い評価を得るヘッドスパメソッド
「ラ・カスタ」は1996年に長野県大町市で生まれた国産のナチュラルヘアケアブランドだ。まだ世にオーガニックやナチュラルコスメが認知されていないころから、植物エキスや精油の力を生かしたヘアケア製品を世に送り出してきた。美容系プレスの間では、その製品とあわせてヘッドスパのオリジナルメソッドはよく知られた存在で、「ラ・カスタ=ヘッドスパ」というくらい、高い評価を得ている。
今回たずねるのは、ラ・カスタ銀座本店に併設された「ヘッドセラピー ヒーリングスパ」。たった1席だけ設けられた特別な空間だ。

知る人ぞ知るラ・カスタ銀座本店の隠れ家スパ。絵画のような美しい風景は、長野県大町市にある同社の「ナチュラル ヒーリング ガーデン」の風景
今でこそ、めずらしくなくなったヘッドスパだが、私が女性誌編集部の新米美容担当だった90年代中頃は、巷にそのようなものはほとんどなかった。当時、ヘアサロンで受けられるのはあくまで「髪」を対象にしたサロントリートメントが一般的で、頭皮を本気でケアしていたのは、男性用の育毛サロンやマダムのための高級サロンくらい。女性の頭皮についてはほとんど放置されていたように思う。意外にも「頭皮は髪の土壌」という概念が広く根付いたのはつい最近のことなのだ。

全国のラ・カスタ直営店の中でも、ヘッドスパ設備のある直営店は銀座本店のみ
カウンセリングで自分の頭皮に向き合う
担当してくれたのは、ヘッドセラピストの細川ひろ子さん。「ラ・カスタ ヘッドセラピー ヒーリングスパ」設立時よりヘッドセラピストとして参画し、オリジナルヘッドスパメソッドの基軸を作り上げたのがこの方。プレスやセレブリティなど、長年多くの女性を癒してきた。
最初に細かいカウンセリングシートに今日の自分の状態や、ふだんのヘアケアについて書き込んでから、スコープで頭皮のチェック。さっそく頭頂部から状態を見てもらう。

頭頂部、側頭部、後頭部と入念に頭皮の状態をチェックし、アドバイスをする細川さん。占い師のように私の生活の状況を言い当てていく。これまでいったいどれだけの人の頭皮を見てきたのだろうか…
「毛細血管が透けてうっすら赤くなっていますね。これは血流がいいというより、目の疲れからくる血行不良なんですよ。お仕事でお疲れなんですね」と細川さん。職業柄、PCの前に座っている時間は、相当長い。しかも昨日は締め切りで睡眠不足でもあって…と思わずいいわけ。
「後頭部にも似たような赤みがありますが、これは首こり、肩こりの影響ですね。側頭部は乾燥気味です。皮脂づまりは頭頂部に少しあっただけで、あとはとてもきれいでした」(細川さん)

後頭部の血流が透けているところ。頭皮の乾燥も見てとれる
肩こりは慢性的で、乾燥は年齢的に仕方がないとはいえ、私自身がシャンプーのテクニックを指南することもあるだけに、皮脂づまりがないと聞いてほっと胸をなでおろす。このように正確な頭皮の状態を教えてくれると、自分の頭皮を客観的に見つめるきっかけになる。
エイジング頭皮と髪をスキンケア級にいたわるコース

スタート前に、本日のヘッドスパで使われる製品のラインナップを説明してくれる
慢性的な目・肩・腰の疲れにさらされ、更年期世代の私にとすすめられたのが、新しいエイジングヘアケアライン「アロマ リヴァイタ」をフルで試せるコースだ。
髪や頭皮も顔と同様、老化は進んでいる。ただ、髪は気づきにくいだけだ。
肌の場合は加齢とともに、透明感が失われて黄色くくすんだり、乾燥でカサついたり、弾力がなくなってシワやたるみが起きたりする。
これらの老化を起こしているのが「カルボニル化」「糖化」という現象だ。ここ数年、一般にもよく耳にするようになってきたキーワードだが、「アロマ リヴァイタ」はまさに、それを頭皮におきかえて「カルボニル化」「糖化」にアプローチするものだ。
「カルボニル化」とは酸化した脂質の代謝物がタンパク質を黄色く変色させ、弾力低下や乾燥を招く現象。「糖化」はタンパク質と糖が結びついて黄色くくすみ、コラーゲンやエラスチンを劣化させる現象をいう。
頭皮も肌であり、髪はそこから生まれるものだ。頭皮で糖化やカルボニル化が起こると、髪のツヤがなくなったり、ストレートだった髪がチリチリしたくせ毛になったり、白髪や薄毛になったり。若い頃は青白かった頭皮は黄ぐすんだり、赤みや炎症が出たり、乾燥したりする。
つまり、美髪を目指すのならば、頭皮の糖化やカルボニル化をケアするような、顔のスキンケア級のエイジングケアが必要なのだ。私たちは意外とここが盲点になってはいないか? ここにダイレクトに響かせてくれる「アロマ リヴァイタ」のヘッドスパ、さっそくスタート!
プロの手による頭皮クレンジング&シャンプー
施術前の準備運動として、軽く肩や頭皮をほぐしてからスタートする。そのほうが血流が上がりやすいからだ。やさしいタッチでこれから始まるリラックスのツアーに誘われる。

ふわふわのバスローブ、心地よいチェア。やさしく頭皮に触れられたら、この時点で交感神経のスイッチが勝手にオフになってしまう
髪をブラシでといてざっとほこりや汚れを落としたら、ディープクレンジングをなじませ、本格的なマッサージに入る。
肩、首、デコルテ、背中までケアしてくれるのがラ・カスタのマッサージ。ガチガチの背中に手を入れて肩甲骨周りの筋肉をほぐされると、体に溜まっていた無用な力みが抜けていき、真のリラックスが訪れる…。

抜け毛や白髪に効果のある耳上のツボ「角孫(かくそん)」を引き上げながら押す。リフトアップも期待できるので、セルフマッサージでもぜひ取り入れたいツボ
次はシャンプーへ。ここでいつも気になっているシャンプーを頭皮につける前の泡だて具合について聞いてみた。この問題、教えてくれる人によって意外と違うのだ。
「シャンプー剤に水を加えて手のひらに広げて少し泡立てます。小さな泡がこのくらいできたところで、頭皮を中心に髪に塗布します」と細川さん。手のひらで洗顔のときのように泡立てなくても、髪の上で空気を含ませながら洗うことで、十分な泡で洗うことができるのだ。

毎日のシャンプーでもこのくらいの泡立ちで頭皮に塗布するといい。こんな風にふだんのケアのコツを聞けるので、ホームケアを見直したい、今やっている方法を確認したいという人にもこのヘッドスパはうってつけ

ラ・カスタのマッサージメソッドは引き上げるような動きがメイン。終了後、顔のリフトアップを実感する人が多いそう!
細川さんの手が空気を取り込むように大きく動くと、みるみるきめ細かい泡ができて、モッコモコ状態に。ゆったりとしたリズムで頭頂部にある百会(ひゃくえ)というリラックスのツボが刺激されると、脳内の緊張が一気にほどけるようだ。
きめ細かく弾力のある泡は、まるで幸せなクッション。シャンプーの泡は人を癒す効果もあるのだと実感する。ちなみにこちらのガウンもこだわりの一着だそうで、綿菓子みたいにふわふわもこもこ。全身ふわもこに包まれたその浮遊感といったら…!
すっきりきれいな頭皮になって仕上げへ
施術はいよいよピークへ。泡を流してすっきりきれいになった頭皮に、たっぷりの栄養を与えていく。皮脂や不要な汚れを吸着するクレイ(モンモリロナイト)をはじめとする植物由来成分を配合したマッサージクリームを塗布。最後に仕上げのマッサージ。

アロマ リヴァイタのマッサージクリームの効果に感動し、今は自宅でも使用中。頭皮の赤みが消えて地肌の透明感が増す。シトラスハーブの精油の香りも心地よい
仕上げは丁寧なブロー。ラ・カスタのヘッドスパの特別感はこのひとりひとりへのおもてなしの心だ。私の髪を大切に大切に、心をこめて扱ってくれる…そんなサービスがしみじみとうれしい。

オリジナルのブラシを使って丁寧にブロー&ブラッシング。ラ・カスタのブラシはブランドの人気アイテムでもある
厳選された植物成分のプロダクトと、頭皮を癒すヘッドスパ技術の合わせ技で、こんなに美髪になってしまった。そして、私もリフトアップと肌の透明感をしっかり実感!

この天使の輪とボリューム感。ほのかに残る精油の香りで、1日中幸せな気分に

階下のショップではその日使ったアイテムを購入できる。サロン専売品も含めたラ・カスタ製品のすべてが揃う
頭皮と髪、どちらも最上級のエイジングケアをしながら、体も心も癒され、ストレス過多の現代人が活力をもらえる、ラ・カスタのヘッドスパ。体感すれば、髪を大切にする大人の女性たちが月に一度ルーティンとして通っている、というのもうなずけるはずだ。
■今回体験したヘッドスパメニュー
アロマ リヴァイタ デュアルエイジングケア* ヘッドセラピー 100分 ¥18,700
*年齢に応じたケア
ラ・カスタ ヘッドセラピー ヒーリングスパ
住所:東京都中央区銀座3-7-13 ラ・カスタ銀座本店2階
時間:11:00〜 ※受付終了時間は松屋銀座営業時間に準ずる
定休日:年末年始を除き年中無休
TEL. 03-5579-9477
ヘッドスパ予約専用電話番号:0120-72-6078
公式サイトはこちら

伊熊奈美
美容エディター、ジャーナリスト。(公社)日本毛髪科学協会毛髪診断士認定指導講師、(社)国際毛髪皮膚科学研究所毛髪技能士。20年以上に渡り、女性誌を中心に美容分野の記事を編集、執筆、監修。美容関連企業のコンサルティングにも携わる。著書に『頭皮がしみる、かゆいは危険信号!いい白髪ケア、やばい白髪ケア』(小学館)、『脱白髪染めのはじめかた〜でもいきなりグレイヘアは無理』(グラフィック社)がある。 @namiikuma_hairista
COURTESY OF NAMI IKUMA
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