エルメスが最新ハイジュエリーコレクションを発表。ジュエリー部門クリエイティブ・ディレクターのピエール・アルディが見つめたのは、内なる声だった

BY ALICE CAVANAGH, TRANSLATED BY CHIHARU ITAGAKI

 ジュエリーは昔から自己表現のためのツールだった。しかし、もしネックレスやブレスレットといったものが、我々の感覚や感情が身体にもたらす微妙な変化を写し出し、外の世界からも見えるものにすることで、身体の内なる作用を表現しうるアイテムなのだとしたら? これが、2001年からエルメスのジュエリー部門クリエイティブ・ディレクターを務める――そして2010年に始まったハイジュエリーコレクションも手がけている――ピエール・アルディが、最新コレクションについて考え始めたときに、最初に抱いた問いだった。

 宝石で飾られた貴重なジュエリーからなるこのコレクションは、今年9月末に発表された。「できる限り肌に密着するようにしたかった。非常に洗練されていてかつ控えめな方法で、心の内で起こっていることを外側に見せようとしたのです」と彼は、パリにあるアトリエからオンライン電話で説明した。アルディがインスピレーション源にしたのは、聴診器などの器具。どんなにわずかな生命の痕跡も、まるで魔法のようにわかりやすい形に変えて、身体的反応を読み取るための道具だ。

画像: ネックレス “Contre La Peau(コントル ラ ポ) ” PHOTOGRAPH BY ANGE LECCIA

ネックレス “Contre La Peau(コントル ラ ポ) ”
PHOTOGRAPH BY ANGE LECCIA

 その結果として、45アイテムからなる今回のコレクション“Lignes Sensibles(リーニュ・サンシブル)”は、表情豊かでありながら親密な雰囲気もあり、ときに官能的なものとなっている。流線型で軽やかなジュエリーは、それを身につける者の体に寄り添うように、アルディの言葉を借りれば「愛撫するように」デザインされている。あるネックレスは、レースのように編んだローズゴールドにきらめくブリリアント・カットのダイヤモンド867個があしらわれ、キラキラと輝く格子柄となって、首から鎖骨にかけてをそっと覆う。またホワイトゴールドのチェーンとダイヤモンドからなるイヤーカフは、耳のカーブに優しく添い、ひときわ大きいダイヤモンドがひとつ、両端に雫のようにぶら下がっている。

 幾何学的なフォルムとシンメトリーの感覚、これは両方ともアルディの生み出す美しいクリエーションに不可欠な要素だが、そのふたつが身体にある経絡と反響しあっているかのようだ。一方でいくつかのアイテムはもっと直接的に解剖学的なデザインをしている。たとえば、サテン仕上げのピンクゴールドの地に、カボションカットのピンククオーツがはめ込んであるカフブレスレット。重量感があって硬質なこのブレスレットは骨にも似た形をしていて、その輪郭は橈骨(手首の骨)の形をなぞっている。

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