エルメスが最新ハイジュエリーコレクションを発表。ジュエリー部門クリエイティブ・ディレクターのピエール・アルディが見つめたのは、内なる声だった

BY ALICE CAVANAGH, TRANSLATED BY CHIHARU ITAGAKI

 アルディは、ジュエリーを身につける人の顔色と調和するような色、あるいは少なくともその人自身の肌の色調と反響し合うような色の素材を選んだ。彼はまた、瞳の色や唇の色も参考にした。その人の気分によって、または1日の時間帯によっても色合いが変わるところに興味を引かれたのだ。その結果、このコレクションはピンクゴールドとダイヤモンドに特化したものとなった。アルディはそれらの素材を、ジュエリーを身につける人がもつ生来の輝きを増幅する効果があると見込んで採用した。また、色調が変化して見える、カボションカットされたニュアンスカラーの石、たとえばブルーグレーのトルマリン、スモークベージュのクオーツ、グリーンイエローのプレナイト、クリーム色のムーンストーンといった石も、同様の理由から採用された。

画像: イヤリング “Hermès Réseau lumière(レゾ リュミエール)”

イヤリング “Hermès Réseau lumière(レゾ リュミエール)”

 コレクションのルックブックは、コルシカ島出身のアーティストで、感情に訴えかける写真や映像作品で知られるアンジュ・レッチアが撮影した。アイテムの上に重なるように雲や木々、海の写真が投影されて、ジュエリー本来の陰影を強調し、肌と金属の境界を曖昧にしている。「このジュエリーは、古代インドから伝わる、身体にあるとされているエネルギーポイントのチャクラに似ています」。添付された文章の中で、アルディはそう示唆している。「神秘的なものとしてだけでなく、私なりの方法で、光が流れ込み、さまざまな美の効果を生み出す繊細なチャクラを新たに見つけ出そうとしました」

画像: ブレスレット “Hermès Faire Corps(フェール コール)” PHOTOGRAPHS BY ANGE LECCIA

ブレスレット “Hermès Faire Corps(フェール コール)”
PHOTOGRAPHS BY ANGE LECCIA

 ジュエリーコレクションは年に2回新作が発表される一方で、ハイジュエリーコレクションは隔年の発表としている。その理由は、このメゾンが生み出すハイジュエリーの多くは、制作に何百時間もかけられているからである。これこそまさに、アルディが述べるように、このアートともいうべきジュエリーが魅惑的なものであり続けている理由だ。彼はこう言う。「宝石が誕生するまでには何百万年という歳月がかかり、今の状態で発見されるまでに、さらに何年という月日がかかります。そしてそれから何時間もかけてはめ込んだり、型に入れたりして、それぞれのジュエリーが完成するわけです」

 彼がこのコレクションの構想を抱いたのは、だいぶ前のことだ。とはいえ、今のように触れ合うことや一緒にいることが制限される状況においては、このコレクションのフィジカルな接触や身体感覚というテーマが、特別に強く胸を打つものに感じられる。「おそらく、何かを予見していたのかもしれません」とアルディは言った。
「ですが私には、この静謐なコレクションを作る必要があった。あなたの声を聴き、あなたに気配りをしてくれて、あなたを大切にしてくれるとさえ言えるような、そんなジュエリーを作りたかったのです」

問い合わせ先
エルメスジャポン
TEL. 03(3569)3300
公式サイト

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