オーレンはイスラエルのテルアビブ生まれだが、思春期のほとんどを、ここサンフェルナンドバレーで過ごした。彼女がケータリング会社で働き始めた頃、オーレンの緻密な仕事ぶりに(今はなくなってしまった)いくつかの企業が注目し、バル・ミツワー(ユダヤ教の男子が13歳になる時に行われる成人式)や結婚式をする際、彼女にプランニングを頼んだ。オーレンは、こうした仕事こそ自分の天職だと悟った。「私はもともと、かなりO.C.D(強迫性障害)的なところがあったの」と彼女は言う。



 ロスの成功者たちのサクセスストーリーには、必ず転機となる大きな出来事があるものだ。2001年、オーレンにも大きなチャンスがめぐってきた。テレビドラマ『Arrested Development(邦題:ブル~ス一家は大暴走!)』に出演する前のジェイソン・ベイトマンとアマンダ・アンカの結婚式だ。それから3年後には(興行的に失敗に終わった映画『ウォーターワールド』の後で)、ケヴィン・コスナーのコロラドにある牧場で、クリスティーン・バウムガートナーとの結婚式を手配することとなった。もちろん、人気の浮き沈みはつきものだが、セレブリティはやはりセレブリティだ。



 ハリウッドの有名人たちが次々とオーレンの名刺をローロデックス(卓上型の名刺入れ)に入れるにつれて、彼女の信奉者となる有名人は増えていった。たとえば、リース・ウィザースプーン、アン・ハサウェイ、映画プロデューサーのドナ・ラングレー、女優のマリシュカ・ハージティ、ドリュー・バリモア、マルーン5のアダム・レヴィーン、ナタリー・ポートマン、ジョージ・ルーカスとメロディ・ホブソン夫婦などだ。



 顧客リストはまだまだ続く。私はなんとか彼らの名前を聞き出そうとオーレンを口説いたが、うまくかわされてしまった(タブロイド紙に彼女のイベントの写真や情報が取り上げられるのは、有名人やゲストたちが自ら情報を提供しているからだと彼女は言う)。ゲストひとりあたり最低でも2,000ドルを支払うクライアントに関して、予防措置を講じてやりすぎということはない。コードネームを使い、秘密保持契約を結び、スパイのまねごともする。望遠レンズを持ったパパラッチがパーティに現れないように、あらゆる手を講じるのだ。





「彼女は、一般的なパーティプランを練るような人たちとは、まったく違う存在なの」とドリュー・バリモアはメールで答える。「彼女は信頼できるし、尊敬されてもいる。とてもタフで、彼女がついていてくれるだけで私たちは安心できるの」



 オーレンにはフルタイムでサポートするスタッフが10人いるが、パーティの規模によっては、最大40名ほどのパートタイムスタッフを雇うこともある(今年の始め、オーレンは元従業員に対して訴訟を起こした。経営のパートナーにまで抜擢したものの、その後ビジネス関係が空中分解。現在、この訴訟は裁判所で調停中だ)。



 パーティは、砂漠のど真ん中で開いたり、アートギャラリーで開催したり、プライベートヨットの上で行ったりもする。時には、クラアントからテーマが設けられるときもある(「私が大好きなクライアントの一人は、大晦日のパーティを開く時に『マリー・アントワネットがやりそうな感じに』なんて言うのよ!」とオーレン)。たいていの場合、彼女はその希望通りにパーティをアレンジするようにしている。「顧客を知れば知るほど、彼らがどういったタイプのイベントをやりたいのか理解できるようになるの」と彼女は言う。「依頼人が行きたいのはトルコのタンジールなのか、イスタンブールなのか? メキシコのトゥルム遺跡なのか、ビーチリゾートのカボ・サン・ルーカスなのか? どんなタイプのホテルに宿泊したいのか、とかね。その人の服装や、自宅をどんな風に飾っているかも見るようにしているの」



 非常に多くのリクエストをしてくる顧客もいるが、たいていはそれに見合う予算を出してくれる。砂漠で開催される『バーニングマン』というイベントに触発されたパーティイベントがメキシコで3日間にわたって行われたときは、地元のレース飾りの職人たちを雇うことを求められた。また、ある双子のバル・ミツワー(ユダヤ教の男子の成人式)のために、招待状やオリジナルのギターピック、卓球台の2面にまで彼らのシルエットの鏡像を印刷したこともあった。「でも、毎回同じことを同じホテルの宴会場やつまらないカントリークラブで繰り返しやるんだとしたら、この仕事はまったく魅力のないものになってしまうでしょ?」





 ハリウッドの4大エージェンシーのひとつ「クリエイティブ・アーティスト・エージェンシー」で代理人を務めるマハ・ダヒルとマイケル・キブスは、組織内で催されるオスカー・パーティをプロデュースするためにオーレンを雇った。「最初に電話で話した時から、オーレンはケイン・グリフィン・コーコラン・ギャラリーで開くべきだと主張したんだ」とキブス。「オーレンは、それぞれの部屋をまったく違う雰囲気に変えてくれた。いまでもその時のことをみんなで語り合ってるくらいだよ」



  オーレンは、何にでも“イエス”という人物ではない。「私たちがこうしたい、とアイディアを出しても、彼女はすぐに、それは間違っていると言ってくるのよ」とダヒル。「でも、彼女のそうした強い主張と揺るぎない自信こそが、私たちを安心させてくれるの」



 シトロン家の裏庭で開かれたパーティは、オーレンの基準からすればやや控えめな方だったが、じゅうぶんにお祝いの気持ちのこもったものとなった。「私のやりたいのは、人生を祝うこと」と彼女は言う。「毎年、何か嫌なことって起きるものでしょ? そんなこと考えたくはないけれど、誰かが病気になったり、離婚したり、身近な人が亡くなったり。それでもなんだかんだで、また夏がやってくる。私はこういう仕事ができることをとても幸せに思っているわ。いいパーティーを作ることが大好きだから」




<ガーデンパーティを成功させるの5つの秘訣>


1.灯りの演出は重要!

キャンドルだけではもの足りない。「屋外ではもう少し明るくするべきね。一番シンプルな方法は、いくつもの電球が連なったひも状のライトを使うこと。ホームセンターのホーム・デポやアマゾンプライムでも売っているわ」


2.主催者として“もてなす”ことを忘れずに

「素晴らしい主催者になるにためは、お客様を快く迎え入れ、丁寧に挨拶して、全員にカクテルが行き渡るように気配りすること」


3.料理内容も計画的に

「ケータリングを使わないなら、料理は常温でも大丈夫なものに。そうすれば、出すタイミングに焦らなくても平気だから」

 

4.カジュアルに、乾杯!

「どこかの時点で、参加者の注目を引いていっせいに乾杯をしましょう。フォーマルになる必要はないけれど、グラスをチャリンと鳴らし、感謝をこめて丁寧に振る舞うこと。そして、愉快な会話を楽しんで。だけどやりすぎには注意すること」

 

5.席に着かせること

「私は、テーブルを囲む着席ディナーが好き。ゲストの座席の位置を決めるのには、かなり注力しているの。お互いにもっともいい面を引き出せるような相手は誰かしら? って。そして食事の時間は長すぎないように。誰もテーブルにずっと留まっていたくないでしょ。食事が終わってからがパーティの本番なのよ」