BY NAMI IKUMA

増えゆく白髪に翻弄されないセルフケアを身につける
30代、40代、50代、60代の各年代の女性に髪悩みを聞くと、どの年代でも必ず1位・2位にランクインされるのが「白髪」だ。
そのインサイトを深掘りすると、白髪の出始めは「1〜2本あるのが気になる」から始まり、やがて白髪の比率が増え、ヘアカラーや白髪染めを1〜2か月に1度定期的にするようになると、白髪だけでなく髪のダメージがついてきて、悩みが二本立てになる。
そこからさらに白髪量が増えると「2〜3週間に1度根元を染めないと気になってどうにも落ち着かない」「繰り返す白髪染めと年齢による髪質変化で髪はいつもダメージがひどい」と問題がさらに大きくなり、気持ち的に「染め疲れ」のような状況になってしまう。
ヘアカラーによる頭皮と髪のリスクについては後述するが、ヘアカラーの頻度はできるだけ少ないほうがいい。今回はヘアカラー以外の方法で、かつ「自分で」白髪を黒髪になじませられる最新のアイテムとその方法を紹介する。
【初期・中期の白髪に】
気づいたらさっと使えるワンデイリタッチアイテム
ヘアマスカラ、黒いファンデーション、振りかける黒い粉……など、ワンデイリタッチはずいぶん昔から存在していた。これらはアイシャドウや口紅のようにメイク品と同じような顔料から作られているが、平面的な肌と違い、毛髪の場合は顔料の粉体を定着させることが難しい。さらに、汗や皮脂が出やすい頭皮に近いことに加え、すぐ手で触れてしまうために落ちやすく、正直「あまり人気のない化粧品」だったかもしれない。
それがいまや、技術進化でちゃんと長持ちする処方になったものが多く登場。最近驚いたのは、昨年発売された5日間もつというヘアマスカラ。一度のケアで5日間根元がカバーできるとあり、白髪ケアライフに革命が起こりそう!
色持ち約5日間!マスカラタイプ
「ブローネ リタッチマジック」

約5日間もつけた色が長持ちすると評判のヘアマスカラ。つけた後すぐにドライヤーで乾かすことで、色が定着。実際に使ってみると、髪を洗った翌日も本当に白髪が染まったままで驚いた。根元から毛束を持ち上げて少し引っ張りながらつけることでうまく塗ることができる。「ブローネ リタッチマジック」全6色 (14ml)¥2,200(編集部調べ)/花王
COURTESY OF KAO
問い合わせ先
花王(ヘアケア)
TEL. 0120-165-692
幅広マーカーで塗りやすさ抜群!
「サロン ド プロ リタッチワイドマーカー」

幅が広く、まとめて白髪を一掃できるマーカータイプの便利な逸品。塗った後の色が落ちにくく、地肌を汚さないため、生え際から分けめの白髪までマルチに活躍してくれる。「サロン ド プロ リタッチワイドマーカー」全3色(20mL)¥1,298(編集部調べ)/ダリヤ
COURTESY OF DARIYA

着色防止ガード付きのマーカー部分。顔まわりの生え際(約1cm)の使用で、約50回(※)使える大容量なのもうれしい。
※白髪の量や使い方によって異なります
COURTESY OF DARIYA
問い合わせ先
株式会社ダリヤ お客様相談室
TEL. 0120-57-2152
【初期・中期・後期の白髪・グレイヘア】
ヘアカラートリートメントは黒髪と白髪の名繋ぎ役!
ヘアカラートリートメントは2000年以降に化粧品界で広まった比較的新しいアイテムだが、コロナ禍によって、急速に認知度が上がった。1・2剤式で箱に入った医薬部外品のヘアカラー剤(アルカリカラー)とは違い、たいていチューブ式の1本で市販されている。
ヘアカラー剤は医薬部外品という分類である一方、ヘアカラートリートメントは半永久染毛料の化粧品に分類されるが、この2分類は染める仕組みによって分けられている。ヘアカラー剤は、毛髪の最外層を覆うキューティクルを開き、元のメラニンを脱色すると同時に染料を酸化させ、毛髪内部に閉じ込めるという仕組みをもっている。
一方、ヘアカラートリートメントはキューティクルをほとんど開かずに外側にイオン等で付着させるもの。髪を傷めず、色もちは1週間前後。この色持ちが短いということがメリットとなり、髪の過渡期に「繋ぎ役」として活躍してくれるのだ。
次のサロン染めまで根元の白髪をぼかす繋ぎ役として、またグレイヘアへ移行するときの繋ぎ役としてとても便利。色抜けしたカラーヘアにツヤを与えたり、ブリーチ毛や白髪をカラフルに彩るにも重宝。私もカラートリートメントはよく使っている。通販やバラエティショップなどで手に入るが、中でも身近なドラッグストアで入手できて、しっかり染まる2アイテムをご紹介。
カラーリスト監修の美しい発色が魅力!
「スティーブンノルニューヨーク カラークチュール カラートリートメント」

最近追加された新色のアッシュブラウンやグレージュの色がとても今どき。一度でもしっかり染まる。「スティーブンノル ニューヨーク カラークチュール カラートリートメント」全5色(200g)¥1,980/コーセー
COURTESY OF KOSÉ
問い合わせ先
コーセー お客様相談室
TEL. 0120-526-311
分け目や生え際の部分染めが楽に!細いノズルが特徴の
「シエロ カラートリートメント リタッチ用」

しっかり染まるのに、それが染まりすぎにならない絶妙な具合! サロン染め併用の方におすすめしたいアイテム。直接分け目や生え際に塗れる細いノズルの「リタッチ用」はサロンまでの繋ぎ期間に大活躍!「シエロ カラートリートメントリタッチ用」全3色(140g)¥950(編集部調べ)/ホーユー
COURTESY OF HOYU

左が「全体用」。右が「リタッチ用」。
COURTESY OF HOYU
問い合わせ先
ホーユー株式会社
カスタマーコミュニケーション室
TEL. 0120-416-229
白髪染めのリスクを避けるために
「ワンデイリタッチ」と「カラートリートメント」をマスターすることでヘアカラーや白髪染めの頻度を減らすことができる。初めて自分でやってみると、うまくいかないことも多いかもしれないが、次第にコツをつかむと手が慣れて上手にできるようになる。ヘアサロンに行かなくても、いつでも自分で対処できるというのもうれしい。
なぜ頻度を減らすべきなのか……。それはただ髪が傷むというだけではなく、実はカラー剤は健康に関わるリスクもあるからだ。
「アルカリカラー」には、アルカリ剤だけでなく、アレルギー症状誘発の素因となるジアミン系成分が含まれている。「アルカリカラー」で染める回数が増えれば、それだけアルカリとジアミン系成分に触れる機会も増え、頭皮の刺激やかぶれが起こる確率が高くなる。
しかも白髪染めを頻繁に必要とする時期は女性の場合、更年期にあたることも多く、地肌の皮膚やホルモンバランスなど敏感傾向になりやすい時期。かぶれを引き起こすリスクも高くなるのだ。一度、ジアミンアレルギーになってしまったら、アルカリカラーで染めることはできなくなる。いつかはヘアカラーをやめるとしても、自分がやめたいタイミングでやめるのと、まだ黒髪でいたいのに必要に迫られてやめるのとでは、その後の美容のモチベーションにまで影響してしまう。
ゆえに、染める頻度は少なければ少ないほどいい、と考える。最短でも1か月は間をあけることをおすすめする。自分で納得がいく白髪ケアで、髪のおしゃれを楽しんでほしい。
▼白髪ケアについて、さらに詳しく知りたい方は、伊熊奈美の著書『しみる、かゆいは危険信号! いい白髪ケア、やばい白髪ケア』(小学館)も参考に。

『しみる、かゆいは危険信号! いい白髪ケア、やばい白髪ケア』著者 伊熊奈美 ¥1,540/小学館
COURTESY OF NAMI IKUMA

伊熊奈美
美容エディター、ジャーナリスト。(公社)日本毛髪科学協会毛髪診断士認定指導講師、(社)国際毛髪皮膚科学研究所毛髪技能士。20年以上に渡り、女性誌を中心に美容分野の記事を編集、執筆、監修。美容関連企業のコンサルティングにも携わる。著書に『頭皮がしみる、かゆいは危険信号!いい白髪ケア、やばい白髪ケア』(小学館)、『脱白髪染めのはじめかた〜でもいきなりグレイヘアは無理』(グラフィック社)がある。 @namiikuma_hairista
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