TEXT AND PHOTOGRAPHS BY NAMI IKUMA
最新のヘッドスパ技術をオールインクルーシブで体験

まるで飛行機のファーストクラスのようなラグジュアリーな個室。空間デザインは、国内外で活躍する建築家・岡田哲史率いるクリエイティブチームが手がけたのだそう
ここ20年ほどで、美容界ではヘッドスパの分野で新しい領域を拡大してきた。当初はヘアサロンのシャンプー台を使った簡単なリラックス目的のサービスが、やがて美容医療から生まれた先端の化粧品が取り入れられ、科学的な根拠を備えた「育毛」を目指すことも可能になった。
連載第10回となる今回訪れたのは、銀座のヘッドスパサロン「クレーレ」。この連載でも何度か取り上げてきたヒト幹細胞培養液とエクソソームの頭皮環境改善プログラムが看板メニューだ。それをエレクトロポレーションによって導入させたり、炭酸水で頭を浮遊させる頭浸浴など、日本をヘッドスパ分野の最新トピックをすべて網羅した集大成のようなサロンとなっている。

エントランスで出迎えてくれる、ドイツの山岳地方を模したパルダリウム
足を踏み入れると、森の中にいるような静けさに満ちた空間が広がる。入口にはドイツの自然豊かな山岳地方をイメージしたパルダリウムがあり、完全防音の個室に案内される。銀座・並木通りの中心であることを忘れるほどの静謐な空間で、さっそく施術が始まった。
丁寧な頭皮チェックからホットスチームでリラックスの旅へ

まずは、毛髪診断士のスパニストがマイクロスコープで頭皮の状態を確認。取材前日は髪を洗わなかったのだが、画面に映る自分の頭皮は意外にもいい状態で、酸化した皮脂がほとんど見当たらず、「頭皮がきれいですね!」とおほめいただく。最近自宅でスカルプクレンジングとヘッドマッサージャーを使ったケアを続けている成果なのかと、少しうれしい気持ちからのスタート。

頭皮の状態を確認したら、いよいよシャンプー台へ。最初は頭皮全体をホットスチームで温めるところから。毛穴が開き、頭全体がふんわり包まれる感覚で、一気にリラックスモードに。日常の緊張も解けていく。
頭皮汚れを一掃する、多彩なクレンジングメニュー

美容効果のある水を使い、水流で頭皮の汚れを除去するジェットピーリング
スチームで頭皮をゆるませた後は毛穴の汚れをすみずみまで丁寧に落とすジェットピーリング。さらに、毛穴の奥までケアするクレイパックやオイルクレンジングなど、選ぶコースによって多彩なメニューが用意されている。
特に男性など、頭皮の汚れが多い場合、クレイパックを使うコースがおすすめだそう。なお、このサロンを利用する人の割合は男女半々という。薄毛が気になる男性にも絶大な信頼を得ているのだ。

毛穴にしっかりとなじませて汚れを浮かせる、オイルクレンジング
今回は、ジェットピーリングとクレイパックのあるコースを体験したが、ジェットピーリング後はクレイパックではなく、オイルクレジングに変更。皮脂汚れが少なかったため、過剰に皮脂を取りすぎないようにするためだそう。こんなふうに、通常のメニューにない工程を追加したり変更したり、一人ひとりの頭皮の状態を見極めながら適切なメニューを選んでくれる。
もこもこの泡で至福のスカルプシャンプー

ここまで丁寧な浄化プロセスを経て、ようやくシャンプーへ。使っているのは、ヒト幹細胞培養液*が配合されたサロンオリジナルのスカルプシャンプーだ。やさしい香りと豊かな泡に包まれ、ついうとうとと夢見心地に。リラックスしているうちに頭皮のリセットが完了する。
*ヒト幹細胞順化培養液:整肌成分
ヒト幹細胞美容液+エクソソームで究極の頭皮ケア

「クレーレ」オリジナルの美容液「スカルプセラムプロ」
シャンプーを流したらいよいよコースのハイライトへ。95.8%高濃度のヒト幹細胞培養液に、エクソソーム1%を加えたオリジナルの美容液を塗布していく。

気になる部分は、特に重点的に噴射してくれる
再生医療の進化とともに生まれた幹細胞培養液コスメは今やエイジングケアの定番メニューだ。貴重な美容液を頭皮にまんべんなく塗布し、潤いと栄養をしっかり行き渡らせる。

EMSは、「育毛特許技術」と「基本特許技術」に基づいて開発されたもの
塗布した美容液をさらにエレクトロポレーション(EMS)の作用で導入する。ピリピリした感覚があるそうだが、実は普段からホームケア用で導入機器をよく使っている私はあまり感じなかった。
ヒト幹細胞培養液の再塗布で、頭皮をしっかり保湿、ターンオーバーをサポート

最後に濃度を抑えたヒト幹細胞培養液を塗布し、なじませながら頭皮を保湿するという贅沢さ。潤いを与えながらターンオーバーをサポートし、ふっくらと柔らかい頭皮と、髪の根元から健やかさを目指す。
高級ドライヤー「レプロナイザー 27D Plus」&アイロンで弾力とツヤのある髪に

(左)メーカー独自技術のバイオプログラミングを搭載した「レプロナイザー 27D Plus」で乾かした髪は、驚くほどにつるんと滑らか。大人の髪にとってドライヤー選びも大事だと再確認。(右)施術後のサービスドリンクは、ミネラルウォーターやオーガニックコーヒー、ルイボスティー、スープなど豊富なメニューから選べる。今回は生姜スープをいただいた
施術後は、10万円越えというお値段で話題のドライヤー「レプロナイザー 27D Plus」とアイロンを使った丁寧なブロー。髪に触れると、弾力とみっちりとした密度感が感じられ、内側からツヤがあふれるような仕上がりに思わず高揚する。
頭皮チェックも行い、始める前よりさらにいきいきとした肌を目視で確認。最後に美味しいサービスドリンクをいただいて、コース終了。極上の髪と頭皮の仕上がりに、50代の自分の髪にもまだまだポテンシャルがあることを実感できた。「毎月は難しくても、季節の変わり目に受けるだけでも十分ですよ」とスパニストさんに声をかけられたが、いつもバタバタしている自分にはそれなら十分現実的に思えた。

医療と美容が融合する、日本発祥ヘッドスパの未来
人口に対する美容院件数が多く、独自の美容文化をもつ日本では、長年、すでに生えている髪を美しく整えることに注力されてきた。しかしその髪を生む“頭皮”へのアプローチを重視するようになったのはまだまだ最近のことだ。頭皮の健康が欠かせないことは今や誰もが実感している。日本発祥のヘッドスパは、ヘアケアとの歴史を重ねながらさらに進化を続ける分野。今後もその可能性に目が離せない。
■今回体験したヘッドスパメニュー
高濃度ヒト幹細胞ヘッドスキンケア ロングコース
¥48,000
所要時間は2時間半〜
※頭皮の状態に合わせて施術を行うため、通常メニューにない工程も含まれています。
クレーレ
住所:東京都中央区銀座5丁目5-1 銀座5thビル7F
公式サイトはこちら

伊熊奈美
美容エディター、ジャーナリスト。(公社)日本毛髪科学協会毛髪診断士認定指導講師、(社)国際毛髪皮膚科学研究所毛髪技能士。20年以上に渡り、女性誌を中心に美容分野の記事を編集、執筆、監修。美容関連企業のコンサルティングにも携わる。著書に『頭皮がしみる、かゆいは危険信号!いい白髪ケア、やばい白髪ケア』(小学館)、『脱白髪染めのはじめかた〜でもいきなりグレイヘアは無理』(グラフィック社)がある。 @namiikuma_hairista
COURTESY OF NAMI IKUMA
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