薄毛や白髪、うねりにパサつきと悩みが尽きない大人の髪。でもまだ諦めたくない、どうにかしたい……そんな切実な大人のSOSに応えてくれるヘッドスパメニューを、全国津々浦々、幾多のサロンを取材してきた毛髪診断士で美容エディターの伊熊奈美さんが実際に体験してレポート!第7回は「サードウェイハウス」をご紹介します

TEXT AND PHOTOGRAPHS BY NAMI IKUMA

産後や病後回復期の髪問題を癒す場所

画像: 中目黒駅からほど近い一軒家のサロン。毛髪診断士と看護師の視点から考えられた化粧品や雑貨類、医療用ウィッグなどを扱うショップも併設

中目黒駅からほど近い一軒家のサロン。毛髪診断士と看護師の視点から考えられた化粧品や雑貨類、医療用ウィッグなどを扱うショップも併設

  抜け毛や薄毛など髪に悩みがあってプロの頭皮ケアを受けたいけれど、大きな病気の後や妊娠前後、持病がある場合はサロンに受け入れてもらえないことがある。私の周囲にはがん治療をした知人が非常に多いのだが、治療を終えても失った髪がなかなか生えてこなかったり、生えてきても白髪だったりという相談を受ける。アピアランスケアに特化したクリニックを紹介することも多いが、病院ではないところでケアをしたい人も多いだろう。

 実はそのような体と心の一大ストレスを抱えた人ほどケアが必要なのだ。ヘアサイクルが乱れたままになり、新生毛が生えてこない「休止期」が延長されてしまうと、さらに長期間髪を失ってしまうことも。そんなときにおすすめしたいアドレスがある。病気の回復期にある人だけでなく、産後脱毛でもエイジングによる薄毛でも気軽に通える場所、サードウェイハウスだ。

 ここでは「ホルミシスラドンカプセル」という、体を芯から温める先端の機器を用いて不調をケアする。ラドンとは放射線元素のラジウムが崩壊してできた気体のことで、これを体内に取り込むことが体にとってはよい刺激となり、血流や代謝が改善、免疫力や自然治癒力アップにつながるという。

これがホルミシスラドンカプセル。天然のラジウム温泉として有名な秋田県の玉川温泉と比較すると40倍のラドンを浴びられるという。極ナノ化した過熱水蒸気に16枚のラジウムプレート放出されたラドンが溶け込み、デトックスしながら体をじっくり温める

「冷えは万病のもと」……とわかってはいても、冷え性体質を変えていくのは難しい。ここでは体を内側から温めることで病後や産後の回復期の薄毛、むくみだけでなく、更年期、PMS、生理痛、不眠などの不定愁訴に対応。「未病」の状態からも「本気の温め」をすることでいち早くリカバリーしていくという。病後の回復期にある人も多く訪れることから、救命救急士のキャリアがある看護師のスタッフが常駐しているのも安心だ。

頭皮が「カチカチ」ではなく「ブヨブヨ」とは?

 現代人ならではの多様な体の悩みに対応しようとここを開設したのは、毛髪診断士の本山典子さん。頭皮を入口とした健康に関する奥深い知識をもち「毛髪診断士 お悩み改善コース」では、来店者個人の健康状態を観察しながらの詳細なカウンセリング、頭皮と血流のチェック、頭皮への施術とラドンカプセル(30〜45分)の施術を担当してくれる。

 今回体験したのもこのコース。まずは既往歴や常用する薬など、体の状態をカウンセリングシートに記入して、食生活などのアドバイスを受ける。その後は頭皮のチェック。
 実はその日の朝、頭皮のディープクレンジング剤でホームケアをしてきたせいもあって、頭皮の毛穴や表面の状態は「完璧!」とほめていただく。しかし、普通のヘッドスパと違うのは、見立てが頭皮の表面だけに終わらず、体調へと話が広がっていくこと。

「頭皮がカチカチに硬いと好ましくないことはよく知られていますよね。でも頭皮にはむくんでブヨブヨになるという不調もあります。伊熊さんは慢性睡眠不足のせいか、頭皮のむくみが強いですね。耳の後ろなどに滞りがあるので、ここをゆるめましょう」
 頭皮のむくみを指摘されたのは初めてだが、自己を振り返って納得できる診断で、思わず首がもげそうなくらいうなずいてしまった。

画像: 頭皮は体調のバロメーターでもある。「がん治療中の方は、頭皮が茶色になっていて生気がなく冷たかったり、逆に真っ赤に炎症を起こしている人などもいます」と本山さん

頭皮は体調のバロメーターでもある。「がん治療中の方は、頭皮が茶色になっていて生気がなく冷たかったり、逆に真っ赤に炎症を起こしている人などもいます」と本山さん

画像: さらに頭皮の毛細血管の状態も見せてもらえる。血流によって栄養や酸素が運ばれないことには、健やかな髪は生えないからだ。画面右側が良好な状態のサンプル

さらに頭皮の毛細血管の状態も見せてもらえる。血流によって栄養や酸素が運ばれないことには、健やかな髪は生えないからだ。画面右側が良好な状態のサンプル

体調に合わせた頭皮のパーソナルケア

 チェック後はその人に合わせ、完全にパーソナライズされたヘッドケアへと進む。
「普通は大抵ここで頭皮のクレンジングをしますが、皮脂については問題がなかったので今回は行いません。それよりも伊熊さんの場合はむくみを排出し、赤みを鎮静したいので、まず冷やします。この後、ラドンカプセルに入って温冷を繰り返し、めぐりを高めましょう」と本山さん。一人ひとりの状態や体調に合わせたヘッドケアを行い、ホルミシスラドンカプセルに入る準備を整えていくのだ。

画像: あくまでやさしいタッチのゆるやかなマッサージ。カウンセリングでのチェック箇所だった耳裏のこりにアプローチする

あくまでやさしいタッチのゆるやかなマッサージ。カウンセリングでのチェック箇所だった耳裏のこりにアプローチする

画像: 数々の名品ブラシを考案したキャリアをもつ本山さんの手による、ブラシを使ったスキャルプケアは秀逸。使っているのは超微振動加工がされたブラシ。髪の育成や活性を促すとされ、頭皮への当たり心地が違う!

数々の名品ブラシを考案したキャリアをもつ本山さんの手による、ブラシを使ったスキャルプケアは秀逸。使っているのは超微振動加工がされたブラシ。髪の育成や活性を促すとされ、頭皮への当たり心地が違う!

画像: 頭皮のクーリングはヘッドスパでは初めて。体調が悪いわけでもないのにとても心地いいのは、頭に無駄な熱がこもっているからかも

頭皮のクーリングはヘッドスパでは初めて。体調が悪いわけでもないのにとても心地いいのは、頭に無駄な熱がこもっているからかも

画像: 頭は冷やすけれど、体は冷やさない。実は施術の間中お腹の上に温めた瓦を乗せている。瓦は石よりも保温力が高いのだそう。カーブが体に沿ってお腹がじんわり温まる

頭は冷やすけれど、体は冷やさない。実は施術の間中お腹の上に温めた瓦を乗せている。瓦は石よりも保温力が高いのだそう。カーブが体に沿ってお腹がじんわり温まる

画像: 最後に髪と頭皮にナノ粒子のスチームを当てて頭皮と毛穴を柔らかくし、ラドンを受け入れる準備体制に

最後に髪と頭皮にナノ粒子のスチームを当てて頭皮と毛穴を柔らかくし、ラドンを受け入れる準備体制に

体ごとホルミシスラドンカプセルに入る

 いよいよコースの核となるホルミシスラドンカプセルに入る。カプセルの中はラドンが溶け込んだ過熱水蒸気で満たされているが、ほわっと心地よい温度感でサウナのように息苦しい感覚はいっさいない。部屋を暗くしてもらったので、40分間ほぼひたすら爆睡してしまった。

画像: カプセル内は暑くも寒くもなく、息苦しさもにおいもなく、ただただ心地よい空間でラドンを浴びられる。外から見るとまるで白雪姫だが、脳内ではα波がピークまで出ていたはず!久しぶりに究極のリラックスをした気分

カプセル内は暑くも寒くもなく、息苦しさもにおいもなく、ただただ心地よい空間でラドンを浴びられる。外から見るとまるで白雪姫だが、脳内ではα波がピークまで出ていたはず!久しぶりに究極のリラックスをした気分

画像: 水分補給もラドン水。体ごとラドン漬けになる40分間

水分補給もラドン水。体ごとラドン漬けになる40分間

 カプセルの中は決して暑いわけではないのに、目覚めたら滝汗。サウナと違ってじんわりと温めたせいか、肩こりもほぐれて疲れもすっきりした。これで育毛にも有効とはなんとありがたいことか。なお、そのスッキリ感は3日ほど続き、しばらくは肌つやのよさも実感できた。体が元気になると心も前向きになれるので、ちょっと不調を感じたときや、大事なイベントの前など、カプセルに入りに行くのもよさそうだ。

画像: 今回は体を温める頭皮ケアなので、今生えている髪に直接作用することはないと思っていたのだが、ブローしていないのに髪がするんとまとまっている。ラドンカプセルのマイナスイオン効果があったのかも

今回は体を温める頭皮ケアなので、今生えている髪に直接作用することはないと思っていたのだが、ブローしていないのに髪がするんとまとまっている。ラドンカプセルのマイナスイオン効果があったのかも

美容と医療の狭間を埋める新しい場所

 薄毛や抜け毛といったトラブルを感じると、まず頭皮環境やシャンプーなど、アウターのケアを中心に考えるが、その要因が体の内側に存在することは少ならからずある。
 髪は体の内側の栄養状態や健康状態の総合的な結果として生えているものだからだ。それだけに大きな病気を患うと、髪を失ってしまうことがある。しかし社会制度上、医療と美容の間は確固たる線引きがされていて、髪は「生体ではない」ために、失ってもそれだけでは「病気ではない」とされ、早々にあきらめざるをえなくなってしまう。

 確かに最優先事項は体の健康、生命保持であることは間違いない。でも生体ではない髪であっても、生きている私にとっては、全部ひっくるめて「体」であり「自分」である。失って悲しい思いをするのはごく自然なこと。美しくあることは幸福にもつながることなのだ。

 サードウェイハウスはそんなありのままの気持ちを尊重し、寄り添い、美容と医療の境界線を埋める場所なのだろう。髪悩みはもちろん体も癒す本質的なケアだけでなく、手頃な価格で質の良い医療用ウィッグや、補助金申請(自治体による)の仕方の相談にも乗ってくれる。つらい病後はもちろん、病気の予防や不調のとき、本来の自分を取り戻したい、そんなタイミングでいつでも迎えてくれるやさしい家なのだ。

■今回体験したヘッドスパメニュー
毛髪診断士お悩み改善コース120分¥22,000
カウンセリング・頭皮チェック・パーソナルケア・ホルミシスラドンカプセル30〜45分・アドバイス

※リネン利用料¥330別途(全コース)
※カプセルとカウンセリングだけのコースは60分¥6,600

サードウェイハウス
住所:東京都目黒区上目黒3丁目32-13
時間:11:00~20:00(不定休)
TEL. 090-8855-3108
公式サイトはこちら

画像: 伊熊奈美 美容エディター、ジャーナリスト。(公社)日本毛髪科学協会毛髪診断士認定指導講師、(社)国際毛髪皮膚科学研究所毛髪技能士。20年以上に渡り、女性誌を中心に美容分野の記事を編集、執筆、監修。美容関連企業のコンサルティングにも携わる。著書に『頭皮がしみる、かゆいは危険信号!いい白髪ケア、やばい白髪ケア』(小学館)、『脱白髪染めのはじめかた〜でもいきなりグレイヘアは無理』(グラフィック社)がある。 @namiikuma_hairista COURTESY OF NAMI IKUMA

伊熊奈美
美容エディター、ジャーナリスト。(公社)日本毛髪科学協会毛髪診断士認定指導講師、(社)国際毛髪皮膚科学研究所毛髪技能士。20年以上に渡り、女性誌を中心に美容分野の記事を編集、執筆、監修。美容関連企業のコンサルティングにも携わる。著書に『頭皮がしみる、かゆいは危険信号!いい白髪ケア、やばい白髪ケア』(小学館)、『脱白髪染めのはじめかた〜でもいきなりグレイヘアは無理』(グラフィック社)がある。 @namiikuma_hairista
COURTESY OF NAMI IKUMA

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