TEXT AND PHOTOGRAPHS BY NAMI IKUMA
産後や病後回復期の髪問題を癒す場所
抜け毛や薄毛など髪に悩みがあってプロの頭皮ケアを受けたいけれど、大きな病気の後や妊娠前後、持病がある場合はサロンに受け入れてもらえないことがある。私の周囲にはがん治療をした知人が非常に多いのだが、治療を終えても失った髪がなかなか生えてこなかったり、生えてきても白髪だったりという相談を受ける。アピアランスケアに特化したクリニックを紹介することも多いが、病院ではないところでケアをしたい人も多いだろう。
実はそのような体と心の一大ストレスを抱えた人ほどケアが必要なのだ。ヘアサイクルが乱れたままになり、新生毛が生えてこない「休止期」が延長されてしまうと、さらに長期間髪を失ってしまうことも。そんなときにおすすめしたいアドレスがある。病気の回復期にある人だけでなく、産後脱毛でもエイジングによる薄毛でも気軽に通える場所、サードウェイハウスだ。
ここでは「ホルミシスラドンカプセル」という、体を芯から温める先端の機器を用いて不調をケアする。ラドンとは放射線元素のラジウムが崩壊してできた気体のことで、これを体内に取り込むことが体にとってはよい刺激となり、血流や代謝が改善、免疫力や自然治癒力アップにつながるという。
「冷えは万病のもと」……とわかってはいても、冷え性体質を変えていくのは難しい。ここでは体を内側から温めることで病後や産後の回復期の薄毛、むくみだけでなく、更年期、PMS、生理痛、不眠などの不定愁訴に対応。「未病」の状態からも「本気の温め」をすることでいち早くリカバリーしていくという。病後の回復期にある人も多く訪れることから、救命救急士のキャリアがある看護師のスタッフが常駐しているのも安心だ。
頭皮が「カチカチ」ではなく「ブヨブヨ」とは?
現代人ならではの多様な体の悩みに対応しようとここを開設したのは、毛髪診断士の本山典子さん。頭皮を入口とした健康に関する奥深い知識をもち「毛髪診断士 お悩み改善コース」では、来店者個人の健康状態を観察しながらの詳細なカウンセリング、頭皮と血流のチェック、頭皮への施術とラドンカプセル(30〜45分)の施術を担当してくれる。
今回体験したのもこのコース。まずは既往歴や常用する薬など、体の状態をカウンセリングシートに記入して、食生活などのアドバイスを受ける。その後は頭皮のチェック。
実はその日の朝、頭皮のディープクレンジング剤でホームケアをしてきたせいもあって、頭皮の毛穴や表面の状態は「完璧!」とほめていただく。しかし、普通のヘッドスパと違うのは、見立てが頭皮の表面だけに終わらず、体調へと話が広がっていくこと。
「頭皮がカチカチに硬いと好ましくないことはよく知られていますよね。でも頭皮にはむくんでブヨブヨになるという不調もあります。伊熊さんは慢性睡眠不足のせいか、頭皮のむくみが強いですね。耳の後ろなどに滞りがあるので、ここをゆるめましょう」
頭皮のむくみを指摘されたのは初めてだが、自己を振り返って納得できる診断で、思わず首がもげそうなくらいうなずいてしまった。
体調に合わせた頭皮のパーソナルケア
チェック後はその人に合わせ、完全にパーソナライズされたヘッドケアへと進む。
「普通は大抵ここで頭皮のクレンジングをしますが、皮脂については問題がなかったので今回は行いません。それよりも伊熊さんの場合はむくみを排出し、赤みを鎮静したいので、まず冷やします。この後、ラドンカプセルに入って温冷を繰り返し、めぐりを高めましょう」と本山さん。一人ひとりの状態や体調に合わせたヘッドケアを行い、ホルミシスラドンカプセルに入る準備を整えていくのだ。
体ごとホルミシスラドンカプセルに入る
いよいよコースの核となるホルミシスラドンカプセルに入る。カプセルの中はラドンが溶け込んだ過熱水蒸気で満たされているが、ほわっと心地よい温度感でサウナのように息苦しい感覚はいっさいない。部屋を暗くしてもらったので、40分間ほぼひたすら爆睡してしまった。
カプセルの中は決して暑いわけではないのに、目覚めたら滝汗。サウナと違ってじんわりと温めたせいか、肩こりもほぐれて疲れもすっきりした。これで育毛にも有効とはなんとありがたいことか。なお、そのスッキリ感は3日ほど続き、しばらくは肌つやのよさも実感できた。体が元気になると心も前向きになれるので、ちょっと不調を感じたときや、大事なイベントの前など、カプセルに入りに行くのもよさそうだ。
美容と医療の狭間を埋める新しい場所
薄毛や抜け毛といったトラブルを感じると、まず頭皮環境やシャンプーなど、アウターのケアを中心に考えるが、その要因が体の内側に存在することは少ならからずある。
髪は体の内側の栄養状態や健康状態の総合的な結果として生えているものだからだ。それだけに大きな病気を患うと、髪を失ってしまうことがある。しかし社会制度上、医療と美容の間は確固たる線引きがされていて、髪は「生体ではない」ために、失ってもそれだけでは「病気ではない」とされ、早々にあきらめざるをえなくなってしまう。
確かに最優先事項は体の健康、生命保持であることは間違いない。でも生体ではない髪であっても、生きている私にとっては、全部ひっくるめて「体」であり「自分」である。失って悲しい思いをするのはごく自然なこと。美しくあることは幸福にもつながることなのだ。
サードウェイハウスはそんなありのままの気持ちを尊重し、寄り添い、美容と医療の境界線を埋める場所なのだろう。髪悩みはもちろん体も癒す本質的なケアだけでなく、手頃な価格で質の良い医療用ウィッグや、補助金申請(自治体による)の仕方の相談にも乗ってくれる。つらい病後はもちろん、病気の予防や不調のとき、本来の自分を取り戻したい、そんなタイミングでいつでも迎えてくれるやさしい家なのだ。
■今回体験したヘッドスパメニュー
毛髪診断士お悩み改善コース120分¥22,000
カウンセリング・頭皮チェック・パーソナルケア・ホルミシスラドンカプセル30〜45分・アドバイス
※リネン利用料¥330別途(全コース)
※カプセルとカウンセリングだけのコースは60分¥6,600
サードウェイハウス
住所:東京都目黒区上目黒3丁目32-13
時間:11:00~20:00(不定休)
TEL. 090-8855-3108
公式サイトはこちら
▼あわせて読みたいおすすめ記事