BY NANCY HASS, PHOTOGRAPH BY FLORENT TANET, TRANSLATED BY CHIHARU ITAGAKI
学生寮の地下ホールによく置いてあるフーズボール。あのゲームに複雑な由来があるといったら驚くだろう。イギリスでは「テーブル・フットボール」、フランスでは「ル・バビフット」と呼ばれているこのゲーム(「フーズボール」という名前は、「サッカー」を意味するドイツ語から)は、一説によればフランスの自動車技師、ルシアン・ローゼンガールによって1930年代に誕生した。一方で、スペインのアナーキストで出版人でもあるアレハンドロ・フィニステーレは、スペイン内戦で負傷した際の療養中に自分が発明したのだと主張。そしてイギリスのハロルド・サールズ・ソーントンは、1923年に同様の装置の特許を申請している。
![画像: モノグラム・エクリプス「バビフット」¥7,560,000](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2020/11/17/a6529e5da0c666653e799d0532d4c0329b621842_large.jpg#lz:xlarge)
モノグラム・エクリプス「バビフット」¥7,560,000
だがルイ・ヴィトンは、こういった起源をめぐる争いには興味がない。その関心は、想像しうる中でもっとも美しいデザインを追求することにある。外装は7種類から選べ、写真のモノグラム・キャンバスのほか、シアンやピスタチオといった色のエピ・レザーなどが用意されている。盤上の、外装に合わせて手作業で色づけされたアルミニウム製の選手の人形は、1921年のルイ・ヴィトンの広告に登場するベルボーイのキャラクターがモデルだ。
フーズボールの起源ははっきりしないとしても、これだけは確かだ――この特別なゲーム機で遊ぶ愉しみは、そこらの地階にあるレクリエーション・ルームの片隅では見つけられないだろう。
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