たった一脚でも、住まいを洗練の空間へと昇華させてくれる「名作」と呼ばれる美しき椅子。今回は、1940年〜60年代のミッドセンチュリー期に誕生した個性あふれる名作を厳選紹介

BY EMI ARITA

エーロ・サーリネンの「ウームチェア」

画像: 「サーリネン コレクション・ウームチェア」¥943,800〜/ノル ジャパン COURTESY OF KNOLL

「サーリネン コレクション・ウームチェア」¥943,800〜/ノル ジャパン

COURTESY OF KNOLL

 チャールズ・イームズとともに、当時の先進的な技術を活かし数々の名作椅子を生み出してきた、ミッドセンチュリー期を代表する建築家・デザイナーのエーロ・サーリネン。こちらの「ウームチェア」は、世界的ファニチャーブランド「Knoll」の創設者ハンス・ノルのパートナーであった、フローレンス・ノルの「たくさんのクッションの中で丸くなれる、バスケットのような椅子」というリクエストに応じ、1946年にデザインしたもの。
 FRP(繊維強化プラスチック)で一体成型したシェルをファブリックの張り地で覆った「ウームチェア」は、モダンデザインにおける新たなスタンダードを提示した画期的な名作。母なる子宮を意味する“ウーム”という名前の通り、その彫刻的なフォルムでどんな姿勢でも体をすっぽりと包み込み、まるで母親の胎内にいるような安らぎをもたらしてくれる。張り地はカラーも豊富なファブリックから選択可能。別売りのオットマンと合わせて使うのもおすすめ。

画像: COURTESY OF KNOLL

COURTESY OF KNOLL

ノルジャパン
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チャールズ&レイ・イームズの「ワイヤーチェア」

画像: 「イームズワイヤーチェア」¥129,800/ハーマンミラー COURTESY OF HERMAN MILLER

「イームズワイヤーチェア」¥129,800/ハーマンミラー

COURTESY OF HERMAN MILLER

 新素材や先進技術を積極的に取り入れた革新的なプロダクトを生み出し、ミッドセンチュリー期を牽引する存在であったチャールズ&レイ・イームズ夫妻。その代表作として知られる「イームズシェルチェア」を、ワイヤー素材で再構築したのが、1951年にデザインした「イームズワイヤーチェア」だ。
 細いワイヤー状の金属で「イームズシェルチェア」のフォルムを再現するべく、イームズ夫妻は素材の研究から取り組み、独自の製法を確率。腰掛けると体にフィットするよう計算し尽くされた「イームズシェルチェア」の快適さを見事にワイヤー素材で実現し、当時の家具業界に衝撃を与えた。一見華奢にも見えるが、2重構造のフレームにより高い耐久性を持ち丈夫なのも魅力。近年はスタンダードカラーに加えて、デンマークのインテリアブランド「HAY」とコラボレーションしたグリーンやイエローなどポップなカラーも登場。シートパットの有無もセレクトできる。

画像: 「イームズワイヤーチェア - Herman Miller × HAY」¥147,400/ハーマンミラー COURTESY OF HERMAN MILLER

「イームズワイヤーチェア - Herman Miller × HAY」¥147,400/ハーマンミラー

COURTESY OF HERMAN MILLER

ハーマンミラーストア 丸の内
TEL. 03-3201-1820
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ヴィルヘルム・ラウリッツェンの「Vegaチェア」

画像: 「VLA26 Vegaチェア クロームメッキスチール」¥112,200〜/カール・ハンセン&サン COURTESY OF CARL HANSEN & SØN

「VLA26 Vegaチェア クロームメッキスチール」¥112,200〜/カール・ハンセン&サン

COURTESY OF CARL HANSEN & SØN

 タイムレスな美しさで魅了する建築や家具を手掛け、“デンマークのモダニズムの父”と呼ばれる建築家、ヴィルヘルム・ラウリッツェン。木材の温かみとスチールの洗練さを融合した「Vegaチェア」は、デンマークのコンサートホール「Vega」のために1956年にデザインしたもの。木製の脚部先端や大胆なカーブを描く背もたれと、ヴィルヘルム・ラウリッツェンのクラフトマンシップを存分に堪能できる一脚となっている。
 個性を際立たせている背もたれは、体に心地よくフィットし長時間座っていても快適。さらにスタッキング可能と機能性も抜群だ。スチールフレームはブラック粉体塗装仕上げに加えて、2024年2月よりクロームメッキ仕上げバージョンも登場。背もたれや座面は、オプションで張り地加工もできる。豊富なバリエーションから自分好みのスタイルでお迎えしたい。

画像: COURTESY OF CARL HANSEN & SØN

COURTESY OF CARL HANSEN & SØN

カール・ハンセン&サン フラッグシップ・ストア東京/大阪   
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ヴァーナー・パントンの「コーン チェア」

画像: 「コーン チェア」¥ 349,800/ヴィトラ COURTESY OF VITRA

「コーン チェア」¥ 349,800/ヴィトラ

COURTESY OF VITRA

 丸みを帯びたフォルムや目にも鮮やかなポップな色使いと、独創性溢れるプロダクトでモダンデザインを牽引してきた、20世紀を代表するデンマークの建築家・デザイナーのヴァーナー・パントン。そんなパントンらしいデザインで、ポップアートのような存在感を放つのが、こちらの「コーン チェア」。1958年にデンマークのレストランのためにデザインしたもので、発表以降、世界中のカフェやレストラン、美容サロンなどで愛用されてきた。
 見た目のインパクトに加えて、座った時の心地よさも「コーン チェア」の魅力。程よく沈み込むクッションシートになっている座面は、回転式になっているため自由な姿勢をとりやすく、長時間座っていても快適。さらに、肘掛けと一体になった背もたれにもクッションが入っており、体を心地よく支えてくれる。張り地はレッドやイエロー、ブルーなどカラフルな全13色から選べる。

画像: 右は背もたれがハート型になっている「ハートコーンチェア」。背もたれがなく、オットマンとして使うにも最適なスツールタイプ「コーン スツール」もある 「COURTESY OF VITRA

右は背もたれがハート型になっている「ハートコーンチェア」。背もたれがなく、オットマンとして使うにも最適なスツールタイプ「コーン スツール」もある

「COURTESY OF VITRA

ヴィトラ
TEL. 0120-924-725
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ポール・ケアホルムの「PK9™」

画像: 「PK9™」¥1,064,800 COURTESY OF FRITZ HANSEN

「PK9™」¥1,064,800

COURTESY OF FRITZ HANSEN

 どこから眺めても美しいプロポーションと機能性を融合した名作椅子を手掛けてきたデンマークの巨匠、ポール・ケアホルム。1960年にデザインした「PK9™」は、支柱であり、レザーの座面を支える脚としての役割を果たす3片のサテン仕上げのステンレススプリングスチールが特徴。そのユニークなフォルムから、「チューリップ・チェア」の愛称でも親しまれている。
 体を包み込むシェルのフォルムは、ポール・ケアホルムの妻ハンナの身体が海岸の砂浜に残した跡にインスピレーションを得たもの。そのイメージを形にするべく、デザイン過程では四角く盛った粘土にハンナが腰掛け、その粘土を石膏で型取りし、最も快適な座面を追求。ハンナとの心温まるエピソードと、機能美への並々ならぬポール・ケアホルムのこだわりが詰まった一脚となっている。張り地はブラックやナチュラルなどのカラーが揃う数種のレザーからセレクトできる。

画像: COURTESY OF FRITZ HANSEN

COURTESY OF FRITZ HANSEN

フリッツ・ハンセン 東京
TEL. 03-3400-3107
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