TEXT & PHOTOGRAPHS BY YURI TAKAHASHI
秋分 9月22日〜10月7日
暑さ寒さも彼岸まで、の言葉通り、長かった夏の終わりがやっと感じられる、気持ちのいい季節が到来。太陽が真東に昇り、真西に沈む日である秋分は、昼と夜の長さがほぼ等しくなり、ここから夜がだんだんと長くなってゆく。天文学的には秋分から冬至までが秋とされている。
台風や雷などがようやく落ち着くと田んぼの水抜きがはじまり、いよいよ稲刈りのシーズン。新米の炊きたての香りも待ち遠しい食欲の秋にむけて、“おいしい計画”を立ててみてはいかがだろうか。
万葉集でもっとも詠まれている花、萩。秋の花の代表である萩をメインに、カランコエ、ダンギク、キイチゴの葉、そしてアビーパープルという名前の菊の5種類で束ねたフレッシュな花束。
「家でもよくグリーンをメインにして飾っています」と店主のmemeさん。
グリーンをメインに、少ない種類でもボリューミーに束ねるのが好みなのだそう。リボンをほどいて、自分で好きなように束ね変えて飾るところまで楽しんでほしい、とも。家でどう飾るか、想像するのもわくわくする花束だ。
新中野から住宅街を歩くこと7分ほど。大きな窓から覗く観葉植物が目印の「LOVELETTER」。近づくと、同時においしそうな匂いも。食通の間で話題の中華料理店「湯気」のフロアの一角にお店を構えているのだ。2020年8月に現在の場所に移転。「レストランフロアとLOVELETTERと緩やかにゾーニングされているため、最初は花屋さん? 中華料理屋さん? と、遠巻きに見てくださるご近所の方が多かったのですが、最近はこの営業形態が広まって、気楽に立ち寄ってくださるようになりました」
「湯気」の仕込みの音を聞きながら、中華料理のいい匂いが漂う中で花を選んでいると、次は食事にも訪れてみたくなる。「『湯気』で誕生パーティーを企画する方が、LOVELETTERでプレゼント用のブーケを同時に予約してくださることもありますね」
一階がショップ、二階にアトリエを構えている。そこにあるセラーに予約した花束をキープしておいてもらい、食事のタイミングで新鮮な花束を渡すということもできるのだそう。思い出深い夜にするにはぴったりのお店だ。
花だけではなく、観葉植物やドライフラワーの花束、二階に続く階段には花瓶など、花にまつわるさまざまな提案が随所にちりばめられている。この秋冬はアンティークのアイテムを買い付け、販売を予定している。
さまざまな展示会や、ワークショップ、出張花屋など、新中野から花を通じてカルチャーを発信し続けているLOVELETTER。オンラインからも花束をオーダーできるが、店舗に足を運ぶと、五感が刺激されるような感覚に。新しいインスピレーションを得たい時にぜひ訪れたい店のひとつだ。
LOVELETTER
ラブレター
住所:東京都中野区本町4-5-18 1F
定休日:不定休
営業時間:13:00〜20:00
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参考文献:『花と短歌でめぐる 二十四節気 花のこよみ』株式会社KADOKAWA
『くらしのこよみ 七十二候の料理帖』平凡社
山下景子『二十四節気と七十二候の季節手帖』 成美堂出版