京都生まれ、京都育ちの食いしん坊、京都でおいしいものに出合いたければ、この人に聞けばハズレなし!そんなアマジュンこと天野準子の絶品満腹口福アドレス。今月は京都旅の途中にひと息つきたい茶房やカフェの新アドレスを紹介。第1弾は今年3月にオープンした「居雨/KYO」!

TEXT & PHOTOGRAPHS BY JUNKO AMANO

四条烏丸「居雨/KYO」

画像: 蔵を使った茶房は、薄暗く、茶室を彷彿させる

蔵を使った茶房は、薄暗く、茶室を彷彿させる

 100年続く老舗も多いが、新店も続々とオープンする街、京都。東京の人気店が京都に出店するケースも多く、「居雨/KYO」も、工藝とアートを扱う白金台「雨晴 AMAHARE」が手がけた茶房だ。

画像: ショップ&ギャラリーに使用されている母屋を抜け、廊下を進んだその先が蔵の茶房「居雨/KYO」

ショップ&ギャラリーに使用されている母屋を抜け、廊下を進んだその先が蔵の茶房「居雨/KYO」

 店ができる前から「雨晴 /AMAHARE」の器を使っている京都の料理人や料理家も多く、昨年11月、「KYO AMAHARE」がオープンする際には街の話題に。築130年を超える歴史ある京町家をリノベーションした広々とした店内には、白金の本店同様、陶磁器、ガラス、木工、金工、和紙製品が並ぶほか、2階にはアートプロジェクト「雨跡/AMART」として工藝の延長線上にあるアートが展示されている。

画像: 蔵の中は別世界。非日常に浸れる

蔵の中は別世界。非日常に浸れる

 茶房「居雨/KYO」は、「KYO AMAHARE」のオープンから4ヶ月経った3月31日、奥の蔵に誕生した。
「居雨/KYO」は、その名や概念を雨晴が創出し、福岡にある茶酒房「万 yorozu」の茶司 德淵卓さんがその想いを汲んで雨を感じる空間や演出、おもてなし、お品書き等を監修。メニューには、德淵さんセレクトの日本茶と共に菓子が楽しめるコースが用意されている。

画像: 大テーブルには炉が備えられていて、スタッフはゲストと共にテーブルを囲み、目の前でお茶を淹れていく

大テーブルには炉が備えられていて、スタッフはゲストと共にテーブルを囲み、目の前でお茶を淹れていく

 菓子を担当する昆布智成氏は、「オーボン・ヴュータン」、「ピエール・エルメ・サロン・ド・テ」、渡仏後は「リエデレ」、「ラトリエ・ド・ジョエル・ロブション」、さらに東京「アン グラン」で立ち上げから活躍した後、2023年、家業である福井の和菓子店「昆布屋孫兵衛」を継いだ17代目。コースの菓子も、自身のこれまでのキャリアの生かした洋菓子と和菓子の垣根を超えた内容になっている。

画像: 日本茶と菓子のコース「雨声/usei」¥2,750より、見た目にも涼やかな福岡・八女の水出し煎茶と愛媛産河内晩柑のコンフィ

日本茶と菓子のコース「雨声/usei」¥2,750より、見た目にも涼やかな福岡・八女の水出し煎茶と愛媛産河内晩柑のコンフィ

 3つあるコースの一つ「雨声/usei」では、まず、季節の一煎と小菓子が登場。続いて、日本茶と菓子の見本が運ばれ、説明を受けながら、1種類づつ選んでいく。
 日本茶は、野草を約30種類ブレンドした「万 yorozu」オリジナルの薬草茶や福岡県産清心烏龍茶、福岡県・八女の生姜焙じ茶など、それぞれのキャラクターも際だっていて、試してみたいものばかりだ。

画像: 日本茶は5種類から選べる

日本茶は5種類から選べる

 この日は、実山椒やカモミールをブレンドしたかりがねと、道明寺をベルガモットで香りづけし、仕上げにエルダーフラワーのソースとライムをトッピングしたみぞれ羹をセレクト。
 かりがねは玉露を作る際に出る茎部分で、うまみがしっかり。実山椒とカモミールをブレンドすることで後味もすっきりし、ベルガモット香るみぞれ羹とのペアリングも抜群だ。

画像: 季節の生菓子は、塩羊羹やうぐいす餅など、4種類から選べる

季節の生菓子は、塩羊羹やうぐいす餅など、4種類から選べる

 どの日本茶も三煎目までいただけ、一煎目は香り高く、二煎目は渋みや苦みもしっかりと、さらに三煎目はさっぱりと抽出され、味わいの変化を楽しめる。

画像: 三煎目と共に供される一皿。よもぎのギモーブ、きな粉バタークリームとアーモンドビスキュイを重ねた小菓子、マスカット、と、和洋ボーダレスな盛り合わせ

三煎目と共に供される一皿。よもぎのギモーブ、きな粉バタークリームとアーモンドビスキュイを重ねた小菓子、マスカット、と、和洋ボーダレスな盛り合わせ

 喫茶はコース利用のみだが、アルコールは単品注文も。「山椒とカモミールのジントニック」(¥1,650)や「焙じ茶ハイボール」(¥1,650)など、「万 yorozu」で人気の茶を使ったオリジナルカクテルもそろっている。

 Shimoo Designが手がけた大テーブルやハタノワタルの和紙の壁、おおやぶみよのガラスの菓子皿など、ギャラリーショップが手がけるだけあり、作家に別注したしつらえや器、道具も注目。
 元々、大切なものを守るために造られた蔵は、光がわずかしか差し込まない静かな場所であり、茶房は、その暗さや静けさを生かしたしつらえに。
 大テーブルの中央には天井からぽつりぽつりと雨のように水が降り注ぎ、「雨と居るところ」という意味を持つ店名「居雨/KYO」そのままに、お茶と菓子、お酒を楽しみながら、晴れを待つ心地いい時間が過ごすことができる。

画像: 天井から水が降り注ぎ、テーブルの中央に配された水盤に水紋を描いている

天井から水が降り注ぎ、テーブルの中央に配された水盤に水紋を描いている

画像: 間口が広い立派な京町家。四条烏丸から徒歩10分、京都の中心地に位置している

間口が広い立派な京町家。四条烏丸から徒歩10分、京都の中心地に位置している

居雨/KYO
住所:京都市中京区蛸薬師通柳馬場東入油屋町127
営業時間:11:00〜19:00(18:00L.O.)
月に2回、夜営業あり(19:00~23:00)
定休日:水曜  
TEL. 075-256-3281
公式サイトはこちら
公式インスタグラムはこちら
※支払いはキャッシュレス決済のみ。予約優先(予約はオンラインで受付)

画像: 天野準子 生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント

天野準子
生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント

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