平安神宮を擁する京都の歴史的・文化的エリア、岡崎地区で長らく市民に愛されてきた「京都市美術館」が、このたび大規模な改修を経て「京都市京セラ美術館」としてオープン。現代アートを紹介する展示スペースも増設され、杉本博司の世界初公開作品も披露される

BY MASANOBU MATSUMOTO

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため開館が延期になっていた「京都市京セラ美術館」が、5月26日にオープンした。この美術館は、1933年、日本で2番目に開設され、現存するものでは最古の公立美術館建築であった「京都市美術館」が前身。築80年を超える建物の老朽化から約3年におよぶ大規模なリノベーションが施され、「京都市京セラ美術館」の新たな名称のもとにふたたび開館した。

画像: 美術館本館の正面。入り口前のスロープ状になった広場は「京セラスクエア」と呼ばれ、パフォーマンスやイベントなどが行われる予定だ PHOTOGRAPH BY TAKERU KORODA

美術館本館の正面。入り口前のスロープ状になった広場は「京セラスクエア」と呼ばれ、パフォーマンスやイベントなどが行われる予定だ
PHOTOGRAPH BY TAKERU KORODA

 改修を担当したのは、建築家で本美術館の館長に就任した青木淳と西澤徹夫。この建築は、洋風の建物に和風の屋根を載せた和洋折衷の「帝冠(ていかん)様式」の代表作であり、青木が「その意匠を最大限保存しながら、現代的なデザインを加えた」という建築空間も大きな見どころだ。

 またこのリニューアルでは、本館の改修に加え、主に若手作家を紹介する「ザ・トライアングル」、現代アートの展示に特化した新館 「東山キューブ」といった展示スペースを新たに増設。敷地内に5つの展示空間が設けられ、リニューアル前から力を入れてコレクションしてきた“京都画壇”の名作から、新進気鋭のコンテンポラリーアートまで、新旧の多彩なアートに出会える美術館に生まれ変わった。

画像: これまで使われてこなかった本館北回廊の中庭は「光の広間」になった。レセプションやイベントの会場、特別作品の展示スペースとして活用されるという PHOTOGRAPH BY TAKERU KORODA

これまで使われてこなかった本館北回廊の中庭は「光の広間」になった。レセプションやイベントの会場、特別作品の展示スペースとして活用されるという
PHOTOGRAPH BY TAKERU KORODA

 こけら落としとしては、4つのエキシビションが開催。本館では、収蔵品を“京都の四季”に合わせて厳選して紹介する『コレクションルーム 春期』(季節ごとに展示替え)と、1935年春に本美術館が初めてコレクションした47作品を見せる『京都の美術 250年の夢 最初の一歩:コレクションの原点』(6月2日より開催)、東山キューブでは『杉本博司 瑠璃の浄土』展。ザ・トライアングルでは、京都市立芸術大学を卒業後、国内外で活躍する美術家、鬼頭健吾をフィーチャーする。

画像: 中村大三郎《ピアノ》1926 美人画を多く残した、京都の日本画家・中村大三郎の代表作。ピアノを弾く妻を描いている。『京都の美術 250年の夢 最初の一歩:コレクションの原点』に出品 COURTESY OF THE KYOTO CITY MUSEUM OF ART

中村大三郎《ピアノ》1926
美人画を多く残した、京都の日本画家・中村大三郎の代表作。ピアノを弾く妻を描いている。『京都の美術 250年の夢 最初の一歩:コレクションの原点』に出品
COURTESY OF THE KYOTO CITY MUSEUM OF ART

画像: 杉本博司《仏の海(中尊)》1995 『杉本博司 瑠璃の浄土』展で展示される、三十三間堂の「千体仏」を撮影した杉本の代表的シリーズ。この中尊の大判プリントは本展で世界初公開になる © HIROSHI SUGIMOTO / COURTESY OF GALLERY KOYANAGI

杉本博司《仏の海(中尊)》1995
『杉本博司 瑠璃の浄土』展で展示される、三十三間堂の「千体仏」を撮影した杉本の代表的シリーズ。この中尊の大判プリントは本展で世界初公開になる
© HIROSHI SUGIMOTO / COURTESY OF GALLERY KOYANAGI

 ちなみに『杉本博司 瑠璃の浄土』展は、意外にも杉本にとって、京都の美術館では初となる大規模な個展ということもあり注目だ。今回、杉本は、京都・岡崎の寺院にまつわる史実からインスピレーションを得て、展示空間を“仮想の浄土(仏が住む国)”として表現。杉本が収集した考古遺物なども並ぶ。また京都・三十三間堂の千体仏を撮影した『仏の海』シリーズの中尊を写したカット、プリズムによって太陽光を分光させ、光の色調を映し出した《OPTICKS》など本展が初公開となる作品も多い。

 また、美術館内の日本庭園の池には、エキシビションの一環として《硝子の茶室 聞鳥庵(モンドリアン)》を設置。2014年のヴェネチア建築ビエンナーレに出品され、ヴェルサイユ宮殿などで展示されてきたこの茶室も、今回が日本初公開の杉本作品である。

画像: 杉本博司《硝子の茶室 聞鳥庵》 2014 日本庭園の池には、杉本が千利休による茶室「待庵」に影響を受けて作ったという硝子の茶室を設置している ©HIROSHI SUGIMOTO. ARCHITECTS: NEW MATERIAL RESEARCH LABORATORY / HIROSHI SUGIMOTO + TOMOYUKI SAKAKIDA.ORIGINALLY COMMISSIONED FOR LE STANZE DEL VETRO, VENICE / COURTESY OF PENTAGRAM STIFTUNG & LE STANZE DEL VETRO.

杉本博司《硝子の茶室 聞鳥庵》 2014
日本庭園の池には、杉本が千利休による茶室「待庵」に影響を受けて作ったという硝子の茶室を設置している
©HIROSHI SUGIMOTO. ARCHITECTS: NEW MATERIAL RESEARCH LABORATORY / HIROSHI SUGIMOTO + TOMOYUKI SAKAKIDA.ORIGINALLY COMMISSIONED FOR LE STANZE DEL VETRO, VENICE / COURTESY OF PENTAGRAM STIFTUNG & LE STANZE DEL VETRO.

※6月18日(木)までは、入館を京都府在住者に限定。また当面の間は、前日までに予約専用サイトおよび電話にて要予約
予約専用電話番号:075(761)0239(10:00〜18:00)

京都市京セラ美術館
住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124
開館時間:10:00〜18:00
休館日:月曜 ※ 祝日の場合は開館
電話:075(771)4334
公式サイト

『杉本博司 瑠璃の浄土』
会期:〜10月4日(日)
会場:新館 東山キューブ
入場料:一般 ¥1,500、大学・高校生 ¥1,100、中学生以下無料

『京都の美術 250年の夢 最初の一歩:コレクションの原点』
会期:6月2日(火)〜9月6日(日)
会場:本館 北回廊1階
入場料:一般 ¥1,000、大学・高校生 ¥600(京都市内在住または通学の高校生は無料)、中学生以下無料
※予約受付は5月29日から

『コレクションルーム 春期』
会期:〜6月21日(日)
会場:本館 南回廊1階
入場料:一般 ¥730(京都市内在住の方は¥520)、高校・中・小学生 ¥300(京都市内在住または通学の方は無料)、小学生未満無料

『鬼頭健吾:Full Lightness』
会期:〜9月6日(日)
会場:ザ・トライアングル
入場料:無料(他の展覧会の予約者のみ入場可能)

 

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