BY MASANOBU MATSUMOTO
コンセプトは「アートなものならば何でもあり」。アート作品はもちろん、作品集や雑誌、Tシャツなどのグッズまでをランダムに紹介するウェブサイト「ARTRANDOM」が話題だ。発行人は、長年、ニューヨークを拠点に海外のアートや周辺のカルチャーシーンを日本に伝えてきた田辺良太。現在はアート関連のアドバイザーやコンサルタントとしても活躍するいわばアートの目利きである。コロナ禍で移動の制限が設けられる中、自宅でも楽しめるアートコンテンツを提供したい――そんな思いから、このサイトを立ち上げたという。
サイトでは、田辺がアートフェアや展覧会を紹介するコラム記事「VISIT」、アートコレクションを楽しむ著名人へのインタビュー「COLLECTOR」など豊富なコンテンツが楽しめる。とりわけ面白いのは、ECサイト風にアート関連のアイテムが並ぶ「BROWSE」だ。田辺のほか、クリエイターやアート関係者が自身の好きな“アートなもの”を公開するコーナーで、ギャラリストの小山登美夫のトム・サックスのロケット花火や、藤井フミヤが愛するピエロ・フォルナセッティの作品集などをラインナップ。価格が付けられているものは、購入も可能だ。
また、ギャラリーや作家とタッグを組み、選りすぐりの現代アートを2週間限定で販売する「ART FOR SALE」もこのサイトの目玉コーナーだ。11月30日(月)までは今年セリーヌとのコラボレーションで話題になったドイツのアーティスト、アンドレ・ブレッツアーの絵画作品を出品中。11月30日からは、小山登美夫ギャラリーの協力により、ダミアン・ハーストの代表的シリーズ「スポット・ペインティング」を元にした木版画《Gly-Gly-Ala》が登場する予定だ。ダミアンは、輪切りにした動物をホルマリン漬けにした彫刻など、死や身体をテーマにしたショッキングな作品で世界的に知られる作家。同じサイズのドットを色が隣合わないように配置したこの《Gly-Gly-Ala》は、いくつかのドットが浮き出て見えたり、沈んで見えたりする。人間の視覚の不確かさとともに、純粋な色の楽しさを体感させる作品だ。
問い合わせ先
ARTRANDOM
公式サイト