自然派ラグジュアリーホテルとして世界に名を馳せるシックスセンシズ。4月23日、日本初の「シックスセンシズ 京都」が新たにポートフォリオに加わった。サステナビリティとウェルネスに関わるユニークな体験を通して五感を揺さぶり、第六感を目覚めさせる旅が始まる

BY HARUMI KONO

画像: 京都・東山に美しく佇むホテル外観

京都・東山に美しく佇むホテル外観

 1995年にモルディブでスタートした「シックスセンシズ」は、サステナビリティとウェルネスをコンセプトに掲げる自然派ラグジュアリーホテルのパイオニア。EUが環境問題の解決策として提唱した「循環経済行動計画」が2015年ということを鑑みると、シックスセンシズは世界がまだサステナブルに意識を向けていなかった時代から未来を見据えていた。世界21カ国でホテル・レジデンスを展開しているシックスセンシズが26番目のホテルとして日本に初上陸。場所は京都、東山地区。妙法院、三十三間堂、豊国神社という名だたる寺社が建ち並び、日本の歴史を紡いできた文化的に意味のある場所に。

画像: (左)ワールド・ブランズ・コレクション ホテルズ&リゾーツ株式会社 代表取締役社長 河本浩氏 アメリカにてホスピタリティマネージメントを学び、米国内ホテルに勤務。2003年に帰国後、日本国内の複数のホテルの総支配人を経て2023年同社に入社。2024年4月より現職 (右)シックスセンシズ 京都 総支配人 ニコラス・ブラック氏 ヨーロッパで育ち、アメリカでホテルビジネスに携わる。国際的ライフスタイルホテルの総支配人として来日。前職では世界一のレストランと称される「noma(ノーマ)」京都でのPop-upを初めて手掛け、イベントを成功させた実績を持つ。アースラボでの和紙作り、発酵について学ぶなど日本文化をリスペクト。読者へのメッセージを問うと、笑顔で"Everyone is welcome." と答えてくれた

(左)ワールド・ブランズ・コレクション ホテルズ&リゾーツ株式会社 代表取締役社長 河本浩氏
アメリカにてホスピタリティマネージメントを学び、米国内ホテルに勤務。2003年に帰国後、日本国内の複数のホテルの総支配人を経て2023年同社に入社。2024年4月より現職

(右)シックスセンシズ 京都 総支配人 ニコラス・ブラック氏
ヨーロッパで育ち、アメリカでホテルビジネスに携わる。国際的ライフスタイルホテルの総支配人として来日。前職では世界一のレストランと称される「noma(ノーマ)」京都でのPop-upを初めて手掛け、イベントを成功させた実績を持つ。アースラボでの和紙作り、発酵について学ぶなど日本文化をリスペクト。読者へのメッセージを問うと、笑顔で"Everyone is welcome." と答えてくれた

 京都が選ばれた理由について、シックスセンシズ 京都を運営するワールド・ブランズ・コレクション ホテルズ&リゾーツ株式会社(ウェルス・マネジメント株式会社グループ)代表取締役社長の河本浩氏はこう語る。

「京都で新しくホテルを作る際、単なるラグジュアリーではなく何かに特化したラグジュアリーを持っているブランドを求めていました。サステナビリティとウェルネスを大切にしているシックスセンシズのフィロソフィーが、自然豊かな京都と共鳴すると考えていました。大規模ではなく、ゲストへ目が行き届く客室数が100室以下という点も重要でした。隣接する豊国神社の使われていない用地にシックスセンシズの有機菜園を作ることも神職の方々が快く場所を提供してくださったことで、地域とシックスセンシズの理念を共有することができます。そして総支配人ニコラスさんの存在が大きかった」

画像: 隣接する豊国神社の敷地内にある菜園で無農薬で作られるハーブ、お茶、野菜は、オールデイダイニング「Sekki」やアルケミーバー、アースラボでのワークショップで使われる PHOTOGRAPH BY HARUMI KONO

隣接する豊国神社の敷地内にある菜園で無農薬で作られるハーブ、お茶、野菜は、オールデイダイニング「Sekki」やアルケミーバー、アースラボでのワークショップで使われる 
PHOTOGRAPH BY HARUMI KONO

 全般的に人材不足が懸念される昨今、総支配人も例外ではない。ブランドのコンセプトを会得して勇往邁進するリーダーシップとホスピタリティを併せ持つ人物が、総支配人を務めるニコラス・ブラック氏だ。

「コロナ禍で自分を見つめ直す時間の中で内面に目を向け、心身の健康を意識するようになりました。あるタイミングでシックスセンシズのCEOにお話させていただく機会があり、その後、一年以上にわたって話し合いを重ねたうえで、シックスセンシズ 京都の総支配人になることを決意しました」

 毎日くまなくホテル館内を巡り、ゲストはもちろんスタッフ一人一人に気さくに声をかけるブラック氏のフレンドリーな人柄は魅力的だ。スタッフから「ニコさん」と呼ばれるブラック氏が実践するのは、ポジティブなマインドで感情に訴えるエモーショナルなホスピタリティ。「心のこもったパーソナルタッチのあるホスピタリティを提供すれば、ゲストには滞在体験のよさをより深く感じていただけることでしょう」

画像: オールデイダイニング「Sekki 」(節気)では、二十四節気の季節ごとにメニューが変わる「暦アフタヌーンティー」を提供。グルテンフリー、シュガーフリー(精製糖不使用)を多く取り入れている。写真は夏至のメニュー(提供期間2024年6月21日~7月6日)

オールデイダイニング「Sekki 」(節気)では、二十四節気の季節ごとにメニューが変わる「暦アフタヌーンティー」を提供。グルテンフリー、シュガーフリー(精製糖不使用)を多く取り入れている。写真は夏至のメニュー(提供期間2024年6月21日~7月6日)

画像: 中庭での朝食。米粉のパンケーキ、宇治の平飼い卵で作られたオムレツ、自家製のスムージー。気持ちの良い中庭で1日をスタート。この他、ビュッフェ、和定食がある

中庭での朝食。米粉のパンケーキ、宇治の平飼い卵で作られたオムレツ、自家製のスムージー。気持ちの良い中庭で1日をスタート。この他、ビュッフェ、和定食がある

 シックスセンシズ 京都のテーマは平安時代の雅。当時の人々が月、花、雨、雪といった自然と季節の移ろいを愛でたことは和歌に詠まれている。ホテルを訪れると感じる、澄んだ空気に北山杉や檜、柑橘系果物、カルダモンが漂う心地良い香りは、これから楽しいことを予感させる雨上がりの鞍馬山にインスパイアされて作られたオリジナルのアロマ。味覚を刺激する「オールデイダイニング Sekki (節気)」とカフェ「Café Sekki (カフェ節気) 」の名前は二十四節気に由来する。地元の旬の食材を用いて作られる料理を通して季節を感じとることができる。シックスセンシズ 京都では、二十四節気の暦に基づいて時が流れている。

画像: 全81室のうちスイートルームは8室。写真の「3ベッドルーム ペントハウス スイート」は238㎡という広さ

全81室のうちスイートルームは8室。写真の「3ベッドルーム ペントハウス スイート」は238㎡という広さ

 スイートルーム8室を含む全81室の客室には、「Sleep With Six Senses」のコンセプトに基づいたハンドメイドによる特注のマットレス、温度調整可能な枕やオーガニックコットンシーツ、羽毛布団、パジャマを完備。さらに上質な眠りを追求するゲストは、睡眠計測デバイスやスリーププログラムを利用することができる。

画像: Grow With Six Senses(キッズクラブ)の玩具はすべて木製。「どうして木のおもちゃなのかな?」という疑問が環境問題への第一歩となる

Grow With Six Senses(キッズクラブ)の玩具はすべて木製。「どうして木のおもちゃなのかな?」という疑問が環境問題への第一歩となる

 シックスセンシズの取り組みで注目したいことの一つが「Grow With Six Senses」という子ども向けのキッズクラブだ。子どもたちが夢中になって遊びながら、折り紙など日本の伝統や、室内では靴を脱ぐといった習慣を学べる仕組みになっている。スパにはキッズスパメニューがあり、ファミリーフレンドリーな滞在が可能だ。「子どもたちが楽しければ親御さんも喜びます。またこのホテルに泊まりたい、世界のシックスセンシズに行ってみたいと子どもたちが旅のイニシアチブを取るきっかけになりますね」とブラック氏は雄弁に語る。

画像: 「シックスセンシズスパ 京都」のトリートメントルーム

「シックスセンシズスパ 京都」のトリートメントルーム

画像: 時差ボケや疲労を素早く解消する「バイオハック リカバリー ラウンジ」

時差ボケや疲労を素早く解消する「バイオハック リカバリー ラウンジ」

画像: 五感が研ぎ澄まされるような趣の室内プール

五感が研ぎ澄まされるような趣の室内プール

 シックスセンシズの真骨頂といえる「シックスセンシズ スパ 京都」では、日本初の「ウェルネススクリーニング」を導入。最新鋭の機器で心拍数、血圧など、およそ40種類のバイオマーカーを測定し、数分で体の内部でケアが必要な箇所を導き出す。この結果を踏まえて専門家がトリートメントプログラムを組み立てる。長期スパンで定期的にスクリーニングを受けることも可能なので、世界のシックスセンシズではリピーターが多い。また、日本のホテルで2つめの「WATSU(ワッツ)/水中ボディワーク」専用のプールや、時差ボケや疲労を短時間で回復させる「バイオハック リカバリー ラウンジ」がある一方で、禅の思想に則って心身を休めるシックスセンシズ スパ 京都限定トリートメント「阿吽 (あうん)」も人気を博している。

画像: 「アースラボ」はシックスセンシズのサステナビリティの拠点。様々なワークショップを開催している

「アースラボ」はシックスセンシズのサステナビリティの拠点。様々なワークショップを開催している

画像: ウェルネスについて学ぶ拠点「アルケミーバー」では、天然由来の素材でボディオイルやスクラブなどを作るワークショップを開催。ビジターも参加可能で、自宅でもつくれるボディケアアイテムについて学べる

ウェルネスについて学ぶ拠点「アルケミーバー」では、天然由来の素材でボディオイルやスクラブなどを作るワークショップを開催。ビジターも参加可能で、自宅でもつくれるボディケアアイテムについて学べる

 サステナビリティの中枢となるのは「Earth Lab」(アースラボ)。ここではホテルで使うすべての飲料水を浄水して再利用可能なガラス瓶にボトリングしている。自家発電ならぬ自家浄水をすることで、水の輸送にかかるCO2の排出量の削減とプラスチックフリーを実践している。2022年のシックスセンシズの公式発表によると、世界のシックスセンシズで170万本分のペットボトルの使用を削減した。アースラボでは金継ぎ、蜜蝋ラップ作り、廃棄された食材を粉砕して塗料として使用する扇子絵付け体験など、様々なアップサイクルのワークショップを提供している。エココンシャスな旅の思い出を家に持ち帰って欲しいというシックスセンシズからのメッセージが込められている。

画像: 客室のドアでは、和紙で作られた狐がゲストを見守って、消灯すると「Do not disturb」のサインにもなる PHOTOGRAPH BY HARUMI KONO

客室のドアでは、和紙で作られた狐がゲストを見守って、消灯すると「Do not disturb」のサインにもなる
PHOTOGRAPH BY HARUMI KONO

 かつて日本では着物を仕立て直し、竹の皮でおにぎりを包み、茶殻で掃除をしていた。衣食住において古くからサステナブルを実践してきた私たち日本人のDNAが時を超えてシックスセンシズ 京都と融合する。

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF SIX SENSES KYOTO

シックスセンシズ 京都
住所:京都府京都市東山区妙法院前側町431
TEL. 075-531-0700
公式サイトはこちら

髙野はるみ(こうの・はるみ)
株式会社クリル・プリヴェ代表
外資系航空会社、オークション会社、現代アートギャラリー勤務を経て現職。国内外のVIPに特化したプライベートコンシェルジュ業務を中心にホスピタリティコンサルティング業務も行う。世界のラグジュアリー・トラベル・コンソーシアム「Virtuoso (ヴァーチュオソ)」に加盟。得意分野はラグジュアリーホテル、現代アート、ワイン。シャンパーニュ騎士団シュヴァリエ。
公式サイトはこちら

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