TEXT AND PHOTOGRAPHS BY TERUNO TAIRA
訪れたのは暑さがやわらぎ始めた絶好の初秋。あいにくの雨だったが、道の広い北海道の快適なドライブの後、地下の駐車場に車を止めてチェックイン。天井が高く広々としたロビーには大きな暖炉があり、北海道のホテルに来たな、と実感する。案内された客室は障子や引き戸などの和の意匠を取り入れながら、シンプルモダンなデザイン。白木の質感を生かした温もりある空間の客室は、40㎡のスタジオタイプから2ベッドのスイート、4ベッドルーム・プライベート温泉付きのペントハウスまでバリエーション豊富にそろう。私の部屋は羊蹄山を望む羊蹄ビュータイプで、大きな窓からその美しい姿を拝んだ。スキーやスノーボードを楽しむ長期滞在のゲストを想定し、室内には調理スペースのあるキッチンやランドリーが備わっていて、コンドミニアム的な利用も可能だ。2人旅はもちろん、大人数のグループ旅行や小さな子供または年配の親世代との旅行など、誰と来ても快適に過ごせること請け合いだ。
2022年のオープンからわずか2年でミシュランガイドの1ミュシランキーホテルに選出され、最優秀を受賞した理由は、ただ宿泊するだけでなくユーザーに特別な体験を提供する施設であること。温泉やジム、スパ、ヨガスタジオを備えたエリアは750㎡もの広さを誇り、スノーレジャーが目的の滞在でない場合も、十分にウエルネスを楽しめる環境が整う。なかでも六花(リッカ)スパは東京・赤坂の実力派スパ、「ラピデム」が監修。陰陽五行をベースに薬草などを取り入れ、気・血・水のバランスを整えて自己治癒力を高めるボディやフェイシャルのトリートメント。セラピスト自らが摘んできたハーブや植物を使用する足浴から始まり、施術はオール・ハンド。冬のハイシーズンにはスパの全5室が宿泊時の予約の段階でフルになるほど人気なので早めの予約がおすすめだ。
スパ、温泉でくつろいだ後はお待ちかねの夕食。メインダイング、「méli mélo -Yuki No Koe-(メリメロ‐雪の聲‐)」へ。北海道出身でミシュランの星に輝く佐藤大典シェフ監修の北海道産の食材を使ったコース料理は、フレンチとイタリアンのフュージョン。秋ナスとアンチョビの冷製パスタ、自家製手打ち麺のアラビアータ、クリームチーズの入ったラビオリ……ひと皿ひと皿ポーションは比較的少なめであれこれ食べられるのがうれしいスタイル。メインはここ北海道白老町のブランド牛・白老和牛のステーキ。サシはきめ細かく赤身に旨味が凝縮されていて、一口ひとくちまろやかに溶けていく。最後のデザートには、美瑛産のジャージー牛乳で作ったブラマンジェを。ゆっくりとディナーを楽しんだら、今度は貸し切りの個室温泉へ。お湯に入ったり、浴槽に腰かけて足だけ浸かって一緒に行った友人と長話に興じながら、1時間ほど長風呂を。からだが芯から温まり、夜はぐっすり。
ゆったりとしたベッドですっきり目覚めた朝。早朝のヨガレッスンへ。インストラクターが個々のレベルに合わせて、時に手を添えながら指導してくれる。朝の光の入るスタジオでゆっくりと体を動かすとじんわりと汗がにじむほど。スキーやスノーボードをするにはまだ早いシーズンの訪問だったが、雪ニセコはスパやグルメが充実しており、ニセコ観光の拠点としても使い勝手がすこぶる良いホテル。冬のハイシーズンはもちろん、春夏秋も楽しめること間違いなし。
雪ニセコ
住所:北海道虻田郡倶知安町ニセコひらふ1条2-6-9
料金:冬季スペシャル朝食付きプラン 1泊1名¥23,000~(2名1室利用時)
※2024年11月11日(月)~28日(木)休業
TEL. 0136-55-5130
公式サイトはこちら
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