今年3月、花街・宮川町に「カペラホテルズ&リゾーツ」が日本初上陸。2024年度「The World's 50 Best Hotels」で第一位に輝いたカペラバンコクの総支配人を経てカペラ京都統括総支配人を務めるジョン・ブランコ氏に話を聞いた

BY HARUMI KONO

画像: 日本最古の禅寺・建仁寺に隣接するカペラ京都は、地上4階、地下2階建。宮川町歌舞練場、地域施設とともに手がけたのは隈研吾建築都市設計事務所 COURTESY OF CAPELLA KYOTO

日本最古の禅寺・建仁寺に隣接するカペラ京都は、地上4階、地下2階建。宮川町歌舞練場、地域施設とともに手がけたのは隈研吾建築都市設計事務所

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 2026年3月、京都の宮川町にて「カペラ京都」が開業した。木を伐採せずに建てた「カペラウブド」、中国とフランスの文化が交錯する「カペラ上海」など、その土地の文化を大切にする「カペラホテルズ&リゾーツ」の新たな挑戦だ。

その土地の歴史と文化への敬意とともに

 カペラ京都があるのは細い石畳の両側に町家が軒を連ね、そこに住む人々の気配を感じる花街・宮川町。その土地の歴史と文化に敬意を払い、生涯の思い出となるような体験を提案するカペラの哲学にふさわしい場所として選ばれたのは、141年の歴史を刻んだ元新道小学校跡地。ホテルの建設にあわせて、隣接する宮川町歌舞練場と地域施設が新しくなり、カペラ京都は宮川町が紡いだ歴史と文化を地域と共に継承する形で開業した。
「歌舞練場、建仁寺に隣接し、職人たちが仕事に打ち込む、京都の中でも伝統が生活に根付いている場所。その土地の文化、歴史、クラフトマンシップを尊重するカペラにとって、ここにホテルがあることに、とても重要な意味があります。カペラ京都の建設が決まった際、新道自治連合会、宮川町お茶屋組合をはじめとする地元の方々から当時の様子を伺いました。その中には元新道小学校の卒業生や元校長先生もいらして、対話を重ねるにつれ、宮川町の方々にとって、この場所、歴史、文化がいかに大切なものであるのかを強く感じました」と統括総支配人のジョン・ブランコ氏。

画像: 宮川町歌舞練場の象徴、唐破風(からはふ)屋根を中庭に設え、近隣とのつながりを表している。ホテル内の随所に飾られた盆栽が静謐な空間に凜とした空気を漂わせる COURTESY OF CAPELLA KYOTO

宮川町歌舞練場の象徴、唐破風(からはふ)屋根を中庭に設え、近隣とのつながりを表している。ホテル内の随所に飾られた盆栽が静謐な空間に凜とした空気を漂わせる

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 世界のカペラでは、「カペラカルチャリスト」と呼ばれる専門のスタッフがその地域に伝わる文化をキュレーション。京都では一般には訪問が難しい漆や下駄職人の工房訪問を、カルチャリストが橋渡しする。職人との対話を通して伝統文化の本質に触れることができる、とゲストに好評だ。「カルチャリストが案内するのは、サーフボードに漆を施す漆芸家、姿勢を整えるための踵のない下駄を作る下駄職人など、伝統に新たな視点を持って仕事に打ち込む方々です」とブランコ氏。

 ホテル内にはゲストが無料で参加できる「カペラモーメンツ」があり、組紐のチャーム作り、風呂敷の包み方、バーのミクソロジストによる日本酒のテイスティング、シグネチャーカクテルの分析など多彩なプログラムがある。また、花街文化の継承のため「カペラリチュアル」では、舞妓の舞、三味線や琴の演奏が日替わりで行われる。舞の後には舞妓自ら、白粉を塗る理由、髪型、着物やポッチリ(帯留)について説明してくれる。

画像: **カペラ京都 統括総支配人 ジョン・ブランコ氏 (John Blanco)** アメリカ出身。スイスのホテルスクール卒業後、ザ・リッツ・カールトン、フォーシーズンズホテルズ&リゾーツを経てカペラホテルへ。6カ国語を自由に操り、高い専門知識と温厚な人柄で業界関係者をはじめ、多くのゲストを惹きつける。開業時よりカペラバンコク総支配人として活躍後、カペラホテル日本初上陸とともに、同グループのパティーナ大阪とカペラ京都の統括総支配人に就任。カペラ京都の開業式典は和装、地元のお祭りには半被姿で参加するなど、カペラの哲学と同様、地域の文化を尊重している。 COURTESY OF CAPELLA KYOTO

**カペラ京都 統括総支配人
ジョン・ブランコ氏 (John Blanco)**

アメリカ出身。スイスのホテルスクール卒業後、ザ・リッツ・カールトン、フォーシーズンズホテルズ&リゾーツを経てカペラホテルへ。6カ国語を自由に操り、高い専門知識と温厚な人柄で業界関係者をはじめ、多くのゲストを惹きつける。開業時よりカペラバンコク総支配人として活躍後、カペラホテル日本初上陸とともに、同グループのパティーナ大阪とカペラ京都の統括総支配人に就任。カペラ京都の開業式典は和装、地元のお祭りには半被姿で参加するなど、カペラの哲学と同様、地域の文化を尊重している。
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現代のセンスを取り入れた町家

画像: ホテルの中心「リビングルーム」。屏風が置かれた畳の舞台で芸妓が舞を披露するほか、多くのカペラモーメンツが行われ、かつての学舎の記憶を継承する COURTESY OF CAPELLA KYOTO

ホテルの中心「リビングルーム」。屏風が置かれた畳の舞台で芸妓が舞を披露するほか、多くのカペラモーメンツが行われ、かつての学舎の記憶を継承する

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 宮川町の風情ある街並みに馴染むカペラ京都は、京町家を意識した中庭を囲むロの字型の建物。暖簾をくぐりエントランスから傾斜のある細い石畳のような通路を下り、掛け軸がかけられたロビーを通り抜け、廊下を一歩ずつ奥に進むと、ホテルの中心にある障子で仕切られたリビングルームに着く。このリビングルームを通りゲストは部屋に向かう。

画像: 小さな庭を設えた温泉スイートの浴室 COURTESY OF CAPELLA KYOTO

小さな庭を設えた温泉スイートの浴室

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 最上階のカペラスイート、中庭に面した6室の温泉スイートなど、29のスイートを含む合計89の客室は畳のようなカーペットと障子を基調にしている。自然光と木のぬくもりあふれる部屋に置かれているのは、陶器、竹細工、和紙のレターセット、畳製のヨガマットなど京都にちなんだもの。夕刻のターンダウンサービスでは、ポットに入った「おだしのうね乃」の出汁と絵馬、達磨のチャームなどが置かれ、京都の風習を学び静かな夜を迎える。

画像: 夕刻にサーブされた「おだしのうね乃」のだし汁。柚子の香りが1日の疲れを癒す。カペラ京都が描かれた絵馬が置かれていた(日によってアメニティは異なる) PHOTOGRAPH BY HARUMI KONO

夕刻にサーブされた「おだしのうね乃」のだし汁。柚子の香りが1日の疲れを癒す。カペラ京都が描かれた絵馬が置かれていた(日によってアメニティは異なる)

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画像: 歯ブラシやコットンなどの洗面所周りのアメニティは、芸妓が描かれた箱にひとつひとつ収められ、まるでパズルのようだ PHOTOGRAPH BY HARUMI KONO

歯ブラシやコットンなどの洗面所周りのアメニティは、芸妓が描かれた箱にひとつひとつ収められ、まるでパズルのようだ

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画像: ジュニアスイート テンプル ツインから見える日本最古の禅寺・建仁寺 COURTESY OF CAPELLA KYOTO

ジュニアスイート テンプル ツインから見える日本最古の禅寺・建仁寺

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画像: 窓の景色は花街・宮川町の街並み。宮川町歌舞練場を臨むプレミア シアター キング COURTESY OF CAPELLA KYOTO

窓の景色は花街・宮川町の街並み。宮川町歌舞練場を臨むプレミア シアター キング

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ソノマと京都の食文化が融合したレストラン

 ホテルには3つのレストランがあるが、和食の中心地京都で国内外のゲストが満足するレストランを開くことは大きなチャレンジだった。ブランコ氏は世界中のレストランをリサーチして、カリフォルニア州ソノマのミシュラン三ツ星レストラン「Single Thread」に辿り着いた。オーナーシェフのカイル・コノートンとヘッドファーマーのカティーナ・コノートン夫妻は北海道で暮らした経験があり、日本の食文化を理解している。自然をリスペクトする彼らに初めて電話をして意気投合、3時間も話が弾み、日本初のソノマ「SoNoMa by SingleThread(想乃間 by SingleThread)」がシグネチャーレストランとしてオープンする運びとなった。牽引するのはソノマで生まれ育ち、和食の名店「てのしま」で修行経験のある富永敬太シェフ。日本の食材がソノマのセンスを取り入れて和と洋の間を自由に行き来する。

画像: シグネチャーレストラン「SoNoMa by SingleThread 」はカウンター12席、ラウンジバー20席。ソノマの「SingleThread」でコノートンシェフは日本の職人が作った器を使っている。ソノマと日本、それぞれのストーリーを感じる料理を味わいたい COURTESY OF CAPELLA KYOTO

シグネチャーレストラン「SoNoMa by SingleThread 」はカウンター12席、ラウンジバー20席。ソノマの「SingleThread」でコノートンシェフは日本の職人が作った器を使っている。ソノマと日本、それぞれのストーリーを感じる料理を味わいたい

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至福のトリートメントはアウリガスパで

 カペラの「アウリガスパ(Auriga Spa)」は、月の満ち欠けのサイクルから考案されたトリートメントに定評がある。アウリガとは「ぎょしゃ座」のこと。その「ぎょしゃ座」の中の一等星が「カペラ」。実は二つの星が連なって輝きを放つことから、カペラの名前にはゲストに寄り添うホテルという思いが込められている。そして、五つの星からなる「ぎょしゃ座」の一つ一つの星は、ホテル、ゲスト、その土地の文化、歴史、そこに住む人々の五つを表しているようだ。

画像: バー&和食レストラン「宵」には、元新道小学校で使われていたランプや木材が使われている。奥のカウンターがバー、手前が和食レストラン。レストランはもうひとつ、オールデイダイニングのフレンチブラッスリー「Lanterne(ランテーヌ)」がある。名前の由来は町家の軒下にかかる提灯から COURTESY OF CAPELLA KYOTO

バー&和食レストラン「宵」には、元新道小学校で使われていたランプや木材が使われている。奥のカウンターがバー、手前が和食レストラン。レストランはもうひとつ、オールデイダイニングのフレンチブラッスリー「Lanterne(ランテーヌ)」がある。名前の由来は町家の軒下にかかる提灯から

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カペラ京都
住所:京都府京都市東山区小松町130
TEL:075-541-8877
公式サイトはこちら

髙野はるみ(こうの・はるみ)
株式会社クリル・プリヴェ代表
外資系航空会社、オークション会社、現代アートギャラリー勤務を経て現職。国内外のVIPに特化したプライベートコンシェルジュ業務を中心にホスピタリティコンサルティング業務も行う。世界のラグジュアリー・トラベル・コンソーシアム「Virtuoso (ヴァーチュオソ)」に加盟。得意分野はラグジュアリーホテル、現代アート、ワイン。シャンパーニュ騎士団シュヴァリエ。
公式サイトはこちら

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