アーティストで写真家のナン・ゴールディンと、ライターのソーラ・シームセン。巣ごもり生活を共にするふたりは、互いに有意義で幸福な時間を重ねている

INTERVIEW BY COCO ROMACK, PHOTOGRAPH BY JASMINE CLARKE, TRANSLATED BY MAKIKO HARAGA

ソーラ・シームセン:出会いは2019年12月。トライベッカの「Saluggi’s」でナンにインタビューし、復刊された写真集『The Other Side』(1993年)と、ロンドンのマリアン・グッドマン・ギャラリーでのスライドショーについて聞いたんですが話が尽きなくて。私は翌日コロラドの実家に帰省したのですが、ニューヨークに戻るやいなや再会し話の続きを。その後バックギャモンで遊び始め、ナンが教えてくれる“映画教室”も始まり、ヒッチコックやヴィスコンティの作品、ジュディ・ホリデイやバーバラ・スタンウィックの全出演作を一緒に観ました。ロックダウンが近いと聞き、巣ごもり生活をともにしようという話になり、私が彼女のもとへ引っ越しました。急な決断でしたが大正解。ナンの前では大人の私でいられる。安心できるんです。

9月のナンの誕生日にコネチカットの「ホーリーランドUSA」へ。かつて聖書のテーマパークだった廃墟で、ふたりのお気に入りの映画『Wanda』(1970年)にも登場。夏には、私のホルモン療法開始後初めての海水浴へ(註:ソーラはトランスジェンダー)。ナンがボートから撮った写真は宝物で、見ると美しいと思った瞬間が甦ります。

画像: (左)アーティストのナン・ゴールディンは67歳。(右)ライターのソーラ・シームセンは30歳。撮影は2021年1月9日、ブルックリン・クリントンヒルにあるゴールディンのアパートにて

(左)アーティストのナン・ゴールディンは67歳。(右)ライターのソーラ・シームセンは30歳。撮影は2021年1月9日、ブルックリン・クリントンヒルにあるゴールディンのアパートにて

ナン・ゴールディン:あのタイミングでソーラと出会えたのは幸運だった。長い間ポートレートから遠ざかっていたの。空を撮るとか何万枚もの自分のスライドを振り返るほうが、創造力をかき立てられたから。人物撮影は親密な行為。深いつながりを感じないとできないし、撮影を通して思いが深まることもある。自分の美しさに気づいていない人に出会うと、私がそれを本人に示してあげなくちゃ、と思うわね。出会った頃、ソーラはシャイだったけど、フェミニンになっていくのを1年間そばで見ていた。ニューヨークのマリアン・グッドマンでのスライドショーでは、新しく自宅で撮り下ろした写真とあわせて彼女のポートレートを使うことも検討中よ。

ソーラはすごい記憶力の持ち主で、アン・ムーディやシーグリッド・ヌーネスなど、私が読んだことのない作家についてたくさん教えてくれた。逆に、私の影響で彼女はパトリシア・ハイスミスの大ファンに。世間は私たちを恋人同士だと決めてかかる。理解が表面的だな、と思うわね。私たちは互いに異なる人生のステージに立っているけれど、対等な立場でできるものを見つけたの。バックギャモンにハマり、ロックダウン中もずっとやっていたわ。互いの存在があるからこそ、私たちは正気と平穏を保っていられるのよ。

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