薄毛や白髪、うねりにパサつきと悩みが尽きない大人の髪。今の髪を少しでも美しく見せながら、未来の髪も育てていく。今すぐ始めたい、大人のヘアケアを、『しみる、かゆいは危険信号! いい白髪ケア、やばい白髪ケア』の著者、美容ジャーナリスト・毛髪診断士の伊熊奈美がレクチャー!

BY NAMI IKUMA

vol.1 大人の髪を更新する、ブラッシングケア

 自然な輝きのある美しい髪。そのビューティパワーは、服やメイクを凌駕するほどの力をもつ。しかし年齢を重ねれば肌と同様、ハリ・ツヤが失われやすいのでヘアケアに注力したい。弱くなった髪には、「未来の髪」と「現在の髪」2つの視点からのケアが必要だ。まずは頭皮をほぐす基本のマッサージで「未来の髪」をエンカレッジする長期視点のケアから始めよう。

5つの筋肉を通して、血流を頭頂へ届ける

画像: ILLUSTRATION BY NKT

ILLUSTRATION BY NKT

 東洋医学では「髪は血余」といわれる。体内で作られた血液の最優先の行き先は、生命を維持するための臓器。髪や爪は、必要な血液が行き渡った後の余りで生成されるという意味だ。加えて、年齢を重ねれば、代謝の衰えから血液やリンパのめぐりが悪くなる。この血流不足こそ、薄毛、うねり、白髪といった大人の髪痩せの根本的な原因がある。
 心臓からもっとも遠い頭頂まで血流を促すため、注目すべきは太い血管が流れている頭皮下の筋肉だ。側頭筋、後頭筋、後頭下筋群、前頭筋、併せて首から肩にかけての僧帽筋。この5つの筋肉の場所を頭に思い描き、ここから筋肉のない頭頂の帽状腱膜に向かって血流を促すように、頭皮をほぐそう。

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vol.2 大人の髪が美しく輝く、ツヤ出しテクニック

 「未来の髪」へのケアとして、マッサージを兼ねた頭皮ブラッシングを朝晩の歯磨きのようにできるようになったら、あとは育つのを待ちながら、今ある「現在の髪」を美しく見せるテクニックを身につけよう。

大人になるほどヘアケアが必要な理由

髪や爪は肌に対して「死んだ細胞」といわれている。毛髪は排出器官であり、角化した細胞が体外に排出されたもの。外に出た髪が肌のように新しい細胞に生まれ変わることはなく、自然に劣化していくもの。この現象自体は若くても年齢を重ねていても同じことだ。
 生えてきたままの美しさを保ちたいのであれば、劣化しないように保護したり、傷んだ部分を補修したりするスペシャルなヘアケアがどうしても必要なのだ。しかも、エイジングヘアは生えてくる髪質そのものが若い頃に比べて弱くなりがち。デリケートで劣化も早いところに白髪染めなどのカラーを繰り返すことになってしまう。年齢を重ねるほど髪を美しく保つヘアケアとテクニックが重要になるというのはこういうわけだ。

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vol.3 大人の髪を優しく染める、「ヘナ」のすゝめ

 大人の髪悩みといえば、真っ先に上がるのが白髪。白髪を一般的なヘアカラーで染めるという以外に、植物性染料の「ヘナ」という選択肢がある。髪や頭皮を健やかに保ち、持続可能で環境にもやさしいことから、最近注目が集まっている。まずはヘナの基礎知識とそのメリットとデメリットを理解していこう。

ヘナ染めとは、毛髪を草木染めにすること

 ヘナとはミソハギ科の樹木の固有名詞で、本来の発音は「ヘンナ(Hennna)」という。北アフリカから南アジアを原産とし、葉にオレンジ色の色素をもつことから、古来より装飾や薬草として用いられていた。古代エジプトでは高貴な女性の爪や髪の装飾用に、インドではお祝いや魔除けの意味を込めたヘナタトゥーというボディペイントに、さらに庭先に植えて火傷のときの湿布薬にと、常に人々の身近にあったという。日本で髪染め用として入手できるものは、インドやモロッコなどからの輸入が多いが、沖縄など高温の地域で栽培された国産のヘナもある。

画像: 沖縄で栽培されているヘナの木

沖縄で栽培されているヘナの木

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vol.4 いつもキレイをキープする、白髪用リタッチコスメのHow To

 マスカラタイプにファンデーションタイプ……。ここ数年でバリエーション豊かになった、白髪用の1dayリタッチコスメ。気付いたときに即カバーできるからとても便利だが、うまく使いこなせないという声も多い。使い方のコツと、白髪のタイプ別使いこなし方をマスターしよう。

顔のシミをコンシーラーで消す感覚

 ピンと浮き上がってきたり、根元にぞろっと見えてきたり……なぜか出かける直前になると急に目立つような気がするから不思議なものだ。白髪用のリタッチコスメは、頰のシミをコンシーラーでカモフラージュするのと同じ感覚で使え、成分的にもヘアカラー剤というよりファンデーションや口紅に近いもの。色もちは1日限りだが、髪を傷めず、気になったときにスピーディにカバーできるので、緊急対策用として常備しておくと便利。カラー剤の刺激が気になる人もこれなら気軽に使うことができる。

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画像: 伊熊奈美 美容エディター、ジャーナリスト。(公社)日本毛髪科学協会毛髪診断士認定指導講師。20年以上に渡り、女性誌を中心に美容分野の記事を編集、執筆、監修。美容関連企業のコンサルティングにも携わる。著書に『頭皮がしみる、かゆいは危険信号!いい白髪ケア、やばい白髪ケア』(小学館)、『脱白髪染めのはじめかた〜でもいきなりグレイヘアは無理』(グラフィック社)がある。 @namiikuma_hairista COURTESY OF NAMI IKUMA

伊熊奈美
美容エディター、ジャーナリスト。(公社)日本毛髪科学協会毛髪診断士認定指導講師。20年以上に渡り、女性誌を中心に美容分野の記事を編集、執筆、監修。美容関連企業のコンサルティングにも携わる。著書に『頭皮がしみる、かゆいは危険信号!いい白髪ケア、やばい白髪ケア』(小学館)、『脱白髪染めのはじめかた〜でもいきなりグレイヘアは無理』(グラフィック社)がある。 @namiikuma_hairista
COURTESY OF NAMI IKUMA

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