暖かな灯りと共に空間に豊かな表情を添えてくれるランプは、とびきりセンスの良いものを選びたい。そこで、名建築家たちが手がけた美しいランプを厳選紹介。モダニズムを牽引した名作から近年の注目作まで、アートフルなランプをチェックして

BY SUMIRE FUJIWARA

ル・コルビュジエの「ランプ・ド・マルセイユ・ミニ」

画像: ネモ「ランプ・ド・マルセイユ・ミニ」¥200,200/YAMAGIWA COURTESY OF YAMAGIWA

ネモ「ランプ・ド・マルセイユ・ミニ」¥200,200/YAMAGIWA

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 フランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエと並び、“近代建築の三大巨匠”と呼ばれる建築家ル・コルビュジエが、1947〜1952年にかけて設計した仏・マルセイユの集合住宅「ユニテ・ダビタシオン」。そこで採用されていたのが、こちらの「ランプ・ド・マルセイユ・ミニ」だ。 

 特徴は、下方を照らす直接光と天井方向を照らす間接光の組み合わせというユニークな構造。フレキシブルに向きを変えられる関節が2つあることで、照らしたい場所に的確に光を届けることができ、ダイニングの照明や、書斎のタスクライト、ベッドサイドライト、読書灯と幅広いシーンで活躍してくれる。ル・コルビュジエらしい機能美を追求したスマートなデザインで組み合わせるインテリアのテイストを選ばない使い勝手の良さも魅力的。

画像1: COURTESY OF YAMAGIWA

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アルネ・ヤコブセンの「AJロイヤル」

画像: 「AJロイヤル」(Φ370、E17)¥129,800/ルイスポールセン  COURTESY OF LOUIS POULSEN

「AJロイヤル」(Φ370、E17)¥129,800/ルイスポールセン

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  デンマークを代表する建築家にして、優れたインテリアデザイナーでもあったアルネ・ヤコブセン。そんな彼が、1957年にコペンハーゲンのSASロイヤルホテルのためにデザインしたペンダントライト「AJロイヤル」は、シャープな表情を湛えたグラフィカルなルックスが特徴。65年以上の時を経てもそのフレッシュな魅力は損なわれることなく、今なお愛され続けている名作のひとつだ。

 下部にディフューザー(光を拡散するカバー)を付属することで、眩しさを感じにくい滑らかな光を、そして上部のルーバーが天井にも優しい光を向けることで、部屋全体を暖かな光で包み込んでくれる。

画像: サイズはΦ500、370の2種、カラーはホワイト、ブラックの2色がラインナップ。(左から)「AJロイヤル」(Φ370、E17)¥129,800、(Φ500、E26)¥201,300/ルイスポールセン COURTESY OF LOUIS POULSEN

サイズはΦ500、370の2種、カラーはホワイト、ブラックの2色がラインナップ。(左から)「AJロイヤル」(Φ370、E17)¥129,800、(Φ500、E26)¥201,300/ルイスポールセン

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フランク・ロイド・ライトの「タリアセン1 ミニ」

画像: 「タリアセン1 ミニ」¥79,200~/YAMAGIWA COURTESY OF YAMAGIWA

「タリアセン1 ミニ」¥79,200~/YAMAGIWA

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 美術館やホテル、邸宅など生涯で1100以上もの建築を設計した巨匠、フランク・ロイド・ライト。“光”は重要なファクターと語り、名作照明も多数生み出してきた。そのひとつである「タリアセン1」シリーズは、ウィスコンシン州、スプリング・グリーンに設計された建築群・タリアセン内の夏の別邸のために作られた作品。ライトの建築の特徴である“方形屋根”を取り入れたデザインで、まるで小さな建物のような造形美を堪能することができる。

画像: ミニサイズ、通常サイズ、フロアサイズの3サイズを展開 COURTESY OF YAMAGIWA

ミニサイズ、通常サイズ、フロアサイズの3サイズを展開

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 使い勝手の良いミニサイズは、読書やデスクワークのテーブルライトとしてぴったり。素材は経年変化が楽しめる、チェリー、ウォルナット、チェスナットの3種を用意している。

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ヴィルヘルム・ラウリッツェンの「VL38 テーブルランプ」

画像: 「VL38 テーブル」¥96,800/ルイスポールセン COURTESY OF LOUIS POULSEN

「VL38 テーブル」¥96,800/ルイスポールセン

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 デンマークのモダニズム建築を牽引した先駆者ヴィルヘルム・ラウリッツェンと、ルイスポールセンが共同製作した「VL38 テーブルランプ」は、1930年代後半にデンマーク国営放送局のために制作されたもの。2016年に復刻版が発売され、有機的なフォルムのシェードに真鍮製アームを組み合わせた当時のデザインを踏襲しつつ、LED光源を採用して現代仕様にアップデートしている。

 建築はアートの応用であると考え、「美的感覚がなければ生きていけない」という強い信念を持っていたラウリッツェンらしく、そのミニマルでモダンな佇まいは息を呑む美しさ。点灯時は梨型のシェードから光が下方向に優しく広がるので、穏やかな空間を演出することができる。カラーはエレガントさが際立つホワイトと、空間にインパクトをプラスしてくれるブラックの2色展開。

画像: シェードとアームが上下に可動するので、細やかに光の向きを調整することが可能。さらに100%と50%の2段階調光機能も付いている COURTESY OF LOUIS POULSEN

シェードとアームが上下に可動するので、細やかに光の向きを調整することが可能。さらに100%と50%の2段階調光機能も付いている

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アルヴァ・アアルトの「A805 フロアライト」

画像: 「A805 フロアライト エンジェルウィング」¥390,500/アルテック COURTESY OF ARTEK

「A805 フロアライト エンジェルウィング」¥390,500/アルテック

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 20世紀を代表する建築家であり、世界で最も成功したプロダクトデザイナーの一人でもあるアルヴァ・アアルトの人気作、「A805 フロアライト」。1954年、ヘルシンキにある国立年金会館のプロジェクトのために作られたライトで、金属シェードのリングを層状に組み合わせ上方向へ広がる形に重ねていくことで、直接光と間接光の相互作用を生み出しつつ、構築的で美しいデザインに。各層のシェードの隙間から漏れてくる光と影が、空間にポエティックなムードを運んでくれる。

画像: 非対称の形が天使の羽を思わせることから「エンジェルウィング」という愛称でも親しまれている  COURTESY OF ARTEK

非対称の形が天使の羽を思わせることから「エンジェルウィング」という愛称でも親しまれている

COURTESY OF ARTEK

 真鍮と黒い革のスタンドと白いシェードというコントラストも、芸術的でエレガント。照明器具の制作において、機能性とデザイン美を両立させること、そして暮らしに寄り添う優しい光を生み出すことを大切にしていたアアルトの哲学が詰まった、まさに傑作。

Artek Tokyo Store
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伊東豊雄の「MAYUHANA」

画像: 「MAYUHANA フロアライト(二重)」¥242,000/YAMAGIWA  COURTESY OF YAMAGIWA

「MAYUHANA フロアライト(二重)」¥242,000/YAMAGIWA

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 グラスファイバーと樹脂からなる複合糸を用いて、繭のようなフォルムを成型したユニークなランプ「MAYUHANA」。2007年の発表以来、YAMAGIWAを象徴するプロダクトとなったこの名作を手がけたのは、日本が世界に誇る建築家、伊東豊雄。

「柔らかい光。奥ゆかしい光。器具をデザインするのでなく光そのものがモノに置き換わっているオブジェを作りたかった」という伊藤の言葉通り、シェードを透過した柔らかな光が幻想的なムードを紡ぎ出すその様は、照明器具という概念を超え、まるでアート作品のよう。和洋どちらのインテリアにもマッチする汎用性の高さも人気の秘訣だ。

画像2: COURTESY OF YAMAGIWA

COURTESY OF YAMAGIWA

 シェードは二重になっており、柔らかさを残しつつも、適切に空間を照らし出してくれる。点灯してない時はオブジェとして、点灯した際には二重のシェードから光の輪が広がるような姿を楽しんでみてほしい。

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永山祐子の「FUWARI」

画像: 「FUWARI」¥118,800〜/YAMAGIWA COURTESY OF YAMAGIWA

「FUWARI」¥118,800〜/YAMAGIWA

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 有機的なカーブを描く三角形のシェードが印象的なペンダントライト「FUWARI」。デザインを手掛けたのは、LOUIS VUITTON 京都大丸店や豊島横尾館の設計で知られる建築家・永山祐子。光がふわりと浮かんでいる風景をイメージしてデザインされ、角度によって表情が変わるのも、このランプの魅力だ。

 サイズは2サイズ、素材は真鍮とアルミの2種を用意。材質によりカーブの仕方が異なるので、バリエーション違いで並べてそれぞれの個性を楽しむのもおすすめだ。

画像3: COURTESY OF YAMAGIWA

COURTESY OF YAMAGIWA

 なお、この独特のカーブは“逐次成形”という特殊な製法の過程で自然と変形した産物のため、全く同じ形のものを作ることは不可能だという。そんな“オンリーワンの照明”という特別感も味わいたい。

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カスティリオーニ兄弟の「タッチア」

画像: 「タッチア スモール」¥172,700/フロス ジャパン COURTESY OF FLOS

「タッチア スモール」¥172,700/フロス ジャパン

COURTESY OF FLOS

 光がガラス製のリフレクターに反射することでボウルの中に溜まり、落ち着きのあるアンニュイな明かりを灯す、1962年発売のFLOSの傑作「タッチア」。FLOS創業者にしてイタリアを代表するデザイナー・建築家のカスティリオーニ兄弟がデザインし、一度見たら忘れられないアイコニックなルックスで、空間に華やかなアクセントを添えてくれる。

 2016年には、1962年モデルを忠実に再現したスモール版が登場。オリジナルの直径約50㎝から37㎝までサイズダウンしたことで、コンパクトな住環境でも気軽に使えるようになった。

画像: COURTESY OF FLOS

COURTESY OF FLOS

 またスモール版では、カラーもオリジナルのブラック、シルバーの他にブロンズが追加。10〜100%で調節できる調光機能もついているので、部屋の雰囲気や用途、時間帯によって明かりを変えて楽しみたい。

フロスジャパン
TEL. 03-6421-0840
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ジョージ・ネルソンの「バブルランプ」

画像: 「ネルソン バブルランプ」¥94,600〜/ハーマンミラー COURTESY OF HERMAN MILLER

「ネルソン バブルランプ」¥94,600〜/ハーマンミラー

COURTESY OF HERMAN MILLER

 アメリカのミッドセンチュリーデザインを牽引した名デザイナーにして、建築家、編集者としての顔も持っていたジョージ・ネルソン。1952年に誕生した「バブルランプ」シリーズは、そんなネルソンの代表作。

 スウェーデン製のシルクを張ったハンギングランプから着想を得て作られており、球形の軽量スチールフレームに、白い半透明の特殊なプラスチックを丁寧に吹きかけることでシェードを形成。その上質でエレガントな姿は、タイムレスな魅力に溢れている。

画像: COURTESY OF HERMAN MILLER

COURTESY OF HERMAN MILLER

「バブルランプ」シリーズでは、光の浮遊感を楽しめるペンダントタイプや、すっと伸びたスチール製のベースがスタイリッシュなフロアタイプなど、形やサイズの種類も豊富に展開。部屋ごとに使い分けて、シリーズでトータルコーディネートするのもおすすめだ。

ハーマンミラーストア 青山
TEL. 03-3486-2660
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ヴァーナー・パントンの「VP GLOBE 40」

画像: ヴァーパン「VP GLOBE 40」¥423,500/YAMAGIWA COURTESY OF YAMAGIWA

ヴァーパン「VP GLOBE 40」¥423,500/YAMAGIWA

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「グローブ(地球)」を模した独特のシルエットが印象的な、1969年発表の「VP グローブ 40」。アルネ・ヤコブセンの建築事務所でキャリアを積んだ、デンマークを代表する建築家・デザイナーである、バーナー・パントンによる作品で、そのインパクト抜群なスペースエイジ・デザインはアートピースそのもの。

 透明のアクリルシェードの中には、ボールチェーンで連結された5枚のアルミ製のリフレクターが配置され、それぞれブルー、オレンジ、ホワイトと大胆に塗装されている。遊び心が効いたルックスながら、点灯してみるとその光は驚くほど柔らかく神秘的なので、そのギャップにも魅了されるはず。

画像: 現在はパントンが生みだした家具や照明器具を復刻するブランド、「ヴァーパン」より製造されている COURTESY OF YAMAGIWA

現在はパントンが生みだした家具や照明器具を復刻するブランド、「ヴァーパン」より製造されている

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 カラーはそのほか、上品でより優しい灯りが楽しめるオールホワイトのリフレクターを採用した「VP グローブグラス」も注目してみてほしい。

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