人工妊娠中絶が違法とされていた1960年代のフランスを舞台に、ひとりの女子大学生の苦悩と決断を描く映画『あのこと』。いま再び熱い論争を呼ぶテーマと向き合う、またとない機会になりそうだ

BY REIKO KUBO

 今年のノーベル文学賞はフランス人作家アニー・エルノーに贈られた。オートフィクション作家として知られる彼女は、女性の身体や性、家族というテーマを通して現代社会を描いてきた。折しもそんな彼女の小説『事件』を映画化した、ベネチア国際映画祭金獅子賞受賞作『あのこと』が公開される。主人公の大学生アンヌは成績優秀で教師を目指しているが、予期せぬ妊娠に凍りつく。

画像: © 2021 RECTANGLE PRODUCTIONS - FRANCE 3 CINГMA - WILD BUNCH - SRAB FILM

© 2021 RECTANGLE PRODUCTIONS - FRANCE 3 CINГMA - WILD BUNCH - SRAB FILM

 1960年代のフランスでは人工妊娠中絶は法律で禁止され、堕胎をする側も施す側も犯罪者の烙印を押された。この労働者階級の女性が出産を回避し、学位を取って自由な未来をつかむための闘いを描いたのは、新鋭監督オードレイ・ディヴァン。今年はアメリカで人工妊娠中絶の権利を認めた最高裁判決が覆されるなど、今なお続く問題を提示し、注目女優アナマリア・ヴァルトロメイが真の恐怖、孤独、痛みを突きつけてみせる。

『あのこと』
12月2日(金)よりBunkamuraル・シネマほかにて全国順次ロードショー
公式サイトはこちら

▼あわせて読みたいおすすめ記事

T JAPAN LINE@友だち募集中!
おすすめ情報をお届け

友だち追加
 

LATEST

This article is a sponsored article by
''.