日本における韓流ブームの立役者で韓流エンタメのスペシャリストである田代親世さんが、韓国ドラマの魅力をさまざまな切り口でご紹介。今回は、'24年、最も輝いた俳優の代表格、『涙の女王』のキム・スヒョンにスポットを当て、彼の様々な顔を見せてくれる3作品をセレクト!『涙の女王』をうっかり見逃してしまった人は、この年末年始にぜひ。

TEXT BY CHIKAYO TASHIRO

彼を知り尽くした脚本家による'24年の大ヒット作!
『涙の女王』

 『涙の女王』は、結婚から3年が経ち、お互い嫌気がさした地方出身のエリート男性と財閥のお嬢様の大逆転ロマンスです。育った境遇の違いはあれど、ラブラブだった2人がどうしてこんなにも冷ややかな関係になってしまったのか、出会った頃の2人と現在とを行き来しながら解き明かされ、そしてもう離婚しかない!と夫が決意したところにある出来事が起こり、夫としては予想外の展開になっていきます。

画像: 主人公ペク・ヒョヌ役のキム・スヒョン。Netflixシリーズ「涙の女王」独占配信中

主人公ペク・ヒョヌ役のキム・スヒョン。Netflixシリーズ「涙の女王」独占配信中

 キム・スヒョン演じる主人公は恋の始まりからして良い勘違いが積み重なり、空気が読めてなくて自分の気持ちでズンズン行ってしまうところがクスクスと笑えます。でもいざという時はちゃんと彼が頭脳的にも体力的にもずば抜けた能力を発揮してヒロインを含めた彼女の一家を守っていくのでキュンキュンするわけです。つまりは『プロデューサー』でのちょっと空気を読めない感じや『星から来たあなた』でのデキる男な感じを合わせたようなキャラクター。そんな彼に対して素直になれない氷のようなヒロインがホロリホロリと気持ちを表していくのがまた愛おしくて。この美男美女の組み合わせが何とも言えないいい感じで見入ってしまいます。

画像: キム・スヒョン(右)と妻ホン・ヘイン役のキム・ジウォン(左)。Netflixシリーズ「涙の女王」独占配信中

キム・スヒョン(右)と妻ホン・ヘイン役のキム・ジウォン(左)。Netflixシリーズ「涙の女王」独占配信中

 美しい涙を流すキム・スヒョン、スーツ姿が似合うキム・スヒョン、走る姿がかっこいいキム・スヒョン、とキム・スヒョンの魅力が堪能できる1本です。キム・スヒョンとは『星から来たあなた』『プロデューサー』に続いて3回目のタッグを組む、脚本家パク・ジウン作品なので、キム・スヒョンの魅力を余すところなく出したドラマになっている感じです。また脚本家パク・ジウンは『愛の不時着』でもわかるように、シリアスかなと思ったらコメディに持っていくのが得意なので、普通に考えたら深刻な設定なのですが、重くならず楽しく見せてしまうのが巧みです。毎回エピローグで最後にまたキュンとさせられるのもやられた~という感じですね。

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真面目すぎて笑えるキャラクターが“いい味”
『プロデューサー』

 タイトルで分かる通り、テレビ局のプロデューサーたちが主人公のドラマです。テレビ局を題材にした作品は数々ありますが、本作はバラエティー番組を作っている部署が舞台。おまけに、KBSという実際の放送局の名前もそのままなら、「1泊2日」「ミュージックバンク」など、実際の番組名もそのまま出てきます。それだけでなく、テレビ局が背景だけに俳優から歌手まで、豪華なカメオ出演陣がみんな本人役で登場。それぞれがセルフパロディーを楽しそうに演じているなど、クスリクスリと笑える仕掛けが盛りだくさんです。

画像: 新人プロデューサー、ペク・スンチャン役のキム・スヒョン。©KBS media

新人プロデューサー、ペク・スンチャン役のキム・スヒョン。©KBS media

 ドラマは一流大学を出たキム・スヒョン演じるペク・スンチャンが新入社員としてKBSに入社するところから始まります。スンチャンは、生真面目で純真ながらも、空気を読むのが苦手な新人プロデューサー。初日から音楽番組の辣腕女性プロデューサーから目をつけられたり、リアルバラエティー「1泊2日」のチームに配属になって、大女優に降板を告げねばならなかったりと受難の日々が始まります。そんな新人のハラハラのプロデューサーライフを通してテレビ番組のウラ側がわかるのが一番の見どころ。そんな彼に、13歳で芸能界入りして冷めた目で世の中を見ている孤独な人気歌手シンディー(IU)が好感を抱くようになったり、スンチャンはスンチャンで、最初は怖かった女性プロデューサーが気になる存在になったり、その女性プロデューサーはスンチャンの先輩プロデューサーのことが好きだったりと、4人の恋のベクトルが複雑に交錯していくさまも見逃せません。キム・スヒョンの、まじめすぎてなんだか笑えるキャラクターがいい味を出しています。

画像: 左からキム・スヒョン、歌手シンディー役のIU、先輩プロデューサー役のコン・ヒョジンとチャ・テヒョン。©KBS media

左からキム・スヒョン、歌手シンディー役のIU、先輩プロデューサー役のコン・ヒョジンとチャ・テヒョン。©KBS media

 これまでバラエティー番組を見ていて、「どうやってキャスティングされるのか?」「“リアルバラエティ”って本当にリアルなのか?」など、気になっていたあれこれが、バラエティー番組に携わる者たちの哀歓を交えながらリアルに描かれているので、韓国のテレビ番組に詳しければ詳しいほど、より楽しく見ることができるでしょう。

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凛々しい王様ぶりに萌えポイントが満載
『太陽を抱く月』

 朝鮮時代の架空の王様を描いた大ヒットファンタジー時代劇で、キム・スヒョンを大ブレイクさせたドラマです。これは幼き日の忘れえぬ初恋を貫き通す若き王様の物語。太陽は王様のことを指し、月は王妃を表しているのですが、本来は1人ずつであるべき王と王妃なのに、王の地位を脅かす王の兄や2人の王妃が登場し、混乱をきたしているというのがこのドラマの概念です。あるべきものが元の正しい位置に戻れるのか、よこしまな力で邪魔されてしまった運命はどうなるのか、というところがロマンと切なさを伴って展開されていきますが、同時に、望むと望まざるとにかかわらず、もう1つの太陽、もう1つの月となってしまった男女の悲劇的な運命も描かれています。

画像: 若き王イ・フォン役のキム・スヒョン。Copyright©︎MBC, iMBC All Rights Reserved.

若き王イ・フォン役のキム・スヒョン。Copyright©︎MBC, iMBC All Rights Reserved.

 そしてなんといってもキム・スヒョン!彼の凛々しくカリスマを感じさせる王様ぶりに胸キュン。朝鮮時代の王の衣装も本当によく似合って、弓を射る時に着る服のかっこいいこと!宮廷を闊歩する姿も颯爽としていますし、走る姿も力強くて美しく、すべての所作に釘付けになりました。この王様、幼い頃に受けた心の傷が影響して、嫌いな人には顔では笑いながらも徹底的に冷たくするなど、緩急のある演技で引きつけます。中殿に対しても、顔をグッと近づけたり腰を抱いたりして喜ばせておいて、胸につき刺さる言葉を平然と浴びせるんです。この容赦のなさに最高に萌えます(笑)。そんな風にイケズでツンツンなのに、初恋相手とそっくりな巫女を前にして心が揺れる演技もツボで、デレぶりも萌えポイントが満載です。

画像: キム・スヒョン(左)とヒロイン役のハン・ガイン(右)。Copyright©︎MBC, iMBC All Rights Reserved.

キム・スヒョン(左)とヒロイン役のハン・ガイン(右)。Copyright©︎MBC, iMBC All Rights Reserved.

 ヒロインが巫女という設定だったので、黒魔術や預言、他人の代わりに厄を受ける“厄よけの巫女”などが登場し、とても幻想的でファンタジー要素のある風雅な作品になっています。

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田代親世 韓流ナビゲーター 
韓流解説、韓流イベント司会の第一人者。公式サイト「田代親世の韓国エンタメナビゲート」やYoutube「ちかちゃんねる☆韓流本舗」「韓ドラ・マスター親世と尚子の感想語り」などで韓流情報を発信しているほか、会員制のコミュニティ【韓流ライフナビ】を主宰。ツアーやイベントを企画・開催している。


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