『永い言い訳』などで知られる西川美和監督が原案と脚本も担当。映画『わたしの知らない子どもたち』が10月16日(金)から公開される。5年ぶりの新作で西川が問いかけるものとは?

BY REIKO KUBO

画像: 東日本大震災の被災県である岩手・宮城・福島県出身の、小学生から大学院生までで構成する東北ユースオーケストラがテーマ曲を演奏。10月16日(金)から全国公開。 ©2026 K2 PICTURES·AOI PRO.

東日本大震災の被災県である岩手・宮城・福島県出身の、小学生から大学院生までで構成する東北ユースオーケストラがテーマ曲を演奏。10月16日(金)から全国公開。

©2026 K2 PICTURES·AOI PRO.

『永い言い訳』(2016年)、『すばらしき世界』(2021年)など、善悪では割りきれない人間の弱さや孤独を鋭い観察眼と繊細な描写で描く、映画監督・西川美和。5 年ぶりの新作『わたしの知らない子どもたち』では、戦中・戦後の時代と格闘しながら、終戦後も終わらない戦いを生きた名もなき人々を映しだす。本作の軸となるのは、戦争で家族を失った12歳の少女・琴子と、彼女の教師だった曽根。女であることが危うさを伴う現実から逃れるため、琴子は髪を切り、"少年"吉田茂男として生きる。一方、二階堂ふみ演じる乳飲み子を抱えた曽根は敗戦により、戦死した婚約者だけでなく、信じていたものも仕事も失い、さらに軍国主義教育に加担し、戦後に琴子らを見捨てた罪の意識を背負う。

画像: 教師だった曽根文美子(二階堂ふみ)。のちに琴子を探す旅に出る

教師だった曽根文美子(二階堂ふみ)。のちに琴子を探す旅に出る

 単純な善悪を二人に振り分けることなく、時代に翻弄された人間として描きながら、役所広司、田中裕子、岡田准一ら豪華な顔ぶれを揃え、敗戦前後の日本の様相を琴子の目を通して浮かび上がらせる。性別や国境を超えた人間愛を子どもたちのまなざしに重ね、高峰秀子が教師を演じた『二十四の瞳』(1954年)から現代的に一歩踏み込んだ人間群像。そこに『国宝』(2025年)の原摩利彦の音楽が豊かに寄り添う。

画像: 琴子(小八重葵美)は髪を切り、少年たちにまじって“吉田茂男”として生き抜こうとする

琴子(小八重葵美)は髪を切り、少年たちにまじって“吉田茂男”として生き抜こうとする

原案・脚本・監督:西川美和
出演:小八重葵美、二階堂ふみ、岡田准一、田中裕子、役所広司 ほか
©︎ 2026 K2 Pictures・AOI Pro.

『わたしの知らない子どもたち』
10月18日(金)全国公開
公式サイト

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