BY MICHINO OGURA
映画『ファーストボイス』の舞台は空前の好景気に沸くバブル期の日本。ほんの数年前に男女雇用機会均等法が施行されるも、企業の“努力義務”として扱われ、女性の社会進出はまだまだ本格的になったとは言えず、結婚をすると退社するのが自然だと考えられていたころの話だ。

事務所の同僚・藤野栞を松本穂香(左)、相談に訪れる上原恵をファーストサマーウイカ(右)が演じる
©2026「ファーストボイス」製作委員会
主人公の弁護士・朝日道子は、お金にならない案件ばかりを引き受けてしまうお人好し。三児の母でもあり、仕事と家庭を懸命に両立しながら、どこか抜けていて愛嬌のある朝日を綾瀬はるかが演じる。女性弁護士である朝日の活躍をとりあげた記事を見て、ボディコンスーツに身を包んだ上原恵(ファーストサマーウィカ)が朝日の事務所にやってくる。相談は、上司からの執拗な嫌がらせについて。彼女と出会った朝日は、まだ判例のない「ハラスメント」をめぐる裁判へと向き合うことになる。真摯に取り組む朝日たちの姿は弁護士仲間や女性の支援団体も巻き込み、日本で初めての「ハラスメント裁判」が始まる。
主演を務める綾瀬はるかは「作品や役を通して、明日が少し明るくなったり、元気や勇気を届けられたら」という。この役を通して伝えたいことは明確だった。
「朝日先生は信念を曲げない人で、自分のやりたいことに妥協がないんです。子育ても頑張りつつ、やりたいことも諦めない。そんな彼女をとても格好いいなと思いました。そして、朝日先生は人に寄り添うことを丁寧に実践する方。それはお金のためではなく、未来がよくなるようにという目標があるからなんですよね。でも穏やかで、ちょっと抜けているところもあって。人柄もいいというところに、演じながら惹かれました」。

法廷シーンで身につけるスーツにも思いが込められている
©2026「ファーストボイス」製作委員会
今作は弁護士監修のもと、実話に着想を得た物語になっている。ファーストサマーウイカ演じる上原の背中を押すきっかけの一つとして、集英社から発行されていた雑誌「MORE」を彼女が手に取るシーンも。いまに続く、重要な判例を生むことになるラストのストーリー展開は女性たちの連携も圧巻で、綾瀬の熱演に心動かされる。
「この時代の感覚や感情など、役を通して影響を受けることもありますし、学ぶことも多いです。当時の記事を役作りの参考のためにいくつか読んでみました。先生たちの当時のインタビューなども生かされていると思います。映画の中で自分とは異なる意見があったとしても、そこにいるのは自分とは別の人間なので、違いがあるのはごく自然なことですよね。でも、この作品が描く男女差別や平等といった題材は、それを他人事と思ってしまうところに問題があるのかな、と。自分事として想像してほしい法廷のシーンは朝日先生のセリフも素晴らしいですし、伝えたいことのひとつなので、そこはぜひ注目していただきたいですね」

綾瀬はるか(あやせ・はるか)
広島県出身。2000年に芸能界デビュー。2004年放送のTBS系ドラマ「世界の中心で、愛をさけぶ」で注目を浴び、TBS系「義母と娘のブルース」「天国と地獄 ~サイコな2人~」、CX系「元彼の遺言状」、NHK大河ドラマ「八重の桜」、映画では『レジェンド&バタフライ』(2023年)、『リボルバー・リリー』(2023年)、『ルート29』(2024年)、『人はなぜラブレターを書くのか』(2026年)、『箱の中の羊』(2026年)など、多くの作品に主演・出演している
ネックレス/カルティエ
PHOTOGRAPH BY MITSUO OKAMOTO

『ファーストボイス』
2026年10月2日(金)より全国公開
公式サイトはこちら
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