BY KEIKO HONMA, PHOTOGRAPHS BY MASANORI AKAO, STYLED BY YUKA MARUYAMA, EDITED BY MICHINO OGURA
「過去の遺物を並べたミュージアムのようであってはいけません。ティファニーは今この時を生きて、進化しているブランドなのですから」
ティファニーの2023年は、大躍進の年となった。4 月にニューヨーク五番街本店を一新した旗艦店「ランドマーク」がオープン。7 月には「ティファニー銀座本店」をリニューアルオープンさせ、さらに9月、新たに「ティファニー表参道」がオープン。モデルのヘイリー・ビーバーや女優のフローレンス・ピューなど、多くのセレブリティを招いて華やかに行われた表参道のオープニングイベントには、ティファニーの社長兼CEO、アンソニー・ルドリュの姿もあった。
「ティファニー表参道は実にいい。2 階の窓の部分がエレガントなヴォールト(丸天井)になっていて、そこから都会とは思えないほど緑豊かなケヤキ並木が見えるのです。ヴォールトはルイス・コンフォート・ティファニーの作品をイメージしたステンドグラスで装飾しました。こんな内装は世界中のどのティファニーの店にもありませんよ」とルドリュ。彼に誘われてVIPルームに入ると、創業者チャールズ・ルイス・ティファニーの息子、ルイス・コンフォートが手がけた貴重なランプが飾られていた。アール・ヌーヴォー様式の日本的な意匠だったため、表参道にふさわしいと思い、手に入れたのだという。
「老舗の多くは歴史を語るのを好み、新参ブランドは現代性について語りたがります。でもティファニーは、その両方を語ることができます。186年もの長い歴史がありながら常にモダンで、現代アートやポップカルチャーとも親和性がある。私たちは相反するようにも見える両方を大切にしてゆきたいと考えているのです」
ティファニーは1837年に創業し、一昨年LVMHグループの傘下に入ったことは日本でも大きな話題に。ルイ・ヴィトンからティファニーにやってきたルドリュは、既存の多くのことを変えてきた。
「伝統にどれだけの敬意を払うかは、簡単には言えない問題ですね。私たちのアーカイブには5,000点ものヒストリカルピースが収蔵されており、銀座本店や表参道店のオープニングではその一部を展示しましたが、ミュージアムのようになってしまってもよくない。ティファニーは今を生きて進化しているブランドなのですから」
彼の言うことを象徴するようなジュエリーが、新作「バード オンア ロック」ペンダントだ。楽園の鳥のモチーフは、ティファニーが誇る20世紀の天才デザイナー、ジャン・シュランバージェによる名作。大きな宝石の上にとまった鳥の姿が見事にリスタイルされ、過去のデザインに新たな生命が吹き込まれている。
「私がずっとこだわっているのは、マジカルであること、並外れていること、そして驚くほど豪華であること。そのようになるために、これからの数年間も、ティファニーは躍動しつづけます」
盛りだくさんだった2023年だが、来年には大きなサプライズも予定しているとのこと。またもこのブランドのニュースが日本を、そして世界を駆けめぐることになりそうだ。
モダンさをまとって現代によみがえる伝説の鳥
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