RECIPE BY KEIKO NAGAE, PHOTOGRAPHS BY MANA LAURENT, TEXT BY MIKA KITAMURA
冷菓といえば、バニラアイスクリーム。なめらかな口当たり、上品なバニラの香りは飽きのこない定番の味。
アイスクリームの歴史は古い。もっとも古い記述は旧約聖書の『創世記』に、イサクがアブラハムに「雪と山羊の乳を混ぜたもの」を飲ませたとある。古代ローマの英雄、ジュリアス・シーザーがアペニン山脈から氷や雪を運ばせ、乳や蜜、ワインなどを混ぜて飲んで楽しんだことはよく知られている。フランス菓子として登場するのは、16世紀から。フィレンツェの大富豪・メディチ家のカトリーヌ・ド・メディチがオルレアン公(後のフランス王アンリ2世)との結婚に際し、菓子職人を伴って輿入れをしたときが始まりといわれている。
「バニラアイスクリームのレシピはいろいろあり、私は季節やデザートの内容によって使い分けています。今回は夏向きに、口溶けがよく、すっきりと軽やかな味わいのアイスクリームをご紹介します。私自身、重すぎる味をあまり好まないので、このレシピはとても気に入っています」と長江さん。
アイスクリームメーカーを持っていなければ家でアイスクリームを作るのは大変と一般に思われているが、長江さんのおすすめレシピは、アングレーズソースを凍らせてミキサーで攪拌するだけ。専用器具がなくても、添加物ゼロ、糖分も脂肪分もぐっと控えめなのに風味豊かなアイスクリームを、自分で作れるのだ。もしもアイスクリームメーカーがあるなら、アングレーズソースを器具に入れるだけでOK。キッチンに長時間立ちたくない暑い季節でも、トライしやすいレシピだ。
「アングレーズソースに生クリームをプラスしたり、卵黄の量を増やしたり、よりリッチな仕上がりのレシピも多いのですが、これはとてもシンプル。基本のレシピとして覚えてほしいですね」。
冷たくて甘いものは、古来、夏の健康食品として貴重だった。今はスイーツとして愛されているが、夏バテ防止に、手作りのアイスクリームなんて洒落てみてはいかが。
材料
牛乳 250g
バニラビーンズ 1/2本
グラニュー糖 40g
卵黄 50g
作り方
1 バニラビーンズは縦に切り、タネを包丁でしごき出す。鍋に牛乳とバニラビーンズのタネとサヤを入れ、中火にかけて沸騰する直前に火を止める。
2 ボウルに卵黄、砂糖を入れて泡立て器でもったりするまでしっかり混ぜる。最初は白っぽいが、次第に濃い卵色になる。なめらかなツヤが出てくるまですり混ぜる。
3 1の牛乳の半量を2の卵黄に加え、よく混ぜて1の鍋に戻し入れる。
4 ヘラで底を万遍なく混ぜながら、表面の泡が消え、トロッとするまでアングレーズソースを炊く。完成の目安は下の写真を参考に。
5 出来上がりの目安は、ヘラについたソースを指でこすり、写真のように跡がついたら、ちょうどよい濃度になっていてOK。
*万が一、4でダマができてしまったら、ざるで漉し、ハンドミキサーでなめらかになるまで混ぜるとよい。強火で加熱し過ぎたり、鍋底をよくかき混ぜなかったりすると、ダマができやすいので気を付けて。
▼アングレーズソースの作り方については、こちらの記事をご参考に
6 バニラのサヤや粒が残ると雑味が出てくるので、5を茶漉しなどで漉す。ボウルの底を氷水につけてヘラで混ぜながら冷ます。
7 6をシリコン型などに注ぎ入れ、1時間以上冷凍する。型は小さめのほうがミキサーにかけやすいので、おすすめ。
8 7をブレンダーで攪拌し、器に盛る。