RECIPE BY YOKO ARIMOTO, PHOTOGRAPHS BY YUKI SUGIURA, TEXT BY MIKA KITAMURA
Vol.1 フライドポテト
「揚げものは、油の質が大切です」
情報が氾濫する今、私たちは“身体によい”と言われればその食材を選び、反対ならやみくもに避けてしまっていないだろうか。例えば、揚げもの。おいしいけれど、“カロリーが高くてヘルシーではないから”、“太りたくないから”と控えている方も少なくないだろう。
「古い油を使っていたり、揚げてから時間が経ったりしたものは、油が酸化し、身体にいいとは言えませんね。新しい油を使い、揚げ立てをいただけば、油の酸化は最低限で済むのです。だから、揚げものは家庭でするのがおすすめね」と有元さん。
「揚げる作業は大変と思われがちですが、調味に凝る必要はなく、油の力で素材の味を閉じ込めてくれるので、揚げるだけでおいしくなるんです」
まず大切なのは、油の選び方。「原料は何か、どうやって作られているかを知ってから選んで欲しいのです。ラベルにすべてが書かれているわけではありませんが、せめて生産国は確認しましょう。私はイタリア産のオリーブオイルと、日本で作られた太白ごま油を使っています」
そして、油の使い方にもコツがある。「最初は、野菜の素揚げに使います。二回目は、かき揚げなど衣をつけた野菜類や、ドーナッツなどの甘いお菓子。最後に、肉や魚を揚げておしまい。
油は早めに使いきることが大切です」
今回はおろしたての油を使って、フライドポテトを。コツは、じゃがいもをゆでておくこと。じゃがいものでんぷんで、揚げ上がりがねっちりなってしまいがちだが、ゆでることででんぷんが流れ落ち、表面がカリッ、サクッに。次から次へと手が伸びるおいしさ。余ったら(多分、余らない…)、フライパンににんにくとバターを熱してフライドポテトを合わせ、溶き卵を加えて、薄焼きのフリッタータ(オムレツ)に。
<材料>
じゃがいも
塩
揚げ油
<作り方>
Vol.2 ミラノ風カツレツ
「おいしくヘルシーな揚げ物は、油選びと保存の仕方も重要」
第2回は「揚げ物・第2弾」として、ミラノ風カツレツの作り方を習う。本来、ミラノ風と名付けられたカツレツは仔牛肉で作るが、豚肉でおいしくできる。
「日本で仔牛肉はほぼ手に入りませんから、私は豚肉で作ります。仔牛肉に食感が似ているのはヒレ肉ですが、揚げ上がりのパサつき感が気になるので、肩ロース肉を選んでいます」と有元さん。
パン粉は市販の生パン粉をフードプロセッサーで挽いてさらに細かくする。細かければパン粉が吸う油の量は少ないので、よりヘルシーに。肉にはあらかじめ塩をせず調理し、揚げたてにおいしい塩を振ってから、たっぷりのミニトマトとパセリを添える。おすすめの塩は、フランス産ゲランドの「フルール・ド・セル」。同様に鶏肉でも作れる。サクサクの衣とジューシーな肉、ソース代わりのトマトの甘み&酸味のコンビネーション。よく冷えた白ワインが合う。
おいしくて身体に優しい揚げ物は、油選びがまず大切。揚げ油は生産国と原材料が明記されているものを選ぶとよい。有元さんはイタリア産のオリーブオイル、日本の太白ごま油を常備している。
有元さんは、揚げ油の使いまわしは3回まで、と言う。最初は野菜の素揚げ、次にかき揚げなどの衣をつけた野菜類やドーナッツなどの甘いお菓子。最後に肉や魚を揚げておしまいにするという。今回は肉を揚げたので、油はこれにて終了。
ちなみに野菜の素揚げやかき揚げをした後の油は、速やかにキッチンペーパーを2枚重ねてざるにのせて漉し、保存瓶などに入れて冷蔵庫で保管する。家庭の揚げものではそれほど多くの油が残るわけではないので、保存に大きなオイルポットは必要ない。有元さんは手許にある瓶などを利用している。
<材料(2人分)>
豚肩ロース肉 約 150g を2枚
にんにく 2片
小麦粉、溶き卵、生パン粉 各適量
揚げ油 適量
おいしい塩 適量
ミニトマト 1パック
イタリアンパセリ 適量
レモン汁 1/2 個分
<作り方>
Vol.3 春巻き
「常温から徐々に油の温度を上げて、カリッサクッの食感に」
第3回は、常温の油に入れて揚げていくカリカリ、サクサクの春巻き。少なめの油でじっくり揚げていく方法をご紹介する。
「ゆっくり揚げれば、時間をかけた分、水分が抜けていくので、カリッとした仕上がりになります。低めの温度で揚げますから焦げませんし、具材を春巻きの皮で包んであるので、油もはねません。油が多すぎると、春巻きが油の中でぐるぐる回ってしまいます。そのため、油をひたひたよりも少なめにします」。
鍋に敷き詰めるように春巻きを入れても大丈夫。しばらくは触らず、泡が小さくなってしゅわしゅわという音になったら、裏返して同様に揚げる。全体においしそうな揚げ色になったら出来上がり。何回かに分けて揚げる場合は、一旦火を消して、温度を下げてから同様に揚げる。
チキンや肉だんごなどを揚げるときも同じようにすれば、表面がカリカリに。熱々がおいしいので、すぐ召し上がれ!
<材料(作りやすい分量)>
春巻きの皮(ミニ) 1袋(10枚)
小麦粉 適量
玉ねぎ(小) 1個
桜えび 40g
太白ごま油
塩
<作り方>
Vol.4 ステーキ
「肉は塊肉を買ってたっぷり食べる。ステーキの厚さは譲れません」
「自他ともに認める野菜好きですが、たまにたっぷり肉を食べたくなります。そんなとき、肉は必ず塊で買います。時々ですから、ちょっと贅沢してよい肉を選ぶんです。そして調理はシンプルに」と有元さん。いちばん好きなのは、2cmくらいに厚く切った牛肉を調味せず、さっと焼いただけのステーキ。塩や醤油、薬味類を用意して、各自が好きな味で。「お店で切ってもらうより、塊肉を買って自分で切るほうがなぜかおいしいのよ」。
ステーキなら、火力は「薪、炭、ガス、電気」の順においしく焼き上がるのだとか。家庭で薪や炭は難しいが、ぜひ、フライパンを使ってガス火で焼いてみよう。おいしく仕上げたいなら、フライパンは鉄製で。高温に熱したフライパンに肉を入れ、たんぱく質をしっかり固めておいしい肉汁を逃さないようにするのが必須。それには鉄製が最適。
肉の部位の特徴を知って選ぶのも、料理上手への近道だ。おおまかに、脂肪が少なくてやわらかいのがヒレやもも。有元さんは、もも肉の中で比較的やわらかなランプが特におすすめと言う。また、煮込みには肩ロースやブリスケをよく使うのだとか。適度な脂肪があってキメが細かく食べやすいロース肉の中でも旨みのある肩ロースや、肉質は硬めで旨みのある胸の部分のブリスケは煮込みにぴったり。
ステーキを食べたくなったら、どのような塊肉を買い、使い切るかを教えてもらった。選ぶのは、ステーキによく合うランプや少し脂が欲しければイチボを塊で800〜1kg。これを厚さ2㎝に人数分切り分けてステーキに。残ったものはタリアータにしたり、醤油に漬けておいて次の日にさっと焼いて丼にしたり。タリアータは、イタリア風の牛たたきのこと。薄切りにして、好みの味で。
<材料(1人分)>
牛ランプ肉 厚さ2㎝ 1枚
きゅうり 1本
セロリ 適量
薬味と調味料(大根おろし、わさび、アリッサ*、すだち、七味唐辛子、醤油、塩) 各適量
オリーブオイル 適量
*モロッコのスパイシーな調味料
<作り方>
残った塊肉でタリアータ
<材料>
牛ランプ肉 800〜1kg
粗塩、胡椒 各適量
塩漬けケイパー、ローズマリーの葉先、オリーブオイル、バルサミコ 各適量
<作り方>
Vol.5 豚のポットロースト
「作り方は超簡単、香りも見た目もご馳走感満載」
肉は塊で買うのがいちばんと有元さん。「豚肉も、塊肉が便利です。せっかくですから、白金豚や黒豚など銘柄豚を選ぶと失敗がないですね。今回は塊肉をそのまま料理しますが、自分で切り分けて冷凍することもあります。自分で切れば、料理方法に合わせて切り方を変えられ、市販品にない切り方ができるのが魅力です」。例えば、繊維に沿って切れば歯応えを、繊維を断ち切ればやわらかさを楽しめる。6〜7㎜幅の細切りにして野菜炒めや、きのこと合わせてクリームパスタに。小さく角切りにすれば、粉をはたいて揚げものに。塊肉は量が多いので、有元さんは真空パックをして冷凍保存している。真空パック器がなくても、ラップで空気に触れさせないようにピシッとくるめば充分だとか。
ポットローストは、鍋で肉を蒸し焼きにする料理。鍋ひとつで手軽にできて、見た目も豪華。「鍋は厚手のものを使ってくださいね。にんじんや玉ねぎ、じゃがいも、さつまいも、ごぼう、れんこんなど根菜系の野菜を加えてもいいでしょう」。
今回はロースト可能な土鍋を使い、肉の表面を焼いてからオーブンへ。もちろん、ガス火などにかけておいてもOK。時間はかかるが、放っておけるので、その間に簡単な前菜とサラダを作ることもできる。
「ローリエとローズマリーを枝ごと入れれば、見た目も素敵でしょう?ハーブの香りが漂っているお部屋にお客さまをお迎えするのも、充分なおもてなしです」。
<材料(作りやすい分量)>
豚肩ロース肉(塊) 800g〜1kg
にんにく 3片
ローリエ 3〜4枝
ローズマリー 2〜3枝
粗塩 5本指で2つかみくらい
黒胡椒 適量
マスタード 適量
<作り方>
Vol.6 とろける醤肉ジャンロウ
「ひたすら煮込むだけ。とろける牛肉の贅沢な味わいをどうぞ」
「醤肉(ジャンロウ)」は牛肉の中国風醬油煮。長時間煮て、とろけるようになった肉はお箸でちぎれる。牛の脂をしっかり取り除き、酒と醤油だけで煮込むので、すっきりキレのよい仕上がりに。酒の肴によし、白いご飯のおかずにもよし。
「お肉の料理ではありますが、肉の旨みを吸った干し椎茸と昆布のおいしさは格別です。我が家では、干し椎茸と昆布の料理と呼んでいるほど」
牛の「ブリスケ」という部位を使う。ブリスケとは、前足の付け根あたりの前側部分。よく動かすところなので、筋肉質で硬め。コラーゲンが多く、煮込み料理によく使われる。手に入らなければ、すね肉でもよい。「牛肉は煮ると縮みますから、半分に切ったりせず、大きいまま煮込みます。ことことひたすら煮込むだけなので時間はかかりますが、手はかかりません。せっかくならたくさん作って、残りは切り分けて牛丼に、ラーメンに。刻んで粒山椒と一緒にご飯に混ぜても」
上手に作るポイントは、塊肉がちょうど入る深めの鍋を用意すること。クッキングシートと落とし蓋をして水分が蒸発しすぎないようにし、煮汁を対流させて味が全体に均一にしみこむようにする。また、クッキングシートについた余分な脂を取り除けば、すっきりした味わいになる。2日間かけてじっくり煮込むので、味がしっかりしみて、口の中でスッと溶けるような肉のやわらかさを味わえる。
<材料 作りやすい分量>
牛のブリスケ 800g〜1kg
昆布 25cm角1枚
干し椎茸(どんこ) 7〜8枚
生姜 大1個
酒 1カップ
醤油 1/2カップ〜1カップ
<作り方>
Vol.7 はすの、白いちらしずし
具は季節の食材を2〜3種類。 メープルシロップを使ったすし酢で上品な味わいに。
「ちらしずしは大変、という声を聞きますが、私は季節の食材を使い、1年を通してよく作ります」。有元流ちらしずしは、さっとおいしく仕上げる知恵がたくさん。簡単&時短のポイントをご紹介しよう。
ポイントその1。すし酢の甘みに、砂糖ではなくメープルシロップを使う。砂糖を溶かすために温める必要がなく、酢、メープルシロップ、塩を混ぜるだけで、すぐに味を決められる。また、メープルシロップのすっきりした甘みで、酢飯が上品な味に。
ポイントその2。具をそれぞれ下ごしらえして用意するのは大変だが、有元さんは2〜3種類で充分と言う。今回は、れんこんとしらすだけ。冷蔵庫にちょうど細ねぎがあったので、直前に味のアクセントとして加えたが、なくてもよい。「たくさんの具材を揃えて作るちらしずしはご馳走ですね。でも、具は少なく、ささっと作るふだんのちらしもいいものですよ。これからの季節なら、新生姜、きゅうり、大葉、筍、木の芽、炒りごまなどから2〜3種類組み合わせるだけ。もちろん、これに鯛や鯵、穴子、卵などを加えれば、豪華になりますね」。
ポイントその3。具を混ぜ込む作業によって米の粘りが出てしまうので、酢飯と具を重ねるだけに。今回は、酢飯の上に具材を重ね、酢飯ごとしゃもじで上下をひっくり返し、さらに残りの具を重ねて完成させた。器に盛るのであれば、酢飯→具材→酢飯→具材と重ねるだけでもよい。
ポイントその4。水を張ったボウルを必ず用意する。しゃもじや菜箸を水に濡らしながら使うと、ご飯がくっつかず美しく盛り付けできる。
手軽で清々しく、初夏にぴったりなちらしずし、すぐにでもトライしてみてほしい。
<材料 作りやすい分量>
米 3合
すし酢
千鳥酢 75cc
メープルシロップ 大さじ2
塩 小さじ2/3
酢ばす
れんこん 適量
すし酢 上記と同量
しらす 両手一杯分
千鳥酢 適量
細ねぎ 適量
<作り方>
Vol.8 フレンチトースト
熱々のメープルシロップ&バターを仕上げにかけて、リッチな仕上がりに
有元さんのフレンチトーストは華やかでリッチ、ボリューム感があるので、食事にもなるし、おやつにもなる。「うちのフレンチトーストは、厚く切ったフランスパンに季節のフルーツを添え、熱々のメープルシロップとバターをたっぷりかけます」。
今回はボリュームを出すために、バケットではなくバタールを使用。パンは厚さ5cmに切るのがポイント。卵液をしっかり浸してオーブンで焼き上げる。浸す時間は冷蔵庫で半日、できればひと晩浸してほしい。固くなった古いパンであれば、ひと晩は浸したほうがよい。中までしっかり卵液が染み込むことで、ふわふわしっとり焼き上がる。「前の晩に用意すれば、朝は焼くだけです。パンに卵液をたっぷり染み込ませたいので、卵液は多めの量になっています」。
フルーツがあれば華やかなひと皿に。今回はいちご、キウイ、バナナで。ベリー類やあんず、桃、ブドウでも。そして、熱々のメープルシロップとバターが最高に美味しく仕上げてくれる。
「メープルシロップとバターは、たっぷり贅沢にかけてください。冷たいフルーツと熱々のシロップ&バターで冷温のコントラストも楽しめます。常日頃に食べるものではないので、いただくときはおいしいバターをふんだんに使いましょう」。
<材料 4〜5人分>
バタール(厚さ5cm) 4~5切れ
卵 3個
牛乳 1と1/2カップ
オリーブオイル 適量
フルーツ(好みのもの) 適量
バター 100g
メープルシロップ 2/3カップ
<作り方>
Vol.9 グリーンサラダ
3つのポイントを押さえて、シャキッとみずみずしいグリーンサラダに!
葉野菜をドレッシングで和えるだけのグリーンサラダ。野菜のシャキッした口当たり、ドレッシングを隅々まで均等にまとっていることが美味しいサラダの条件だろう。
べちゃっとなってしまって、という声も多く聞くが、「コツさえ覚えれば簡単です。ひとつひとつの工程を丁寧にこなすことも大切ですね」。
葉野菜はレタス、サニーレタス、フリルレタス、ロメインレタス、エンダイブなどのレタス類を数種類合わせると、さまざまな味わいと食感を楽しめる。
「レタスよりサニーレタスやエンダイブなど、しっかりした食感のものが私は好みです。これにトレヴィスやクレソン、ルッコラ、からし菜など、苦味のあるものをプラスすれば、葉野菜だけでも飽きずにたくさん食べられます」。
美味しく仕上げるコツは3点。「葉野菜をピンとさせる」「水気をしっかり切る」「水分を出さないように油と酢、塩で和える」。
「葉野菜を水に浸けた後、冷蔵庫に入れておくとシャキッと元気になります」。
ドレッシングを前もって作っておく方法もあるが、有元さんはオイル→酢→塩の順に加え、和えていく。「まず油で野菜をコーティングすれば、酢を加えてもべちゃっとなりません。最初に塩を振ってしまうと水分が出てきてしまいますから、塩は最後に」。
シンプルな料理だからこそ、調味料は納得のいくものを使えば、美味しさへの近道にもなる。有元さんは、塩はフランス産ゲランドのフルール・ド・セルを使用。「塩粒をところどころに感じるので、塩の量は少なくてすみます」。
今回はオリーブオイル+白ワインビネガーで作ったが、太白ごま油&千鳥酢の組み合わせもおすすめ。「オリーブオイルと白ワインビネガーの場合、3:1の割合を目安に作ります。太白ごま油と千鳥酢の場合は、酢が少し多めでもいいでしょう。酢に少し甘みを加えても美味しいです。甘みはメープルシロップや蜂蜜を好みで」。
<材料>
葉野菜(レタス類、トレヴィス、クレソンなど) 適量
オリーブオイル 適量
白ワインビネガー 適量
黒コショウ 適量
塩 適量
<作り方>
Vol.10 豚の生姜焼き
驚くほど簡単に、香ばしくやわらかな生姜焼きが完成!
大人気のおかず、豚肉の生姜焼き。巷には十人十色の自慢のレシピがあるようだが、有元さんの作り方は驚くほどシンプル。たれに肉を漬け込んだり、事前に調味料を合わせたりする手間なしに、肉が香ばしくやわらかく仕上がる。
「薄切り肉よりも厚めの肉を選びます。脂がバランスよく入っている、やわらかくて歯切れのよい肩ロース、もしくはロースがよいでしょう。生姜焼き用として売られているものでいいですよ」。
肉の片面だけに片栗粉を振り、その面を内側にして半分に折るのがポイント。片栗粉が付いていない外側をこんがり焼くことで、カリッとした食感と香ばしさが生まれる。また、半分に折ることで片栗粉がはがれず、溶け出した片栗粉でとろみがついて、最後に入れる調味料がしっかり馴染む。
こんがり焼いたら、おろし生姜をたっぷりのせ、調味料を入れて肉にからませる。「おろし生姜はお好みですが、私はたっぷりのせます。ときには、おろしにんにくもプラスして」。甘味と醤油は好みで増減するとよい。「少し甘みのあるほうが美味しいので、メープルシロップを隠し味に使っています。砂糖を使う場合は、甘みが強いのでメープルシロップの1/3〜半量に減らしましょう」
肉を焼く場合、かたくなってしまうからと、どうしても焦って調理しがちだが、有元レシピは慌てずゆっくり。「まず肉に火を入れてしまえば、一旦火を止めてしまっていいんです。余分な脂を取り除き、おろし生姜をのせて酒を入れたら、再度火にかけて一気に仕上げます」。焦らずゆったり料理できることも、美味しく仕上げるコツかもしれない。
<材料>
豚肉(生姜焼き用) 200g
おろし生姜 大1片分
片栗粉 適量
酒 大さじ2〜3
メープルシロップ 大さじ2〜3
醤油 大さじ2強
太白ごま油 適量
キャベツのせん切り 適量
<作り方>
Vol.11 ほろ苦野菜サラダとパスタ
パスタと楽しむ、ほろ苦野菜サラダ
「サラダをパスタに添えてひと皿で食べるのが好きです」。Vol.9でご紹介した、おいしいサラダの作り方
をマスターしたら、この食べ方をぜひ、楽しんでみてほしい。「アリオ・オーリオ・ペペロンチーネのようなシンプルなパスタだけのときでも、野菜も少しは食べたいですね。パスタとサラダをひと皿にしてみたら、別々のお皿に盛っていただくのとは違い、サラダのシャキシャキした爽やかな口当たりとパスタとの一体感が楽しくて、飽きずに食べ進められます」。
添える野菜は、ほろ苦系が合う。今回はサラダからし菜とマスタードリーフの2種類を使ったが、トレヴィス、水菜、サニーレタス、クレソン、エンダイブ、ルッコラ、わさび菜などを2〜3種類合わせても。
ほろ苦野菜に合うよう、ビネガーにひと工夫をするのがポイント。白ワインビネガーと千鳥酢を同量で合わせ、メープルシロップを少々。白ワインビネガーのキリリとした酸味に、千鳥酢のマイルドさが加わり、野菜の苦味が穏やかに感じられる。「メープルシロップは甘みのためではなく、ミックスしたビネガーを優しい味わいにするために加えています」。このミックスビネガーは合わせたあとで保存もできる。
サラダもパスタも作り方がシンプルで簡単。だからこそ、この料理でいちばん気をつけたいのは“段取り”だ。作り方を時系列でご紹介するので、最初はこの通りに作ってみて。「シャキシャキのサラダとゆでたてのパスタの美味しさをのせたひと皿を、楽しんでくださいね」。
<材料 2人分>
⚫︎ほろ苦野菜サラダ
ほろ苦野菜(サラダからし菜、マスタードリーフ) 両手のひら2杯分
オリーブオイル 適量
ミックスしたビネガー* 適量
塩、胡椒 各適量
*白ワインビネガーと千鳥酢1:1の割合に、メープルシロップ少量を合わせる。
⚫︎パスタ・アリオ・オーリオ・ペペロンチーネ
スパゲッティ 160〜200g
にんにく(みじん切り) 1〜2片分
アンチョビ 4〜5本
赤唐辛子 1本
オリーブオイル 大さじ2〜3
<作り方>
Vol.12 玄米ご飯
「ふっくら、もちもちに炊き上がる玄米のベストな炊き方です」
「私の母は玄米を日々の生活に取り入れていたので、幼い頃から玄米は白米と同じように親しみのある味でした。大人になり、風邪が長引いて鼻炎になって1年ほど治らなかったときに玄米食に切り替えたら、自然に回復しました。玄米だけがよかったのか正確にはわかりませんが、私は身体によいと言われる玄米の効果だと思っています。以来、白米もいただきながら、玄米を食べる生活をしています」と有元葉子さん。
ただ、身体によいからとパサパサした玄米ご飯を我慢して食べるのでは長続きしないもの。玄米もおいしいから食べる、が一番。「玄米の選び方がわからない、どう選べばよいのでしょう?とよく尋ねられるのですが、おいしい白米の玄米なら大丈夫、と答えています。私はいつも取り寄せる白米と同じ、新潟・魚沼産の玄米を送ってもらっています」。
納得のいく玄米を手に入れたら、何で炊くかも大事。「いろいろ試した結果、たどり着いたのが『カムカム鍋』と圧力鍋で炊く方法です。カムカム鍋とは、圧力鍋に入れて使用する玄米専用の陶器製の鍋のこと。遠赤外線効果もあり、玄米がふっくら炊き上がります。この内鍋がちょうど入る「平和圧力鍋」とセットで、すでに40年ほど使い続けています」。
圧力鍋は持っていても、カムカム鍋は持っているひとは多くないはず。「圧力鍋だけで炊いても、もっちりと炊き上がります。その場合は、今回ご紹介する炊き方と同じで、玄米3カップ、水800ml、圧力がかかり始めたら2〜3分加熱し、火を弱めて20〜25分加圧。火を止めて蓋に水をかけて圧力を抜いたら、炊き上がりです」。
こうして炊き上げる玄米は、ふっくら、もちもち、かみしめるためにしみじみおいしい。炊き方をマスターしたら、次回はおいしい玄米の食べ方をお伝えしましょう。
<材料 約4人分>
玄米 3カップ
水 3カップ
<作り方>
Vol.13 玄米に合うカリカリじゃこ
「玄米には噛みごたえのあるおかずが合います」
「精製された白米と違って、玄米は栄養豊かですから、おかずをたくさん揃えなくても気軽に一食を整えることができるんです」と有元さん。
しっかりよく噛んで食べる玄米には、噛みごたえのあるおかずが合う。今回は、玄米ご飯によく合う栄養豊かな一品をご紹介。
「カリッと香ばしく炒めたじゃこは、噛むほどに甘みを感じられる玄米ととてもよく合います。切り干し大根や、自家製の干し野菜なども好相性ですね」。
おいしく仕上げるコツは、にんにくと油をフライパンに入れてから火にかけ、にんにくにゆっくり火を入れること。こうすれば苦味が出ず、マイルドで香りよく仕上がる。ここにじゃこを加えて、油を吸わせるようにじっくり炒めれば、カリッとした口当たりに。
「我が家ではたくさん作って保存しておき、トーストや冷奴、焼いた油揚げにのせたり、生野菜に和えてサラダにしたり、中華麺に和えたりします。玄米にのせるときは、カシューナッツを揚げて添えるのが我が家風。カリカリ食感の二重奏で、玄米ご飯が進みますよ」。
<材料>
ちりめんじゃこ 100g
にんにくのみじん切り 1〜2片分
太白ごま油 大さじ3
豆板醤 大さじ1
醤油 小さじ2
<作り方>