「おいしいものは身体にいいのよ」。有元葉子さんはしばしばこの言葉を口にする。「野菜が身体にいいのはもちろんです。ただ、運動したら、肉や揚げものをたっぷり食べたいし、疲れたときには甘いものが欲しくなります」と有元さん。「見知らぬ土地で、スマホ頼みではなく、太陽の位置や見える景色を頼りに歩くと認知機能が高まると聞きました。食べることについても同様に、自分の身体の声を頼りにしてはいかがでしょう」有元葉子さん直伝の、真っ当においしく、身体にやさしい、理にかなった調理法と食べ方をお届けします。第5回は、塊の豚肉を鍋だけで仕上げる超簡単なのにゴージャスに見える、豚肉のポットローストをご紹介

RECIPE BY YOKO ARIMOTO, PHOTOGRAPHS BY YUKI SUGIURA, TEXT BY MIKA KITAMURA

画像: 今回はロースト可能な土鍋を使用。まず、肉の表面をよく焼きつけてたんぱく質を固め、ハーブ類を入れて蒸し焼き。お客さまには、レストランのように鍋中をお見せしてから切り分けよう

今回はロースト可能な土鍋を使用。まず、肉の表面をよく焼きつけてたんぱく質を固め、ハーブ類を入れて蒸し焼き。お客さまには、レストランのように鍋中をお見せしてから切り分けよう

「作り方は超簡単、香りも見た目もご馳走感満載」

 肉は塊で買うのがいちばんと有元さん。「豚肉も、塊肉が便利です。せっかくですから、白金豚や黒豚など銘柄豚を選ぶと失敗がないですね。今回は塊肉をそのまま料理しますが、自分で切り分けて冷凍することもあります。自分で切れば、料理方法に合わせて切り方を変えられ、市販品にない切り方ができるのが魅力です」。例えば、繊維に沿って切れば歯応えを、繊維を断ち切ればやわらかさを楽しめる。6〜7㎜幅の細切りにして野菜炒めや、きのこと合わせてクリームパスタに。小さく角切りにすれば、粉をはたいて揚げものに。塊肉は量が多いので、有元さんは真空パックをして冷凍保存している。真空パック器がなくても、ラップで空気に触れさせないようにピシッとくるめば充分だとか。

 ポットローストは、鍋で肉を蒸し焼きにする料理。鍋ひとつで手軽にできて、見た目も豪華。「鍋は厚手のものを使ってくださいね。にんじんや玉ねぎ、じゃがいも、さつまいも、ごぼう、れんこんなど根菜系の野菜を加えてもいいでしょう」。
 今回はロースト可能な土鍋を使い、肉の表面を焼いてからオーブンへ。もちろん、ガス火などにかけておいてもOK。時間はかかるが、放っておけるので、その間に簡単な前菜とサラダを作ることもできる。

「ローリエとローズマリーを枝ごと入れれば、見た目も素敵でしょう?ハーブの香りが漂っているお部屋にお客さまをお迎えするのも、充分なおもてなしです」。

画像: 「作り方は超簡単、香りも見た目もご馳走感満載」

<材料(作りやすい分量)>
豚肩ロース肉(塊) 800g〜1kg
にんにく 3片
ローリエ 3〜4枝
ローズマリー 2〜3枝
粗塩 5本指で2つかみくらい
黒胡椒 適量
マスタード 適量

<作り方>

画像: 1 肉に包丁の先で切れ目を深め(3〜4cm)に数ヶ所入れる。にんにくの薄皮をむき、2〜4等分する

1 肉に包丁の先で切れ目を深め(3〜4cm)に数ヶ所入れる。にんにくの薄皮をむき、2〜4等分する

画像: 2 にんにくを1の切れ目にギュッと差し込む。火が入ると肉が縮んでにんにくが出てきてしまうので、深く差し込んだほうがよい

2 にんにくを1の切れ目にギュッと差し込む。火が入ると肉が縮んでにんにくが出てきてしまうので、深く差し込んだほうがよい

画像: 3 塩を手のひらでずりずりとマッサージするようにまぶす。黒胡椒も挽きかけ、同様にまぶす

3 塩を手のひらでずりずりとマッサージするようにまぶす。黒胡椒も挽きかけ、同様にまぶす

画像: 4 土鍋もしくは厚手の鍋を中火強で熱し、オリーブオイルを入れ、肉全体に焼き目をつける

4 土鍋もしくは厚手の鍋を中火強で熱し、オリーブオイルを入れ、肉全体に焼き目をつける

画像: 5 ローズマリーとローリエを加え、弱火で1時間半、もしくはオーブン(190〜200℃)で1時間半、蒸し焼きにする。枝ごとのローリエがなければ、葉だけでもOK

5 ローズマリーとローリエを加え、弱火で1時間半、もしくはオーブン(190〜200℃)で1時間半、蒸し焼きにする。枝ごとのローリエがなければ、葉だけでもOK

画像: 6 5の肉を厚めに切り分け、器に盛り、ハーブ類も飾り、マスタードを添える

6 5の肉を厚めに切り分け、器に盛り、ハーブ類も飾り、マスタードを添える

画像: 有元葉子(ありもとようこ) 料理家。素材を生かしたシンプルで力強い料理と、環境にも配慮した心地よい暮らし方に多くの共感が集まり、著書は100冊を超える。使いやすく美しい調理道具「ラバーゼ」シリーズを提案し、東京でセレクトショップ「SHOP281」を経営。イタリア・ウンブリアと信州にも家を持ち、東京と信州、イタリアでの生活を楽しむ。 公式サイトはこちら

有元葉子(ありもとようこ)
料理家。素材を生かしたシンプルで力強い料理と、環境にも配慮した心地よい暮らし方に多くの共感が集まり、著書は100冊を超える。使いやすく美しい調理道具「ラバーゼ」シリーズを提案し、東京でセレクトショップ「SHOP281」を経営。イタリア・ウンブリアと信州にも家を持ち、東京と信州、イタリアでの生活を楽しむ。
公式サイトはこちら

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