TEXT & PHOTOGRAPHS BY JUNKO AMANO
河原町五条「cité(シテ)」

コーヒーショップを奥に進むと古着屋さんに
京都駅や四条河原町からも近く、それでいて京都の日常が感じられる五条エリアに2023年にオープンした「cité(シテ)」。
店を営む古着バイヤー吉田明史さんと台湾出身のバリスタ・リン ダンテイさんのカップルは元々はパリで暮らしていたが、2023年に京都へ移住。
古民家を改装した店舗は二人の強みを活かし、手前がカフェ、奥が古着ショップになっている。

吉田明史さんとリン ダンテイさん
ひと昔前のパリでは、どこも同じ大手メーカーの深煎り豆を使ったエスプレッソ系ドリンクが主流だったが、20年前から自家焙煎の店やプアオーバーで浅煎りコーヒーを出す店が増えている。リンさんも、浅煎りで豆自体のフルーティーさが引き立つ北欧スタイルのコーヒーが好きだったそうで、パリのブーランジェリーでバリスタとして働いた後、台湾で焙煎を習得した。

パッションフルーツやマンゴー、ココナッツのニュアンスがふわり。コーヒーの精製工程で天然酵母を加えて発酵させた「コロンビア・モンテブランコ農園のフルーツ ブラウンシュガー酵母発酵・ウォッシュ」の浅煎り¥620
自身の店はプアオーバーとエスプレッソ系のどちらもそろえ、プアオーバーでは自家焙煎の浅煎りシングルオリジンコーヒーを提供。ウォッシュドやインフューズド、アナエロビックなど、精製方法もさまざまに豆の個性が際立っている。
エスプレッソ系ドリンクの豆は自家焙煎の中煎り豆をブレンド。「今日のは赤ワインぽいニュアンスだし、昨日はちょっとナッティでしたね」と、リンさん。その日によって使う豆やブレンドも変わり、味わいが変わるのも楽しい。

生地にもアイシングにも鉄観音茶を使った「鉄観音茶のパウンドケーキ」¥400、通常のラテよりミルクの量が少ない「コルタードラテ」¥550
吉田明史さんは元々パリでパタンナーの勉強をしていていたが、縫製やパターン、歴史を学ぶため古着を見て回るうちに、古着の道へ。パリに住んでいる時から、東京のデパートで古着のポップアップイベントを開くなど、古着バイヤーとして活躍していた。13年のパリ暮らし後に開いたこちらの店には、有名メゾンのヴィンテージをはじめ、大人好みのパリのエスプリ香る古着が並んでいる。

テイストもきれいめなコンディションの良い古着がそろう
「古着だけだと入りにくいし、店内を見ている時に妙なプレッシャーを感じてほしくなくて。コーヒーショップを併設していると、気軽に楽しんでもらえるのがいいですね」と、吉田さん。

床の間には、パリの蚤の市で買い付けた花器やオブジェをディスプレイ
古着を見た後、コーヒーを飲んだり、コーヒーを飲んでる途中に試着をしてみたり、古着とコーヒーの空間がシームレスに繋がっていて、行ったり来たり。気軽でのんびりしていて居心地のよさも抜群だ。

台湾のパイナップルケーキにヒントを得たパイナップル餡入りマドレーヌをはじめ、焼き菓子もリンさんのお手製

デスクを大テーブルがわりに。イートインはテーブル1卓のみ

河原町通から一本東に入るだけで、静か。カフェスペースは、大きな窓から陽光も差し込み、気持ちいい
「cité(シテ)」
住所:京都市下京区紺屋町375-4
営業時間:8:30~17:00
定休日:火曜、水曜、他不定休あり
TEL. なし
公式インスタグラムはこちら

天野準子
生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント
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