京都生まれ、京都育ちの食いしん坊、京都でおいしいものに出合いたければ、この人に聞けばハズレなし!そんなアマジュンこと天野準子の絶品満腹口福アドレス。いよいよ寒さが本格的になり、ほかほかとした湯気が恋しい季節になってきた。そこで今月は、“温かい甘味”を紹介。第3弾は「茶寮 宝泉」へ

TEXT & PHOTOGRAPHS BY JUNKO AMANO

下鴨「茶寮 宝泉」

画像: 「丹波白小豆ぜんざい」¥1,250

「丹波白小豆ぜんざい」¥1,250

 閑静な住宅街と知られる下鴨に店を構える「茶寮 宝泉」。高い塀に囲まれた築100年を越す屋敷がそのまま使われていて、「旧家?それとも料亭?」と思うほど、立派な佇まいだ。
 門をくぐり、苔が美しい前庭を横目に石畳を進み、玄関へ。そのアプローチも非日常に誘われる。

画像: 重厚感溢れる門構え

重厚感溢れる門構え

「宝泉堂」は1947年、小豆を使った半生菓子の卸販売から始まり、1999年には「あずき処 宝泉堂」を構え、小売り業もスタート。2004年、本店から徒歩2分の場所に建つ200坪を有する邸宅を譲り受け、茶寮が誕生した。

 寒い時期、食べたくなるのが「丹波白小豆ぜんざい」だ。白小豆は、生産量が少なく希少なことに加え、小粒で皮が薄くいため美しく炊き上げることが難しく、ぜんざいで提供されることは珍しい。

画像: 小豆の粒をつぶさないようていねいに炊かれ、汁が澄んでいる

小豆の粒をつぶさないようていねいに炊かれ、汁が澄んでいる

 くせがない白小豆は抹茶の風味を邪魔しないため茶人好みとされ、茶席用の上生菓子に使われていることも多く、ぜんざいにしても、雑味がなく、あっさり。
 お汁粉に近いとろりとしたぜんざいと違い、おすましを彷彿させるほど澄んだ汁も特徴的。
粒も皮が破れずふっくら炊かれていて、上品な味わいに癒やされる。

 今や菓子の原材料の中で一番高価ではないかと言われている本わらび粉と砂糖、水のみを使った「わらび餅」も一度は食べてほしい一品。

画像: 和菓子界の黒い宝石と称される本わらび粉100%の「わらび餅」¥1,400

和菓子界の黒い宝石と称される本わらび粉100%の「わらび餅」¥1,400

 本わらび粉が持つ粘りや食感を引き出すため、注文を受けてから炊き上げ、プルンとなめらかなわらび餅を口に運ぶと、柔らかながらコシもあり、初めましてな食感。持ち帰り不可の“できたて”だからこそ楽しめるおいしさだ。

画像: 手入れの行き届いた庭を望む数寄屋造の座敷

手入れの行き届いた庭を望む数寄屋造の座敷

 日本庭園を望む座敷では、甘味のほか、季節の上生菓子と抹茶も楽しめ、メニューも空間も、昔ながらの甘味処とひと味違う上質さが漂っている。わざわざ足を運ぶ価値ありだが、時間のない方は、帰路に就く前に京都駅店へ是非。
「旅の最後に京都に来てよかったなーと思ってもらいたくて」と、京都駅の新幹線構内2階に
店を構え、わらび餅以外の甘味や上生菓子をいただくことができる。

「茶寮 宝泉」
住所:京都府京都市左京区下鴨西高木町25
営業時間:10:00〜17:00(16:30LO)
定休日:水・木
TEL. 075-712-1270
公式サイトはこちら

画像: 天野準子 生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント

天野準子
生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント

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