RECEPI BY TOMOKO NAGAO, PHOTOGRAPHS BY TAKAKO HIROSE, TEXT BY MIKA KITAMURA

ベーコンのクミンシード炒めは小さい器に入れて食卓に。それぞれがポタージュにのせていただく
新ごぼうは粗めに仕上げて、食べ応えのある一品に
春は新ものが出回る季節。新ごぼう、新玉ねぎ、新じゃがなどの春野菜には寒い時期、体内に溜まった余分な脂肪や毒素を排出する効果があり、大いに食べたいもの。
「新ごぼうはアクが強くなく、軽やかな印象ですが、味に存在感がありますから、じゃがいもと牛乳、生クリームを加えるだけで、充分おいしいポタージュになります」と長尾さん。
「フードプロセッサーでごぼうをピュレ状にするとき、少し粗目に仕上げれば食べ応えのある一品になります」。ポタージュがとてもシンプルな味わいなので、仕上げにベーコンとクミンシードを炒めて加える。スパイシーな香ばしさとのコントラストで重層的な味わいに。
旬の野菜を食べれば、身体が整う。「ピュレを冷凍しておけば、それをお鍋に入れて牛乳などでのばしてすぐに食べられます。多めに作って常備すれば、忙しいときの助けになるはずです」。余分なものが入っていない野菜だけのポタージュは、お年寄りにも赤ちゃんの離乳食にもおすすめ。その場合は、ピュレをなめらかになるまで攪拌してもいい。
このポタージュにパンを添えれば、満足な食に一食に。今回は、シンプルなクイックブレッドの作り方を紹介。ごぼうを煮る間に生地を仕込み、焼きたてのアツアツをスープと一緒に召し上がれ。
<材料3〜4人分>
新ごぼう 2本 包丁の背で皮をこそげ、1cm長さに切る
じゃがいも(男爵)2個 皮をむき、8等分に切る
牛乳 150ml
生クリーム 200ml
塩 少々
ベーコン スライス4枚 細切りにする
クミンシード 小さじ2
オリーブオイル 小さじ1

ごぼうは水に浸け、さらに水でさっと洗って水気を切り、鍋に入れる。じゃがいもは軽く水にさらし、水気を切って鍋に入れる。水をひたひたに注ぎ、オリーブオイルを加え、塩を軽く振り、中火にかける。煮立ってきたらアクをすくい、少し火を弱めて蓋をして約20分煮込む。

ごぼうがやわらかくなったら、全てをフードプロセッサーに移し、粗いピュレ状になるまで、攪拌する。

ピュレを鍋に移し、水約150cc(材料外)を加えて弱火にかける。木べらで混ぜながら温める。牛乳と生クリームを混ぜ合わせてから鍋に加えて混ぜ、2〜3分煮る。濃すぎるようであれば水を適宜加え、とろりとしたポタージュに仕上げる。味を見て足りなければ塩を加え、火を止める。

ベーコンはフライパンに入れ、弱火でじっくり炒める。香りが立ってきたらクミンシードを加え、焦げないよう混ぜながら炒め、カリッとしたら小さな器に移す。

ごぼうのポタージュを器に盛り、ベーコンと、好みで焼き立てのクイックブレッド(下記参照)を添える。
焼き立てを味わうクイックブレッドにトライ
余力があるなら、焼き立てのクイックブレッドを添えてみてほしい。「パンづくりは難しい印象がありますが、生地の扱いに慣れるととても楽しいです。イーストではなく、ベーキングパウダーで作るので、発酵する手間が不要。思い立ったらすぐに作れます」。
生地は、室温で少し時間をかけて休ませると、扱いやすく伸びのいい生地になる。「ごぼうを煮る間に生地を仕込み始め、ポタージュを仕上げている間に生地を休ませればスムーズに出来上がります」。焼きたてにチーズをのせてもおいしい。
ベーキングパウダーで作るパンは時間をおくと固くなるので、食べる分だけ焼くのがおすすめ。残ったらトーストしてクルトンにしたり、クラッカーのような食べ方をするとよい。
<材料 6枚分>
薄力粉 200g
強力粉 100g
ベーキングパウダー 5g
プレーンヨーグルト 150ml
水 約70ml
塩 5g
てん菜糖 小さじ1
打ち粉 適量

小麦粉とベーキングパウダーを混ぜ、ボウルにふるい入れる。プレーンヨーグルトと水、塩、てん菜糖を混ぜ合わせ、粉の真ん中に注ぎ、ゴムベラで内側に粉を集めるようにしながら生地をまとめる。粉気がなくなったらまな板などに取り、手につくようなら打ち粉をしながら軽くこね、丸くまとめてボウルに戻し、ラップをかけて約15分休ませる。
オーブンを180℃に予熱する。天板にオーブンシートを敷く。生地を6等分し、丸めてからそっと引っ張るように直径14〜15cmの円形に伸ばし、オーブンシートにのせる。

180℃のオーブンで10分間焼き、上下を返して焼き色がつくまで6~8分焼く。焼きたてをポタージュに添える。

長尾智子
フードコーディネーター。書籍や雑誌の執筆、食品や器の企画やディレクションほか、食にまつわる提案を手がける。『料理の時間』(朝日新聞出版)、『ティーとアペロ お茶の時間とお酒の時間 140のレシピ』(柴田書店)ほか、著書多数。自らの目で選ぶオンラインストアSOUP(https://soup-s.shop/)も好評。
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