京都⽣まれ、京都育ちの⾷いしん坊、京都でおいしいものに出合いたければ、この⼈に聞けばハズレなし!そんなアマジュンこと天野準⼦の絶品満腹⼝福アドレス。今⽉はそば屋を紹介。第2弾は「晦庵 河道屋」へ

TEXT & PHOTOGRAPHS BY JUNKO AMANO

京都市役所前「晦庵 河道屋」

画像: 鴨もも肉の旨みがかけ汁にもしっかり溶け出した「鴨なんばそば」¥1,600

鴨もも肉の旨みがかけ汁にもしっかり溶け出した「鴨なんばそば」¥1,600

 店舗移転のため、2025年1月より休業していたそば屋「晦庵 河道屋(みそかあん かわもちや)」が2025年10月より新店舗で開店を果たした。

 京都特有の住所で言うと、旧店舗は”麩屋町姉小路下ル”だったのが、新店舗は”麩屋町姉小路西入ル”に。つまり新店舗は、旧店舗から北に進み、一本目の角を西に曲がった徒歩1分の場所になる。

画像: 歴史的景観の維持に取り組まれている姉小路通沿い。同じ通り沿いには「蕎麦ほうる」を扱う「総本家 河道屋」もあり

歴史的景観の維持に取り組まれている姉小路通沿い。同じ通り沿いには「蕎麦ほうる」を扱う「総本家 河道屋」もあり

 元はL字型のひとつの屋敷で、旧店舗は”離れ”だった建物を改装して1932年より営業をスタート。今回、移転オープンした新店舗は、長年、家族が暮らしていた母屋だったそう。新店舗の店内から見える奥庭も、実は旧店舗の奥にあった庭と同じものだ。

画像: 旧店舗時代、店内から見えていた奥庭もそのまま残されている

旧店舗時代、店内から見えていた奥庭もそのまま残されている

 東京の老舗そば屋の多くは、江戸時代に元々”そば屋”として創業しているが、「晦庵 河道屋」のルーツは今から300年以上前。元禄時代に菓子店「総本家 河道屋」として創業。菓子を商う傍らそば切りを供していたのが始まりで、昭和7年(1932年)、現店主、植田徹さんの曾祖父である「総本家 河道屋」14代目当主が「晦庵 河道屋」を開店。現在は、「総本家 河道屋」では「蕎麦ほうる」を、「晦庵 河道屋」では生そばを扱っている。

画像: 京都のそば屋では、にしんの上からそばをのせて提供されることが多い。「にしんそば」¥1,750

京都のそば屋では、にしんの上からそばをのせて提供されることが多い。「にしんそば」¥1,750

 そば通は”もりそば”を好むことが多いが、京都の昔ながらのそば屋では、にしんそばを始め、かけそばが愛されている。
 そば麺も、”かけ”にした時においしいように作られた少し太めの七三に。暖かいそば出汁に浸しても麺が切れにくく、ふわふわ、するりとした食感が楽しめる。
 そば出汁も、利尻昆布に鰹節や宗田節、鯖節をブレンドして出汁を取った薄色仕立てに。そば出汁にはしっかり味が出る厚削りの節を使うことが多いが、こちらでは雑味がでない薄削りを採用。和食店のような上品なかけ出汁が染み渡り、最後の一滴まで飲み干してしまう。

画像: そばのかけ汁用に取った出汁を使い、お米一粒一粒にしっかり出汁が染み渡る「季節ごはん」¥350。「鴨なんばそば」¥1,600

そばのかけ汁用に取った出汁を使い、お米一粒一粒にしっかり出汁が染み渡る「季節ごはん」¥350。「鴨なんばそば」¥1,600

 新店舗の厨房は、店主の植田徹さんが1人で切り盛りしているため、席数やメニュー数を絞り、旧店舗よりコンパクトに。上質な素材で出汁を取り、にしんそばのにしんはアクを取り、下炊きし、味を入れ、3日間かけて炊くなど、昔ながらの製法を貫いて。そばを打つにも出汁を取るにも京都の柔らかな地下水が不可欠と考え、新たに井戸まで掘ったという。
 過去には、デヴィッド・ボウイや黒澤明、スティーブ・ジョブズ(来店した時は気づかず、後に記事で知ったとか)も来店したこともあり。底冷え厳しい京都の冬、京都人にも旅行者にも愛されるかけそばで温まってください。

画像: 左官仕上げの土壁や奥庭、格子窓など、町家風情を残しつつ、モダンにまとめられた店内

左官仕上げの土壁や奥庭、格子窓など、町家風情を残しつつ、モダンにまとめられた店内

「晦庵 河道屋」
住所:京都府京都市中京区姉小路麩屋町西入ル姉大東町556-1
営業時間:11:00〜15:30 LO
定休日:火曜・水曜
TEL. 075-221-2525
公式インスタグラムはこちら

画像: 天野準子 生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント

天野準子
生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント

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