BY MASANOBU MATSUMOTO
ブルガリにとって、“蛇”は極めて重要なモチーフである。古代ギリシア・ローマ時代より魅惑のシンボルとして伝わる蛇は、その柔和な体躯が女性性を想起させ、脱皮を繰り返して成長するさまから、再生や革新の象徴とも見なされている。このポジティブ・モチーフを、ブルガリは1940年代に腕時計に採用し、60年代にはブレスレットやネックレスなどジュエリーでも展開。いまではレザーグッズやアクセサリーにまでバリエーションが広がり、その「セルペンティ(イタリア語で蛇の意味)」の名を冠したアイテム群は、モチーフの意味するとおり、ブランドの“革新性”を物語っていると言える。
この春、その「セルペンティ」のさらなる進化形となるカプセルコレクションが誕生した。手がけたのは、ラグジュアリーメゾンから「ポケモン」まで、さまざまなブランドや企業とのコラボレーションを成功に導いてきた、藤原ヒロシである。
このカプセルコレクションでは、バッグを中心にスモールレザーグッズやバンダナなどの小物までをランナップ。「セルペンティ」の象徴である蛇の頭部分に、藤原が率いるデザインカンパニー「フラグメント」のシグネチャーである稲妻を添えたアイコニックな装飾が特徴だ。特にバッグにおいては、ボディ部分に双方のロゴを、一部が隠れるように配置。由緒あるメゾンにおいては“型破り”とも取れる挑戦的なデザインが、ユニークさを際立たせる。
とりわけ、意外に思わせたのが(これこそコラボレーションの醍醐味であるが)デニム素材のアイテムだろう。上質なカーフやナッパレザーを使用したバッグに加え、ストリート的であり、もはや現代ファッションのスタンダードであるデニムに載せ替えたバージョンも展開。エフォートレスでマルチユースなバッグに昇華した。ちなみに、デニム素材の使用はブルガリのアイテム史上初めてのことでもある。
同時にトートバッグやウォレットを中心に、より実用性を追求したコレクション「BBフラグメント」もリリース。これは、古代コインをモチーフにしたブルガリのもうひとつのアイコン「ブルガリ・ブルガリ」が着想源で、同じくブルガリと「FRGMT」のイニシャルと稲妻を融合したロゴが目を引く。ユニセックスなデザインもポイントだ。
阪急メンズ東京では、ポップアップストアを展開。またブルガリ銀座タワー、阪急うめだ本店、阪急メンズ大阪店、JR名古屋高島屋店、仙台藤崎店、ブルガリ オンラインショップ(一部の商品のみ)でも販売をスタート。オンライン限定アイテム(キーリング、スカーフおよびブレスレット)も登場する。由緒あるハイ ジュエリーブランドと現代のストリートカルチャーの牽引者――ふたつのクラフツマンシップが融合したコレクションを堪能したい。
<BVLGARI ✕ FRGMT POP-UP STORE>
会期:〜6月18日(火)
会場:阪急メンズ東京 1階 メインベース
住所:東京都千代田区有楽町2-5-1
問い合わせ先
ブルガリ ジャパン
TEL. 03(6362)0100
公式サイト