BY KUBO REIKO
昨年、『万引き家族』でカンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールに輝き、アカデミー賞の外国語映画賞レースも沸かせた是枝裕和 監督。最新作『真実』は、カトリーヌ・ドヌーヴとジュリエット・ビノシュというフランスの二大女優と、アメリカの人気俳優イーサン・ホークを迎えた日仏合作映画だ。自伝本の出版を控えた大女優ファビエンヌ(ドヌーヴ)のパリの邸宅に、ニューヨークで脚本家として働く娘リュミール(ビノシュ)が夫(ホーク)と7歳の娘を連れて帰ってくるところから物語は始まる。
「以前書いて実現しなかった、女優を主人公にした一人芝居の脚本があって。それを下敷きに、ドヌーヴさんと娘さん(女優のキアラ・マストロヤンニ)との関係などいろいろお話をお聞きして、家族のドラマに仕立てていきました」と語る是枝監督。
是枝映画の“母”といえば昨年逝った樹木希林が思い出されるが、「驚くほど都会的センスにあふれ、実にチャーミング」なドヌーヴという新たなる“母”を得て、丁々発止の会話劇は皮肉とユーモアが冴え、本人の話では!? と妄想させる台詞満載で実にスリリング!
名撮影監督エリック・ゴーティエをはじめ、クルーはすべて海外スタッフというアウェイでも、豪華俳優陣を得意のホームドラマへと誘い込み、軽やかな母と娘の再生物語を紡ぐ巨匠の手腕に魅せられる。
『真実』
10月11日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほか、全国ロードショー
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