BY NANCY HASS, PHOTOGRAPH BY DANILO SCARPATI, TRANSLATED BY CHIHARU ITAGAKI
ローマにあるチネチッタは、ムッソリーニ政権の全盛期だった1937年に建てられた、伝説的な映画撮影所だ。「Il cinema è l’arma più forte(映画は最も強力な武器だ)」というチネチッタのスローガンは、その後に勃発した第二次世界大戦のことを考えると皮肉に聞こえるが、1950年代に映画スタジオが再建されると、ローマは映画製作の中心地となった。フェデリコ・フェリーニ監督の『甘い生活』(’60)や、ウィリアム・ワイラー監督の『ローマの休日』(’53)、『ベン・ハー』(’59)といった作品の大部分は、チネチッタで製作されたのだ。スタジオに絶え間なくやってくるスターたちと、この都市最大の宝石店であるブルガリとは、切っても切れない関係になった。
エリザベス・テイラー、ジーナ・ロロブリジーダ、アンナ・マニャーニといった女優たちが、一日を撮影所で過ごしたあとにコンドッティ通りにあるブルガリの店を訪れては、大きなカラーストーンとダイヤモンドが織りなす贅沢なジュエリーの数々を試したものだ。このピンクゴールドのネックレス――14カラットを超えるのど飴のような大きさの、トパーズ、ルベライト、モルガナイト、3色のクオーツといった7つの楕円形のストーンがついている――は、そういったかつての楽しき日々を彷彿させる。テクニカラー時代の映画の魅力、決して消えない輝きが、次々にあふれ出てくるようだ。
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