犯罪者、あるいは容疑者と対峙したときの社会、そして人間のあり方を掘り下げる2本の映画が公開される。どちらも実在の人物や事件をモデルに描かれ、もし自分だったらどう行動するかを深く考えさせられる作品だ

BY REIKO KUBO

『すばらしき世界』と同時期に封切られるのが、やはり現実の事件から紡がれたフランス映画『私は確信する』だ。2000年、フランス南西部の街トゥールーズで、38歳のスザンヌ・ヴィギエが夫と3人の子どもを残して忽然と姿を消した。マスコミは、法学部教授で熱狂的なヒッチコック映画のファンだった夫ジャックによる殺人とセンセーショナルに書き立てた。ジャックの無罪を信じるシングルマザーのシェフ、ノラは、無罪請負人の異名をとる弁護士デュポン=モレッティに弁護を依頼し、自らもアシスタントとして250時間に及ぶ通話記録を調べ始める。

画像: ジャックの無罪を信じて敏腕弁護士のもとで活動するノラを演じるのは、コメディエンヌとしても人気の実力派女優マリーナ・フォイス © DELANTE PRODUCTIONS ― PHOTO SÉVERINE BRIGEOT

ジャックの無罪を信じて敏腕弁護士のもとで活動するノラを演じるのは、コメディエンヌとしても人気の実力派女優マリーナ・フォイス
© DELANTE PRODUCTIONS ― PHOTO SÉVERINE BRIGEOT

 監督のアントワーヌ・ランボーは実際にこの事件の裁判を傍聴し、証拠がないまま告訴された被告と、10年あまりにわたって “父親によって母を殺された” と誹りを受けながら育った子供たちの存在を知り、事件への関心を深めたという。そして裁判の経過に架空の人物ノラを組み込んで、スリリングなドラマを練り上げていった。ここでも調査に奮闘するノラが観客の目となり耳となる。やがて彼女はジャックの冤罪を晴らすことに躍起になるあまり、別の人物が犯人だと証明することに取り憑かれてゆく。この冤罪を生み出す構造こそが手に汗握る本作のテーマであり、『息子のまなざし』の名優オリヴィエ・グルメによる10分間の最終弁論は、ノラに、そしてスクリーンを見つめる我々に推定無罪の理念を熱く語りかけてくる。ちなみに実在の弁護士デュポン=モレッティは、現マクロン政権下で法務大臣を務めている。

画像: 映画『私は確信する』予告編 © DELANTE PRODUCTIONS youtu.be

映画『私は確信する』予告編
© DELANTE PRODUCTIONS   

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『私は確信する』
2021年2月12日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
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