グッチ創設100周年を記念して、開催されるエキシビション『Gucci Garden Archetypes』展のテーマは“広告キャンペーン”。ビジュアル、ムービーを通して示されてきたグッチの世界観をインスタレーションで立体的に体験できる

BY MASANOBU MATSUMOTO

 ファッションブランドにとって広告ビジュアルやムービーは、ランウェイのセットと同様に、コレクションの世界観やメッセージを伝えるひとつの表現だ。ときにフォトグラファーや映画監督と協業し、デザイナーが頭の中で描くビジョンを明確なイメージで紡ぎ出していく。

 グッチ生誕100周年を祝して、東京・天王洲 B&C HALL・E HALLで9月24日(金)に開幕する『Gucci Garden Archetypes』展は、こうした広告キャンペーンが主題だ。フォーカスされるのは、アレッサンドロ・ミケーレがブランドのクリエイティブ・ディレクターに就任して以降、6年の間に制作された広告写真やムービー。その世界観を、コレクションアイテムやオブジェを交えながらインスタレーションで再構築し、立体的に鑑賞者に体験させる企てだ。

「この6年間の冒険に人々を誘い、空想の世界や物語、驚きやまばゆいきらめきをめぐる旅をともにするのは、面白いことだと考えました。そこで、広告キャンペーンの世界に入り込んだような臨場感にあふれる遊びの空間を創ることにしました。なぜなら広告キャンペーンは、私のイメージをもっとも明快に体現しているからです」とアレッサンドロ。

画像: 『Gucci Garden Archetypes』のキービジュアル。『Gucci Garden Archetypes』は、今年5月にフィレンツェの「グッチ・ガーデン」でも開催され話題を集めた。本展のキュレーションは、アレッサンドロが担当している

『Gucci Garden Archetypes』のキービジュアル。『Gucci Garden Archetypes』は、今年5月にフィレンツェの「グッチ・ガーデン」でも開催され話題を集めた。本展のキュレーションは、アレッサンドロが担当している

画像: 2016年秋冬コレクションのキャンペーン“Tokyo Lights”のブース。夜のネオンにインスピレーション、また偏執的なカスタマイズを愛する日本の「チューニング」文化を象徴した空間が表現されている

2016年秋冬コレクションのキャンペーン“Tokyo Lights”のブース。夜のネオンにインスピレーション、また偏執的なカスタマイズを愛する日本の「チューニング」文化を象徴した空間が表現されている

 本展で振り返ると、グッチの広告キャンペーンのストーリーがじつに多彩であることがわかる。テクノロジーや音楽、旅、ポップカルチャーに着想された独自のビジョンを打ち出し、またときにファッション的な美しさだけでなく、“あるべき生き方、あるべき未来とは何か”といった思想や哲学も鮮烈に提示してきた。

 2018年プレフォールのキャンペーンは、“Gucci Dans les rues(路上にて)”。ちょうどフランス五月革命から50年の節目を迎えるシーズンで、当時の“美しき反乱者”をたたえながら、今を生きる若者の背中を押した。2017年に発表されたグッチ初の女性用フレグランス「グッチ ブルーム」の広告では、女優のダコタ・ジョンソン、フェミニスト・アーティストで写真家のペトラ・コリンズ、また女優でモデル、トランスウーマンのハリ・ネフを起用。アレッサンドロが思う、新しい包括的な“モダンフェミニニティ”のビジョンを映し出した。

 近年、いわばビジョナリーとして大きな影響力をもつアレッサンドロ。その鋭くも創造性に富んだ頭の中を、本展を通して覗き込むことができるだろう。

画像: (写真左)アレッサンドロがグッチで初めて手がけた2015年秋冬コレクションの広告キャンペーン“Urban Romanticism”。都市の洞窟であり、またある場所からある場所へと移動する狭間の空間である「地下鉄」を舞台に、旅についての物語を紡いだ (写真右)2020年クルーズコレクションのキャンペーン“#ComeAsYouAre_RSVP”。「グッチは皆が参加できるパーティーのようなもの」をテーマに、映像はハーモニー・コリンが監督を務めた PHOTOGRAPHS: COURTESYOF GUCCI

(写真左)アレッサンドロがグッチで初めて手がけた2015年秋冬コレクションの広告キャンペーン“Urban Romanticism”。都市の洞窟であり、またある場所からある場所へと移動する狭間の空間である「地下鉄」を舞台に、旅についての物語を紡いだ
(写真右)2020年クルーズコレクションのキャンペーン“#ComeAsYouAre_RSVP”。「グッチは皆が参加できるパーティーのようなもの」をテーマに、映像はハーモニー・コリンが監督を務めた
PHOTOGRAPHS: COURTESYOF GUCCI

Gucci Garden Archetypes
会期:9月23日(木・祝)〜10月31日(日)
会場:天王洲 アイル B&C HALL・E HALL
住所:東京都品川区東品川2-1-3
時間:11:00〜20:00(金・土曜、祝前日は21:00まで)※最終入場は閉館時間の30分前まで
入場料:無料
※事前予約制。予約はグッチ公式LINEアカウント@gucci_jpから
電話:0120-99-2177(グッチ ジャパンクライアントサービス)
公式サイト

※ 今後の状況によっては、事前の予告なく変更となる可能性もあります。
※ 混雑時には入場制限を行う場合もあります。

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