ホテルジャーナリスト、せきね きょうこが独自の視点でおすすめの東京ホテルを案内。連載第48回目は、パイロット気分を味わえる特別室が登場した「羽田 エクセルホテル東急」

BY KYOKO SEKINE

 東京国際空港(通称:羽田空港)敷地内に、本格的な設備の整ったホテル「羽田 エクセルホテル東急」が開業し、2019年12月で15周年を迎える。

画像: 東京国際空港の第2ターミナルに隣接するホテルの全景。まさに窓からは空港や滑走路が見え、旅心をくすぐられる

東京国際空港の第2ターミナルに隣接するホテルの全景。まさに窓からは空港や滑走路が見え、旅心をくすぐられる

 早くから国内外を行き来していたビジネスマンや、私自身にとっても、渡航の前後泊に利用できる「羽田 エクセルホテル東急」の開業は、当時、大きな喜びであったことを覚えている。そして記念となる今年、話題の客室がオープンした。飛行機のシステムを全く知らない私でも、2019年7月に披露された「特別室」、ボーイング737-800型機を模したフライトシミュレーターが設置された「スーペリア コックピットルーム」には驚きを隠せなかった。初めての入室時、ザワッと鳥肌が立つ…… ほどの印象だったが、飛行機ファンならそれどころではないだろう。もしかしたら、彼らはあまりの興奮に熟睡は無理かもしれない。

画像: 「スーペリア コックピットルーム」 2019年12月に迎える開業15周年を記念し今年の7月に誕生。ボーイング737-800型機を模したフライトシミュレーターが設置されている

「スーペリア コックピットルーム」
2019年12月に迎える開業15周年を記念し今年の7月に誕生。ボーイング737-800型機を模したフライトシミュレーターが設置されている

画像: 複雑な機械類が搭載されたコックピット部分。飛行機の操縦体験や、客室空間から羽田空港の空の風景を堪能できる宿泊プランなどが用意されており、パイロット気分を満喫できる

複雑な機械類が搭載されたコックピット部分。飛行機の操縦体験や、客室空間から羽田空港の空の風景を堪能できる宿泊プランなどが用意されており、パイロット気分を満喫できる

「フライトシミュレーター雰囲気体感プラン」では、“客室空間から羽田空港の空の風景を堪能できる”との提案通り、この貴重な部屋に滞在してパイロット気分を味わうことができる。計器類に触れることはできないが、操縦席の後ろからアクリル板越しに、いかにもコックピットにいるような景色や、離着陸のリアルな景色を見ることができ、空港上空を旋回する様子も見せてくれる。さらに飛行機の操縦体験ができる「フライトシミュレーター体験プラン」は、ショートステイのみではあるが、実際に操縦桿を握ることができ、羽田空港から伊丹空港へのフライトを体感することができる。元パイロットや操縦に詳しい専門家が同席し、インストラクトしてくれる。客室は全館でたったひとつしかない特別室なため、当然、予約は早い者勝ちだ。

画像: 「プレミア フライヤーズルーム」 ファーストクラスの座席が窓際に置かれた客室

「プレミア フライヤーズルーム」
ファーストクラスの座席が窓際に置かれた客室

 スタンダードからスイートまで、他の客室はいずれも落ち着いた雰囲気で統一されている。スイートルームにはイタリア製家具が配され、贅沢な広さも確保されている。空港ホテルのコンセプトは、ゆったりと深い眠りに就ける“睡眠特化型”である。前泊ならば気持ちよく旅立てるよう、また後泊ならば、自国に戻った安心感と旅の疲れを癒すこと。そんな目的がはっきりとしたホテルでは、騒音対策も完璧に施されている。中には、バスルームから飛行機の離着陸が見え、旅心が掻き立てられる部屋や、国際線ファーストクラスで使用されていたシートを椅子代わりに備えた部屋もあり、飛行場内のホテルらしさを堪能できる。

画像: 「デラックス ダブルルーム」 4階、5階に位置するエアポートビューの客室からは、間近に滑走路が見え、離着陸する飛行機や東京湾の眺めが楽しめる

「デラックス ダブルルーム」
4階、5階に位置するエアポートビューの客室からは、間近に滑走路が見え、離着陸する飛行機や東京湾の眺めが楽しめる

 とにかくこのホテルに滞在する目的は“旅”そのものにある。眠り、休息、安らぎに特化されたホテルだが、もうひとつ大切なのはダイニングであろう。カジュアルなアラカルトメニューも、また出発前の大切な時間を仲間とゆったり贅沢に楽しむコース料理もありバラエティーに富んでいる。朝食が朝5時から始まり、24時まで営業という設定も有難い。2016年10月から料理長を務める笹木浩一氏に自慢の料理を尋ねると、「ディナーコースの料理はぜひ召し上がって欲しい」と薦める。その日に入荷した魚介類をはじめ、新鮮な食材で造る料理長自慢の数々の皿は、どれも美味しい。ボリュームもあり、ヘルシーで優しい味の西洋料理だ。

画像: カフェ&ダイニング「フライヤーズ テーブル」 朝食バイキング、パスタ、中華などのランチ、シェフ自慢の洋食コースや多彩なアラカルトメニューが好評のディナー、そしてティータイムまで空港内ホテルらしいオールデイダイニング

カフェ&ダイニング「フライヤーズ テーブル」
朝食バイキング、パスタ、中華などのランチ、シェフ自慢の洋食コースや多彩なアラカルトメニューが好評のディナー、そしてティータイムまで空港内ホテルらしいオールデイダイニング

画像: 新しいコース料理「ベジタブルコース」。手前は好評の前菜のひとつ、「カボチャとマーマレードのテリーヌ」 PHOTOGRAPHS:COURTESY OF HANEDA EXCEL HOTEL TOKYU

新しいコース料理「ベジタブルコース」。手前は好評の前菜のひとつ、「カボチャとマーマレードのテリーヌ」
PHOTOGRAPHS:COURTESY OF HANEDA EXCEL HOTEL TOKYU

 さて、飛ぶ前か、飛んだ後か。実は、飛行場ホテルの利用はそれだけには限らない。“旅”がライフスタイルとなった私自身、国内外ともにホテルそのものを目的とした旅をする。一方、飛行機愛好家は、飛行場ホテルに泊まり歩く。このホテルに新設されたコックピットのある客室など、たまらない魅力に違いない。パイロットになりきり非日常のひとときを満喫してみるのもいいだろう。

羽田 エクセルホテル東急(HANEDA EXCEL HOTEL TOKYU)
住所:東京都大田区羽田空港3-4-2
電話:03(5756)6000
客室数:全386室
料金:¥31,000~(1泊1室2名の室料。サービス料込、消費税・宿泊税別)
公式サイト

せきね きょうこ
ホテルジャーナリスト。フランスで19世紀教会建築美術史を専攻した後、スイスの山岳リゾート地で観光案内所に勤務。在職中に住居として4ツ星ホテル生活を経験。以来、ホテルの表裏一体の面白さに魅了され、フリー仏語通訳を経て、94年からジャーナリズムの世界へ。「ホテルマン、環境問題、スパ」の3テーマを中心に、世界各国でホテル、リゾート、旅館、および関係者へのインタビューや取材にあたり、ホテル、スパなどの世界会議にも数多く招かれている。雑誌や新聞などで多数連載を持つかたわら、近年はビジネスホテルのプロデュースや旅館のアドバイザー、ホテルのコンサルタントなどにも活動の場を広げている
www.kyokosekine.com

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