穏やかな語り口と、紳士らしく謙虚な立ち居振る舞いが

人を魅了するデュブッフ氏

「“ボジョレー・ヌーヴォー”とは、私にとっては、ワインの新しい季節の始まりです。ちょうどこの時期、フランスは晩秋を迎えて少しメランコリックな雰囲気になりますが、新酒を祝うお祭りが、季節に彩りを添えてくれるのです。いわば、ワインの新年のようなものでしょうか」

 そう穏やかに語るのは、“ボジョレーの帝王”「ジョルジュ デュブッフ」の社長ジョルジュ デュブッフだ。御年84歳。聞けば、ボジョレー・ヌーヴォーの解禁日には毎年日本を訪れ、日本人とともに新酒を祝うという。


「日本は、私にとって特別な国です。初めて訪れたのは1970年代のこと。敬愛するポール・ボキューズ氏のレストラン『レンガ屋』が日本にでき、私も同行してきました。まだ日本に関する情報が少なかった時代のこと、初めての日本は感動の連続でした。日本の建物や料理の美しさはもちろん、特に惹かれたのは日本人の謙虚さ、思いやりの心など、人としての美徳でした。『この国をもっと知りたい、そして日本の人々に私のワインを楽しんでほしい』と、心から願いました」


 以後、彼は毎年来日しては、名刺を携えて地道にレストランを回った。そしてボジョレー・ヌーヴォーのブームが到来、「ジョルジュ デュブッフ」の名は広く知られるところとなる。

「日本の皆さんに『ジョルジュ デュブッフ』のワインを飲んでいただけるのは、本当にうれしいことでした。もっとも感動したのは、10年ほど前、京都のレストランですべてのテーブルに当社のワインがあったことです。私はうれしさのあまり、すべてのテーブルにワインを1本ずつプレゼントしました。皆さんと語りあえた、素晴らしい夜でした」



ジョルジュ デュブッフ

5歳からブドウの収穫を手伝い、19歳から家業のブドウ農園の経営に専念。

自分で瓶詰めしたワインの販売を手がけ、当時無名に近かったボジョレーのワインを

世界レベルに押し上げた第一人者。日本料理と日本茶をこよなく愛する



 ボジョレー・ヌーヴォーが流行ったバブルの時代から、すでに20年以上が経つ。その間、「ジョルジュ デュブッフ」がトップを走り続けることができたのは、やはりワインそのものの造りのよさにあるだろう。時に“水っぽい”と評されることもあるボジョレー・ヌーヴォーだが、「ジョルジュ デュブッフ」のワインはアロマティックで、果実味の豊かさが際立っている。

「ボジョレー・ヌーヴォーの魅力は“説明が要らないワイン”であることです。フレッシュでフルーティー、飲んで素直においしい。ひと口飲むと幸福な気分になります。また、ぜひ知っていただきたいのが、上質のボジョレー・ヌーヴォーは1年後、2年後にもおいしいということ。一度、試してみてください」


 インタビューをして驚くのは、彼が大御所となった今も、常に研究心が旺盛なことだ。毎年来日すると、約50銘柄にのぼる他社のボジョレー・ヌーヴォーを試飲し、そして試飲しきれなかった100銘柄ほどをフランスに送り、研究するという。

「日本は、世界一ボジョレー・ヌーヴォーの銘柄が多く集まるマーケット。フランスにもないものがたくさんあります。それらを試飲することで、今年の味の傾向やラベルのトレンドが見えてくるのです」



(左から)「ジョルジュ デュブッフ 

ボジョレー・ヴィラージュ ヌーヴォー 2017」<750ml>¥2,760

 ボジョレー地区の38の村から上質のブドウを厳選。

華やかな香りで繊細な味。“新酒”らしさが際立つ


「ジョルジュ デュブッフ ボジョレー ヌーヴォー 2017 」

<750ml>¥2,460

フレッシュでバランスのとれた味わい


「ジョルジュ デュブッフ ボジョレー ロゼ ヌーヴォー 

ボジョレー パーティ2017」< 750ml>¥2,560 

自社畑で手摘みされたブドウを1時間以内に絞って醸造。

アロマティックな香りで繊細な味わい。食事に遭うロゼ


「ジョルジュ デュブッフ ボジョレー ヌーヴォー 

ヴィアンド グルメ2017」<750ml>¥2,560

果実味が豊かで、タンニンがなめらかに溶け込んでいる。

肉料理のために造られたワイン。ハムやパテ、ステーキなどに



 最後に、“ボジョレーの帝王”と称されることについて、どんな思いを持つのか聞いてみると、こんな答えが返ってきた。

「ありがたいことですが、気恥ずかしいですね(笑)。私は、ワインの前では“一生見習い”だと思っています。ワインというものは、すべてが人の手でできるものではありません。ブドウは自然からの恵み。それを私たち人間が受け取り、全力を尽くすのです。ワインは素晴らしいものです。なぜなら、“人と分かち合う”ことができますからね。私は、そんな“分かち合える”ワインを造りたいと、ずっと願ってきました。その思いは、これからも変わりません」




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