カルティエ現代美術財団が主催する『横尾忠則:The Artists』展は、横尾忠則が描いたアーティストたちの肖像画を見せる。ジャン=ポール・ゴルチエやアニエス・ヴァルダ、荒木経惟など、キャンバスに浮かび上がる数々の顔は、同財団の特別な物語の語り部でもある

BY MASANOBU MATSUMOTO

 7月21日(水)に始まる『横尾忠則:The Artists』は、画家・横尾忠則による表現者や文化人などの肖像画シリーズを紹介するエキシビションだ。横尾のセルフポートを含め、ファッションデザイナーのジャン=ポール・ゴルチエや映画監督のアニエス・ヴァルダ、写真家の荒木経惟や建築家の石上純也など、その数139点。美術家からデザイナー、哲学者まで、被写体は様々だが、じつは明確な共通点がある。すべてカルティエ現代美術財団にゆかりのある人物であることだ。

画像: (写真左)ジャン=ポール・ゴルチエ (写真右)アニエス・ヴァルダ © TADANORI YOKOO © ANDRÉ MORIN

(写真左)ジャン=ポール・ゴルチエ
(写真右)アニエス・ヴァルダ
© TADANORI YOKOO © ANDRÉ MORIN

 カルティエ現代美術財団は、現代芸術のシーンや作家をサポートする文化機関として、カルティエが1984年に創設。パリのモンパルナスにある同財団の美術館での展覧会やイベントを中心に、同時代を生きるアーティストの仕事を広く世界に紹介してきた。’90年代以降は、映画やファッション、デザイン、科学などにも展覧会の主題を広げ、また哲学者ポール・ヴィリリオを企画者として迎えたエキシビションを開くなど、常に柔軟な視点で新しいアートのあり方を提示してきた。

画像: (写真左)クリスチャン・ボルタンスキー (写真右)石上純也 © TADANORI YOKOO © ANDRÉ MORIN

(写真左)クリスチャン・ボルタンスキー
(写真右)石上純也
© TADANORI YOKOO © ANDRÉ MORIN

 本展で展示される肖像画シリーズは、財団創設30周年の記念プロジェクトとして始まったもの。これまで展覧会でフォーカスしてきた作家を中心に、財団に関わってきた人々へのオマージュとして、財団が横尾に制作を依頼したのだという。その成果は、2018年に出版された横尾の書籍『カルティエ そこに集いし者』に結実しているが、本展では新たに書き下ろした肖像画もふくめ、全139点を一堂に集めて紹介する。

画像: EXCERPT FROM “TADANORI YOKOO: THE ARTISTS”|INTERVIEW © FONDATION CARTIER youtu.be

EXCERPT FROM “TADANORI YOKOO: THE ARTISTS”|INTERVIEW
© FONDATION CARTIER

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 これらの肖像画を眺めると、同財団がいかに多くのアーティストとともに歴史を刻んできたかがわかる。その中でもとりわけ深い絆を結んできたのが、日本の表現者、クリエイターたちだ。1998年にはファッションデザイナー三宅一生のエキシビションを開催。同年に開かれた企画展では、華道家・芸術家の中川幸夫の写真作品を展示した。美術家・村上隆の仕事をいち早くヨーロッパに伝えたのも、横尾の絵画展をヨーロッパで初めて行ったのもカルティエ現代美術財団だった。

 日本の写真シーンにおける同財団の功績も大きい。1995年には、まだヨーロッパではあまり知られていなかった荒木経惟の写真展を開き、2004年の杉本博司展では「観念の形」シリーズを公開。森山大道(2016年)、川内倫子(2005年)の個展も大きな反響を呼んだ。近年、ヨーロッパのマーケットでは、日本の写真が高い注目を集めているが、その土壌を築いたのは同財団だと言える。

 本展では、展示空間の構成に工夫を凝らし、無限の会話の広がりを思わせるリボンのように作品を紹介するという。また横尾がカルティエ現代美術財団や、会場となる「21_21 DESIGN SIGHT」の創立者でもある三宅一生との関わりなどを振り返ったインタビューも映像作品として展示。横尾の表現者に対するまなざし、そしてその背後にあるアーティストたちと財団の独創的な物語を存分に堪能したい。

画像: 横尾忠則(TADANORI YOKOO) 1936年兵庫県生まれ。世界各国の美術館で個展を開催し、2011年度朝日賞、2015年第27回高松宮殿下記念世界文化賞受賞 © DAIDO MORIYAMA PHOTO FOUNDATION

横尾忠則(TADANORI YOKOO)
1936年兵庫県生まれ。世界各国の美術館で個展を開催し、2011年度朝日賞、2015年第27回高松宮殿下記念世界文化賞受賞
© DAIDO MORIYAMA PHOTO FOUNDATION

『横尾忠則:The Artists』
会期:2021年7月21日(水)〜10月17日(日)
会場:21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3
住所:東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン・ミッドタウンガーデン内
休館日:火曜
開館時間:11:00〜17:00(土・日曜、祝日は18:00まで)
入場料:無料
電話:0120-301-757(カルティエ カスタマー サービスセンター)
公式サイト

※ 新型コロナウイルス感染予防に関する来廊時の注意、最新情報は公式サイトを確認ください

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