犬や猫、さらに珍獣まで。じつは動物表現の宝庫だった浮世絵の新たな魅力に触れられる『浮世絵動物園』。近年注目を集める作家のひとり山内祥太の新作個展。愛知県を舞台にした国際芸術祭。今週見るべき3つのエキシビション・芸術祭をピックアップ

BY MASANOBU MATSUMOTO

『浮世絵動物園』|太田記念美術館

画像: (左)月岡芳年《風俗三十二相 うるささう 寛政年間処女之風俗》(後期) (右)歌川芳豊《中天竺馬爾加国出生新渡舶来大象之図》(前期) COURTESY OF OTA MEMORIAL MUSEUM OF ART

(左)月岡芳年《風俗三十二相 うるささう 寛政年間処女之風俗》(後期)
(右)歌川芳豊《中天竺馬爾加国出生新渡舶来大象之図》(前期)
COURTESY OF OTA MEMORIAL MUSEUM OF ART

 愛らしい猫や犬、吉祥のシンボルであった鶴や亀、人間のように相撲をとるウサギや踊る猫、さらにはこの世には存在しない珍獣も! じつは浮世絵は動物表現の宝庫。本展は、その浮世絵に描かれた動物たちを主人公に、江戸っ子と動物のディープな関係、ときにユーモラスに、ときに夢想の世界に入り浸って動物たちを描いた絵師たちの想像力をひもとく。

 見どころのひとつは、菊川英山の《虎図》。虎は、龍と並び“力”を象徴するように荒ぶった様子で描かれるのが通例だが、本作では、大きな目、笑うような口元、ふっくらとした肉球を備えた愛嬌のある姿で表現されており、子どもから大人まで親しみやすい風貌をしているのが特徴だ。また北斎の晩年の代表作《雨中の虎》、猫の絵の中でも屈指の人気を誇る広重《名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣》も会場に。キュートな擬人化動物が得意だった歌川芳藤、「虎子石(石の体に、虎の足と尻尾が生えた謎の生物)」を描いた歌川芳員など、知られざる動物絵の名人たちの作品にも注目したい。

『浮世絵動物園』
会期:~9月25日(日)
※前後期で全点展示替え。前期:~8月28日(日)、後期:9月2日(金)~9月25日(日)
会場:太田記念美術館
住所:東京都渋谷区神宮前1-10-10
時間:10:30〜17:30 ※入館は17:00まで
休館日:月曜(祝日の場合は開館)、8月30日〜9月1日、9月20日
料金:一般 ¥1,200、大学・高校生 ¥800、中学生以下無料
電話:050-5541-8600(ハローダイヤル)
公式サイトはこちら

山内祥太『愛とユーモア』|EUKARYOTE(ユーカリオ)

画像: 《Tina “glow”》2022年 シングルチャンネルビデオ SHOTA YAMAUCHI

《Tina “glow”》2022年
シングルチャンネルビデオ
SHOTA YAMAUCHI

 山内祥太は、近年アートシーンで注目を集める若手作家のひとり。昨年は、新進気鋭の作家を発掘・支援する現代アートのコンペティション「TERRADA ART AWARD」のファイナリストに選出され、そこで発表した《舞姫》が広く注目を集めた。この《舞姫》は、スクリーンに映る人間の皮膚をまとった3DCGのゴリラが、目の前で踊るパフォーマーに同期して動く映像インスタレーション作品で、人間とモニタ上のゴリラが繋がっていくさまを山内は「恋愛」に喩える。

 今回の個展『愛とユーモア』では、新作《Tina》を中心に見せる。首から上は若々しく、下は年老いた人間のような生き物が、求愛ダンスのように動きながら、皮膚の表面から極彩色をした毛を無数に伸ばしていく映像とそれをリアルに造形化した彫刻作品。「愛そのものを形作りたい」という山内の思いが、極めてフェティッシュな姿で立ち現れたものだという。本展では、山内がキャリアの初期に制作した映像作品もスクリーンで上映。これらの映像は、簡素な3DCGで構成された世界に山内自身が入り込んで、軽快に冒険する姿を描いたもので、現実世界と仮想空間、実体とイメージの間にある不完全なリアリティを逆手にとってユーモラスに表現している。

山内祥太『愛とユーモア』
会期:〜8月12日(金)
会場:EUKARYOTE(ユーカリオ)
住所:東京都渋谷区神宮前3-41-3
開廊時間 :12:00~19:00
休廊日:月曜
料金:無料
電話:03-6432-9131
公式サイトはこちら

国際芸術祭「あいち2022」|愛知芸術文化センターほか

画像: ミット・ジャイイン《Peopleʼs Wall》2019年 提供元:国際芸術祭「あいち」組織委員会事務局 PHOTO: JIM THOMPSON FOUNDATION, COURTESY OF THE ARTIST AND JIM THOMPSON FOUNDATION

ミット・ジャイイン《Peopleʼs Wall》2019年
提供元:国際芸術祭「あいち」組織委員会事務局
PHOTO: JIM THOMPSON FOUNDATION, COURTESY OF THE ARTIST AND JIM THOMPSON FOUNDATION

 3年に一度開かれてきた国内最大級の芸術祭のひとつ「あいちトリエンナーレ」。今年は、国際芸術祭「あいち2022」に名称を変更し、「現代美術」「パフォーミングアーツ」「ラーニング」の3つのプログラムを軸に、32の国と地域から100組のアーティスト、グループが参加し、開催されている。

「現代美術」は、愛知芸術文化センターをはじめ、古き良き街並みが残る名古屋市有松地区、織物の街である一宮、日本六古窯のひとつ常滑のまちなかにも作品を設置している。出展作家は、河原温、荒川修作+マドリン・ギンズ、岸本清子ら物故作家を含め、奈良美智や塩田千春など。展示作品には、愛知という場所の特徴や歴史から着想を得たという新作もそろう。

「パフォーミングアーツ」の充実した作品ラインナップも本芸術祭の特徴だろう。ジョン・ケージが晩年に取り組んだ『ユーロペラ』シリーズから『ユーロペラ3&4』、世界的に注目を集めるアピチャッポン・ウィーラセタクンのAR/VR技術を使ったパフォーマンス『太陽との対話(VR)』など、今年は、愛知県芸術劇場などで、国内外の先鋭的な演劇、音楽、ダンスなどの約14演目の作品を上演予定。

国際芸術祭「あいち2022」
会期:~10月10日(月・祝)
会場:愛知芸術文化センター、一宮市、常滑市、有松地区(名古屋市)
各会場の住所、開館時間、休館日等はこちらを、チケット料金に関してはこちらを参照
電話:052-971-3111(国際芸術祭「あいち」組織委員会事務局)
公式サイトはこちら

※新型コロナウイルス感染予防に関する来館時の注意、最新情報は各施設の公式サイトを確認ください

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