「イメージ・メイキング」の装置、そしてアーティストによる新しいイメージの表現を紹介する企画展。日本の多様な異性装のかたちを探るエキシビション。近年、アートシーンで大きな注目をあつめる武田鉄平の個展。今週見るべき3つのエキシビションをピックアップ

BY MASANOBU MATSUMOTO

『イメージ・メイキングを分解する』|東京都写真美術館

画像: (左から)フリーダー・ナーケ《無題(ウォークスルー・ラスター)》 川野洋《無題 (Red Tree)》 いずれも〈Art Ex Machina〉より 1972年 シルクスリーン 個人蔵 ©GILLESGHEERBRANT 1972/2022

(左から)フリーダー・ナーケ《無題(ウォークスルー・ラスター)》
川野洋《無題 (Red Tree)》
いずれも〈Art Ex Machina〉より 1972年 シルクスリーン 個人蔵
©GILLESGHEERBRANT 1972/2022

 目に見えるものを正確に再現し、あるいは肉眼では捉えられないものを可視化するイメージング・テクノロジーが飛躍的に発展し、またスマートフォンを使って気軽にイメージを撮影、加工し、シェアできるようになった現代。本展は、人間がこれまでに試みてきた「イメージ・メイキング」の装置、そして、それらの技術や原理を着想源にした、アーティストたちの表現を紹介するものだ。

 後者は、特に光学的なカメラとは異なる新しいツールや方法で、イメージを現前化させてきた作家たちを取り上げる。たとえば、フリーダー・ナーケや川野洋が参加した、コンピュータを使った版画のプロジェクト「アート・エクス・マキナ」の作品や、数理アルゴリズムに基づいた木本圭子のビジュアル・動画作品、いわば「レンズのないカメラ」である藤幡正樹の《ルスカの部屋》。国際的に注目を集めるタマシュ・ヴァリツキーの《想像のカメラ》シリーズも見どころだ。“あり得たかもしれない”想像上の映像機器をデザインし、提示するこのシリーズは、2019年のべネチア・ビエンナーレに出展され、話題をあつめた彼の近年の代表作である。

『イメージ・メイキングを分解する』
会期:~10月10日(月・祝)
会場:東京都写真美術館
住所:東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
時間:10:00~18:00(木・金曜は20:00まで)
※入館は閉館時間の30分前まで
休館日:月曜(祝休日の場合は開館、翌平日休館)
料金:一般 ¥700、大学・専門学生 ¥560、高校・中学生・65歳以上 ¥350
電話:03(3280)0099
公式サイトはこちら

『装いの力―異性装の日本史』|渋谷区立松濤美術館

画像: (左)落合芳幾(画)《東京日々新聞 969号》 明治8年(1875年) 3月 東京都江戸東京博物館(前期展示) (右)森村泰昌《光るセルフポートレイト(女優)/白いマリリン》 1996年 作家蔵(豊田市美術館寄託)

(左)落合芳幾(画)《東京日々新聞 969号》 明治8年(1875年) 3月 東京都江戸東京博物館(前期展示)
(右)森村泰昌《光るセルフポートレイト(女優)/白いマリリン》 1996年 作家蔵(豊田市美術館寄託)

「異性装」の歴史と多彩なかたちを主題にしたユニークな展覧会。とりわけ日本には、童女に装い、隙をついて熊襲兄弟を討った「ヤマトタケル」のエピソードなど、異性装に関わる物語が存在し、また能や歌舞伎といった異性装の風俗・趣向を反映した芸能も数多くある。一方、明治以降、文明開化の流れのなかで、一時期、 異性装者を罰則の対象とする条例ができたこともあった。

 本展では、こうした日本における異性装の系譜の一端を辿りながら、絵画、衣裳、写真、映像、漫画などの作品を通して、異性装がどのように表現されてきたのかを探る。現代作家の作品としては、森村泰昌の「女優シリーズ」やダムタイプのパフォーマンス作品《S/N》の記録映像など。また、日本におけるドラァグクイーンの黎明期、グロリアス(古橋悌二/美術家)、DJ Lala(山中透/美術家)、シモーヌ深雪(シャンソン歌手)らがはじめたドラァグクイーンをフィーチャーしたダンス・パーティ「DIAMONDS ARE FOREVER」のメンバーによる、インスタレーションも展開する。

『装いの力―異性装の日本史』
会期:9月3日(土)〜10月30日(日)
※会期中、一部展示替えあり(前期:9月3日~10月2日、後期:10月4日~10月30日)
会場:渋谷区立松濤美術館
住所:東京都渋谷区松濤2-14-14
開館時間:10:00〜18:00(金曜は20:00まで)
※入館は閉館時間の30分前まで
休館日:月曜(ただし、9月19日、10月10日は開館)、9月20日、10月11日
料金:⼀般 ¥1,000、⼤学⽣ ¥800、⾼校⽣・60歳以上 ¥500、中・⼩学⽣ ¥100
※土・日曜、祝日、最終週は日時指定予約制。予約はこちら
電話:03-3465-9421
公式サイトはこちら

『武田鉄平 近作展 』|MAHO KUBOTA GALLERY

画像: 武田鉄平《絵画のための絵画 033》2020年 91× 72.7 × 3cm 紙にアクリル絵具、木製パネル ©︎TEPPEI TAKEDA / MAHO KUBOTA GALLERY

武田鉄平《絵画のための絵画 033》2020年
91× 72.7 × 3cm 紙にアクリル絵具、木製パネル
©︎TEPPEI TAKEDA / MAHO KUBOTA GALLERY

 武田鉄平は、近年アートシーンで最も大きな注目をあつめている美術家のひとりだ。一躍彼を有名にしたのは「絵画のための絵画」と題されたシリーズ。一見、キャンバスの上で油絵の具を混ぜた抽象的なポートレイトだが、じつは凹凸やツヤなど塗りの表情も、描写によって表現されたものである。実際には、何十枚も制作したドローイングから自身が“絵になる”と判断した一枚を選出し、それをスキャニング。ときにコンピュータで加工を施し、人の視覚作用を注意深く探りながら、そのイメージを直筆でパネルの上に精密に再現していくのだという。

 東京・神宮前のMAHO KUBOTA GALLERYでは、彼の近作を紹介する個展が開催中だ。今年5月「アートバーゼル 香港」にて発表し、話題をあつめた8点と、本展のために描き下ろした新作1点を見せる。

『武田鉄平 近作展』
会期:~9月24日(土)
会場:MAHO KUBOTA GALLERY
住所:東京都渋谷区神宮前2-4-7
時間:12:00〜19:00
休廊日:日・月曜、祝日
料金:無料
電話:03-6434-7716
公式サイトはこちら

※新型コロナウイルス感染予防に関する来館時の注意、最新情報は各施設の公式サイトを確認ください

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