『サモトラケのニケ』やミロの『ヴィーナス』、アングルの『グランド・オダリスク』など
ルーヴルに並ぶあの絵画や彫刻を、香りで表現するとしたら――? “ビュリー”のふたりが
信頼を寄せる調香師たちと挑んだ、時空を超えた冒険譚

BY MINAKO NORIMATSU

 香りとビューティ・プロダクツを、そのレシピからパッケージ、ブティックのたたずまいまで19世紀のスタイルで提案する「OFFICINE UNIVERSELLE BULY(オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー)」(通称ビュリー)。メゾンのオーナー、ラムダン・トゥアミとヴィクトワール・ドゥ・タイヤックは昨年、驚くべきオファーを受けた。ふたりにコンタクトしてきたのは、他でもないルーヴル美術館。

画像: ビュリーのオーナー&アーティスティック・ディレクター、ラムダン・トゥアミ(左)とヴィクトワール・ドゥ・タイヤック夫妻

ビュリーのオーナー&アーティスティック・ディレクター、ラムダン・トゥアミ(左)とヴィクトワール・ドゥ・タイヤック夫妻

 ルーヴル美術館は、3年前にリリースされたビヨンセ&ジェイZ夫妻のザ・カーターズによる「エイプシット」のビデオクリップで、名作の数々を背景としたロケを許可。ピラミッド30周年を迎えた今年は、エアビーアンドビーとのコラボレーションで企画を募り、コンクールの最優秀者に、“モナリザの前でのアペリティフ”を含む美術館内での一夜を提供している。ここのところ画期的なアプローチに積極的な同美術館から、次なるコラボレーターとして、白羽の矢が立ったのだ。

 こんな経緯からビュリーが実現させたのは、ルーヴル美術館所蔵作品からインスパイアされたオリジナル・フレグランスと、それらの派生プロダクツ。香りの世界をリードする調香師たちはこの企画に熱狂し、それぞれ着想源となる名作を自由に解釈した。

 女性調香師のアリエノール・マスネが選んだのは、『サモトラケのニケ』。4年前に修復を終えて再公開されたことも相まって、同美術館で最も著名な彫刻の一つだ。古代ギリシャの最高傑作、勝利の女神ニケの彫像は、大理石の階段の上にそびえ立つ。

画像: オー・トリプル「Le Victoire de Samothrace サモトラケのニケ」 <75ml>150ユーロ

オー・トリプル「Le Victoire de Samothrace サモトラケのニケ」<75ml>150ユーロ

「ある休館日、静かな沈黙の中この階段を上ると、ニケ像を前に深い感動を覚えました。ボトルに詰めたかったのは、このときのエモーションです。全てを手に入れたこの女性へのオマージュを、ジャスミン、オレンジ・ブロッサム、バラ、フルーティな香りを放つマグノリア、そして月下香と、地中海の花のブーケで表現しました。一方、彼女がまとっているドレープに魅せられて加えた空気のように軽やかなタッチは、神秘的な一面もある樹脂、ミルラで」。そうマスネは語る。

画像: 『サモトラケのニケ』像の前で、ラムダンとヴィクトワールが信頼を寄せる調香師のひとり、アリエノール・マスネ。彼女は過去にペンハリガンやメゾン・マルジェラなどのフレグランスを手がけてきた。優美さと官能性を絶妙なバランスで表現する香りに定評がある

『サモトラケのニケ』像の前で、ラムダンとヴィクトワールが信頼を寄せる調香師のひとり、アリエノール・マスネ。彼女は過去にペンハリガンやメゾン・マルジェラなどのフレグランスを手がけてきた。優美さと官能性を絶妙なバランスで表現する香りに定評がある

 一方、アカデミックな視点とアプローチで、アングルによる『グランド・オダリスク』と向き合った調香師は、ドミティル・ミシャロン=ベルティエだ。「この作品に描かれている女性は、美の象徴です。特にイマジネーションを働かせて解釈したのは、むき出しになった肌、パウダーをはたいたであろう肌。そしてこの絵の舞台はハーレム、つまり東方ですから、ビター・アーモンド、ピンクペッパー、カルダモン、クミンなどを用いて、スパイスシーかつウッディで、オリエンタルな香りに仕上げました」と、ドミティル。

画像: 香り付きポストカード「La Grande Odalisque グランド・オダリスク」 7ユーロ

香り付きポストカード「La Grande Odalisque グランド・オダリスク」7ユーロ

 ここで紹介したのはほんの一部だが、ビュリーの定番フレグランス「オー・トリプル」(アルコール・フリーの水性香水)のルーヴル美術館とのコラボレーション版は、全8香調。当面はルーヴル美術館店とビュリーのe-shopのみで手に入る。日本での発売も予定されているが、時期などは未定。

画像: オー・トリプル「La Nymphe au Scorpion ニンフとさそり」 <75ml>150ユーロ 調香師アニック・メナルドは、19世紀のネオクラシック彫刻に見る白く滑らかな肌とサソリの毒を、フレッシュでありながらややクセのある香りに置き換えた

オー・トリプル「La Nymphe au Scorpion ニンフとさそり」<75ml>150ユーロ
調香師アニック・メナルドは、19世紀のネオクラシック彫刻に見る白く滑らかな肌とサソリの毒を、フレッシュでありながらややクセのある香りに置き換えた

 また、同美術館内のショップエリアには、ビュリーの期間限定ストアがオープンした(2020年1月6日(月)まで)。19世紀のミュージアム・ショップをイメージし、壁は意図的にむらのあるペイントで仕上げ、床にはヴェルサイユ様式フロアと呼ばれる、ひし形を反復させた寄木細工を。時が止まったかのような錯覚を覚える空間には、ルーヴル美術館の名作のエッセンスが詰まった香りのボトルが並んでいる。冒険好きのビュリーのおかげで、今年後半、パリをたずねる密かな楽しみがまた一つ増えた。

画像: 美術館内ショップエリアに期間限定でオープンする「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー ルーヴル美術館店」 PHOTOGRAPHS: COURTESY OF OFFICINE UNIVERSELLE BULY

美術館内ショップエリアに期間限定でオープンする「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー ルーヴル美術館店」
PHOTOGRAPHS: COURTESY OF OFFICINE UNIVERSELLE BULY

オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー ルーヴル美術館店
期間:〜2020年1月6日(月)
場所:ルーヴル美術館 大ピラミッド下 Grand-Louvre内
住所:Musée de Louvre, 75058 Paris
営業時間:
月・木・土・日曜 10:00〜19:00
水・金曜 10:30〜19:30
休館日:火曜

問い合わせ先
オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー
フリーダイヤル: 0120-09-1803
公式サイト

 

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