BY NAMI IKUMA
高機能ドライヤーが、大人の髪印象を変える!
ドライヤーはただ乾かすだけの道具にあらず。ドライヤー市場が、“乾燥”から大きな転機を迎えたのが2012年。大人の髪の印象をつくるものとして、その効果が格段に進化したのだ。それからひとまわりした2024年、さらに革新の波がやってきた。進化を遂げてきた高機能ドライヤーより、いま、大人世代にこそ使ってほしいドライヤーを、私の愛用品から厳選して紹介する。
■根元ふんわりの理想のシルエットがこれ1本で決まる!
「リファビューテック リセッター」
2012年にはじまった高機能ドライヤームーブメントを受け、この12年の間には新たに市場に参入したブランドも多いが、リファもそのひとつだ。スタンダードドライヤー、コンパクトタイプ、ヘアアイロンなど毎シーズン新たな製品が登場。今年は、3つのアタッチメントがついた、リファ初のスタイリング系ドライヤーが登場した。
<気に入ったポイント>
ドライからセットまでこれ1つで完結できるのがとにかくいい。アタッチメント「ドライ」で温度コントロールされた風を至近距離から大量に当てて7割ほど乾かしたら、アタッチメント「スカルプ」で頭頂近辺の根元を左右からかき上げるように立ち上げて乾かす。仕上げに豚毛入りのアタッチメント「カールブラシ」で中間から毛先をとかし、自然なツヤとまとまりを出せば完成!髪は濡れている状態から乾くときに形がつくのだが、夜に髪を乾かすタイミングでここまでできれば、翌朝ほぼノーセットで外出できる。
問い合わせ先
株式会社MTG
TEL. 0120 -467-222
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■アイロンいらずでストレートヘアに!
「Dyson Airstrait™ ストレイトナー」
ドライヤーの機能とストレートアイロンの機能を併せもつ「ストレイトナー」……かつて誰も見たことのないものを発売したのはDyson(ダイソン)だ。ここの製品の初お披露目で「びっくり」を伴わないことはかつてなかったが、今回も例外ではない。簡単にいうと「濡れたまま使えるアイロン」だ。閉じているときはドライヤーとして、側面の通気口からタテ長の風が出てくるので全体をざっくり乾かす。その後ロックを外して開き、アイロンのように髪に挟み、とおすように使う。
<気に入ったポイント>
髪が濡れていても“アイロン”として使える上に、「うっかり首にあたってしまった」といった火傷の心配がないのもいい。湿り気がある状態でアイロンを使うと、髪はひどくダメージする。ダメージというか、下手をすれば焦げてしまうが、これにはプレートがなく、風でクセづけをするので、湿った髪も挟めてしまうのだ。また、アイロンのプレートなら120℃〜200℃越えが一般的だが、こちらは80℃〜115℃。圧倒的な低温ながら、風を密に当てることできちんと形がつく。アイロンほどつるんとした感触ではなくあくまで自然だが、その抜け感もかえって今どきだ。
問い合わせ先
ダイソン
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■コンパクトなのに抜群の速乾力!毎日のドライも楽に。
「サロニア エアトリートメントドライヤー」
若い世代を中心に人気を得ているドライヤーといえばサロニアだ。ここは市場全体が高機能と高価格の舞台でしのぎを削っている間に、シンプル機能&低価格という、ほかとは逆を行く路線で一定の支持を得、今や知名度の高いメジャーなブランドに成長した。そんなサロニアが今回世に出したのは、約3万円の高価格ドライヤー。遠赤外線とモーター技術によって風量も風圧も十分にあり、速乾の面でも文句なし。この発売によって、低価格から高価格までラインナップの幅が広がり、ドライヤーブランドとしての地位を確立したようだ。
<気に入ったポイント>
もともとシンプルなデザインで機能性も価格以上に高いことに好感をもっていたが、この製品はいっぺんにミーハー心を掻き立てられてしまった。表面のマットな仕上げ、丸みを帯びたエッジのデザインがミニマムでスタイリッシュ。最先端のモーターが作るパワフルな風は根元を素早く乾かしながらも、オーバードライになりすぎず、自然なツヤも出してくれる。ファッション性と機能の高さを備えたバランスのいいドライヤーと言える。
問い合わせ先
株式会社 I-ne(アイエヌイー)
TEL. 0120-333-476
公式サイトはこちら
■美容液を噴射しながら乾かす、次世代型。
ミルボンの「エルミスタ ヘアードライヤー」
こちらは2023年に登場した、ヘアサロン専売コスメのミルボンと「ナノイー」ドライヤーで知られるパナソニックが共同開発した新発想のドライヤー。髪悩み別に用意された美容液カートリッジを吹き出し口にセットすると、乾かしながら、美容液がミストになって噴霧されるのが最大のポイント。このドライヤーのために独自に開発された超小型のマイクロチューブポンプから、目に見えないほどの細かなミストが、髪1本1本にまんべんなく美容液を届けてくれるのだ。洗髪後のアウトバスケアとドライが同時にできる、次世代型のドライヤーと言えるだろう。しかも、高回転のモーターにより、速乾性も確保されている。
<気に入ったポイント>
私の場合は、どうにもコントロールできなかったチリつき毛がなめらかになった。洗い流さないトリートメントを手でつけてから乾かすと、どうしてもムラはできてしまう。しかし、ミスト状で噴霧されるとまんべんなく付着するようで、仕上がりの精度がまるでサロンのようだ。私は表面のちりついたくせ毛に、「エルミスタ エアコンク」の「e-SL」を使って乾かしているが、これが自分の髪かと疑いたくなるほど、スリークな仕上がりで、翌朝も当然ブローいらず。また、冬の時期には静電気が起こりにくいのも実感できた。未来には、朝の支度が自動的にできるようになってほしいと願っていたが、この製品にはその走りのような希望が感じられる。
問い合わせ先
ミルボンお客様窓口
TEL. 0120-658-894
高機能ドライヤー登場の背景に、イノベーションの歴史あり
冒頭で少し触れた通り、高機能ドライヤーのムーブメントが起こったのは、2012年のことだ。口火を切ったのは「ヘアビューザー」(バイオプログラミング)である。ヘアサロン界隈では「ツヤが出る」「冷風を当てると肌のキメが整う」など、美髪&美顔になるという噂で、たちまち大人気になった。私も初めて試したときには、確かに今までにないほど髪がやわらかく、ツヤが出るのに驚いた。価格は当時としては高額だった2万円越え。この製品を契機に、その後続々と「髪を美しくする」ドライヤーが市場に登場した。
以降、ドライヤー市場は、機能も価格も上昇モードに入っていき、2016年には、美容家電市場に初参入したDyson(ダイソン)の「Dyson Supersonic ヘアードライヤー」が登場。4万5000円という価格は、その時期のドライヤーとしては最高額だったように思う。お家芸のモーター技術で超コンパクト化したモーターを軸の最下部に配置。穴のあいた風変わりなヘッドのドライヤーは、大いに話題になった。
「Dyson Supersonic ヘアードライヤー」の登場をきっかけに、「速乾」「時短」といった使い勝手のよさがフィーチャーされ、これ以降に発売するドライヤーはマイナスイオン効果などの美容側面だけでなく、大風量や低温設計といった仕様がデフォルトとして求められていく。
2012年のドライヤームーブメントから12年、ひと回りを経て今年は、機能面もコスト面も新しいドライヤーが登場して、新たな節目を迎えたように思う。早く乾いて、髪にやさしく、理想通りの仕上がりに……と、各社ハイスペックであるのは言わずもがな。ドライヤーの平均価格は2019年以降連続で伸⻑し、家電量販店市場において2023年は前年比121%*となっており、10万円台に迫るものも登場。一方で、2〜3万円台とコストを抑えながらも十分に機能を満たしたものもあり、あらゆるニーズに寄り添う高機能ドライヤーが次々と誕生している。
(*2019〜2023年(1⽉〜12⽉)ドライヤー市場平均単価推移、全国有⼒家電量販店の販売実績集計/GfK Japan調べ)
この一連の盛り上がりは、ヘアドライヤーのスペックについて一部の美容マニアだけでなく多くの一般ユーザーも不便を感じていたことによるものだろう。毎日洗髪する習慣、家族での共用、多忙なライフスタイル……と、ニーズの裾野が広がったことで、新たな技術革新が伝播していったように思う。
今回は私の愛用品から厳選した4品を紹介したが、ライフスタイルや髪悩み、なりたい仕上がりによって求めるものは異なってくるため、選ぶ際には、実際に商品を手にとって比べてみることをおすすめする。量販店でのタッチアップコーナーやレンタルシステムなどもぜひ利用してみてほしい。手に取った瞬間にワクワクするものならきっと長く愛用できるに違いない。
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