大量生産の花に反旗を翻し、自然界の豊かな植物との接点を求める人々が新たなネットワークを築いている

BY DEBORAH NEEDLEMAN, PHOTOGRAPHS BY ROBIN STEIN, TRANSLATED BY FUJIKO OKAMOTO

画像: ューヨーク州北部にあるサラ・ライハネンの花畑で収穫されたジャーマンアイリスをバケツに生けて COURTESY OF SARAH RYHANEN

ューヨーク州北部にあるサラ・ライハネンの花畑で収穫されたジャーマンアイリスをバケツに生けて
COURTESY OF SARAH RYHANEN

「ベンザケインのワークショップに参加した女性たちは、感動のあまりひざまずいて涙を流す」と話すのは、ムーブメントのもうひとりのリーダーで、ブルックリン在住のサラ・ライハネン。花屋の経営者からフラワーファーム「Saipua」のオーナーに転身した人物だ。ベンザケインの人気の高まりとともに、「自分で育てた花を自分の手で摘み取りたい」と思う人々も増えていった。ライハネンの言う、人々の心の奥深くに眠っていた“自然との結びつきに対する欲求”が呼び覚まされたのだろう。ライハネンは、現在のムーブメントの背景をこう説明する。「人類が大地から切り離された生活をするようになってまだ5世代も経ていません。農耕が始まったのは500世代前。それ以前は、人類は何千世代も狩猟採集によって食糧を得てきました。私たち人類の遺伝子には、自然を求める欲求が深く刷り込まれています。だからこそ、自然から切り離された現代の生活はストレスとなり、人々に不安を引き起こすのです」

 ソーシャルメディアのおかげで、ライハネンやベンザケインのような女性たちは意見交換をしたり、顧客に直接メッセージを伝えたりすることができる。人々の考え方やライフスタイル、ひいては市場そのものに変化をもたらすのにも時間はかからない。中間業者や従来型のメディアを通していた時代なら、何カ月も何年もかかっていたことだろう。たとえば百日草が豊作だったとしよう。今は、花農家は知り合いのフラワーデザイナーに百日草の魅力を広めてほしいと頼めばいい。影響力のあるフラワーデザイナーは、百日草を使ったアレンジメントをSNSで発信することでブームを起こすことができるからだ。逆に、フラワーデザイナーが仲間の花農家に、新種の赤茶色のラナンキュラスを作ってほしいと直接頼むこともできる。こうしたコミュニケーションを通して、どんな花をどこで、どう育てたらよいかといった情報のネットワークが形成され、ひいては花農家、花を取り巻く環境、花業界の経済に恩恵をもたらす可能性を高めることができる。ダビデとゴリアテの物語のように、はかなく可憐な花が、フラワー業界という巨人を打ち負かす。なんとものどかで美しい話だ。しかし、このフラワー革命は、無限のパワーと可能性を秘めていることも忘れてはならない。

 

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