季節にふさわしいもの、ときめくものをさりげなく――。ギフトコンシェルジュの真野知子さんが、真摯にものづくりに打ち込む作り手たちによる素敵な贈りものを紹介する連載第13回

BY TOMOKO MANO, PHOTOGRAPHS BY SHINSUKE SATO

 3月を色に例えたら? まずは桃の節句、日が進めばいよいよ桜も咲き始めて、この季節はそこかしこが桃色や桜色――そう、ピンクに彩られます。ピンクは色のなかでもとびきりやさしい、愛情と幸福感をもたらす色。ハッピーなピンクを自分だけで楽しむのはもったいないから、ときめきを誰かに贈って共有するのも贈り手の喜びです。自然界にピンクがあふれるこの時期、人の世では進学や卒業など、新しい扉のこちら側と向こう側が交差するとき。ほんのりとピンク色に染まる贈りもので、「おめでとう」「ありがとう」「がんばって」の気持ちをさりげなく。


 3月3日はひな祭り。桃の節句は、中国から伝わる五節句のひとつ。古くは無病息災を願う厄払いの節句であったものが、やがて女の子の誕生やすこやかな成長を願うお祭りへ。古来、桃には魔や厄を祓う力があるとされ、神話や史話では不老長寿を叶えるものの象徴としてたびたび登場します。その桃の果実を模したお菓子が、長崎の縁起菓子のひとつ、桃カステラ。桃の節句のお祝いのほか、出産祝いやお宮参り、初節句のお祝いの贈りものに愛用されているそうです。長崎では早春の頃、町のあちらこちらのお菓子屋さんに登場するというこの桃カステラ。作り手によって、たたずまいも味わいもいろいろです。

画像: 松翁軒「桃カステラ」<2個入り>¥1,533~(税込) ※ 桃カステラは3月中旬までの販売

松翁軒「桃カステラ」<2個入り>¥1,533~(税込)
※ 桃カステラは3月中旬までの販売

 なかでも私のお気に入りは、「松翁軒」のもの。しっとりと焼き上げられた長崎名物のカステラの上に、砂糖と水飴を丹念に練り上げたすり蜜をたっぷりと用いた砂糖細工。女のお子さんがいるご家庭へのお祝いや手みやげにおすすめのほか、ガールズパーティーのおもたせにもおすすめです。仕事や家庭で慌しい日々を送る友人、そして自分自身にも、「お疲れさま」の糖分補給と厄除けを兼ねて贈っては。

画像: 丸みを帯びた愛らしい形、上品な色使いも1681年(天和元年)創業の老舗ならでは

丸みを帯びた愛らしい形、上品な色使いも1681年(天和元年)創業の老舗ならでは

問い合わせ先
松翁軒
フリーダイヤル: 0120-150-750(9:00~18:00)
※携帯電話からの場合は、TEL. 095-822-0410(9:00~18:00)
info-shop@shooken.com

 桜新町に店を構える「タケノとおはぎ」。店頭には四季折々、旬の果物やナッツを用いたり、その季節の花をモチーフにした新感覚のおはぎが並びます。店内のおはぎも大人気ですが、スペシャルな贈りものにおすすめしたいのは、オーダーメイドで注文を受けて特別に作られるおはぎの詰め合わせ「春まど」。もち米と餡のなじみ深いお菓子に、“春は「ぼたもち」、夏は「夜船」、秋は「おはぎ」、冬は「北窓」”という季節ごとの風情ある呼び名があることを知ったのは、この「春まど」から。四季のおはぎ、4つの呼び名の最初と最後をつなげた言葉なんですね。

画像: 「春まど」<9個入り>¥5,000

「春まど」<9個入り>¥5,000

画像: 杉箱にみっちりと詰められた、薔薇をかたどったおはぎ。野菜や果物の自然な色あいをそのまま映した繊細な花びらは、食べてしまうのが惜しいほどの美しさ

杉箱にみっちりと詰められた、薔薇をかたどったおはぎ。野菜や果物の自然な色あいをそのまま映した繊細な花びらは、食べてしまうのが惜しいほどの美しさ

 モダンなルックスに、日本人ならではの洒落と遊び心が感じられます。お花がたくさん詰めこまれたギフトボックスのようなこの「春まど」のおはぎ、美しい色彩の餡は、白いんげん豆から作る白こし餡をベースにフルーツピューレやベジタブルパウダーを加えたもの。これを自在に操り、花の形に仕上げていくのが、「タケノとおはぎ」の店主・小川寛貴さんです。丁寧に炊かれたお米と上品な味わいの餡が口のなかでとけあい、眼福のあとは口福が。

「大切な方に特別な想いを、特別なもので伝えたい」という気持ちに応えて作られた「春まど」のおはぎ。お祝いごとやパーティーの多いこの季節、ほかにはない特別なお花を贈るように、想いを込めて大切な人に。

タケノとおはぎ
住所:東京都世田谷区桜新町1-21-11 1階
営業時間 12:00~18:00(売り切れ次第終了)
定休日:月、火曜
電話: 03(6413)1227
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