彼は仕事でびっしり埋め尽くされそうなスケジュールの合間にも、必ずオフの時間を組み込む。なにか文句があるならエージェントに電話してくれ、とのことだ

BY JON CARAMANICA, PHOTOGRAPHS BY PETRA COLLINS, TRANSLATED BY G. KAZUO PEÑA(RENDEZVOUS)

画像3: サミュエル・L・ジャクソン流の生き方

 彼のすべての作品は切り離すことができないくらい緊密に繋がりあい、どれも極めて個性的なものばかりだ。それは「サミュエル・ミュージック」とも言えるものだと、ラウール・ペック監督は説く。黒人文学の代表的な作家であるジェームス・ボールドウィンを題材にしたドキュメンタリー映画『I Am Not Your Negro』を撮った人物だ。この作品では、ジャクソンがナレーターを務めている。「彼の声のトーン、発する音、アクセントの置き方、声の強弱のつけ方。すべてがサミュエル・ミュージックなんだ」

 ジャクソンは、『ヒットマンズ・ボディガード』の撮影で訪れていたブルガリアで、この作品のナレーションをたった一日で録り終えた。
「俳優としての豊かな経歴があるだけじゃなく、いわゆる“ストリート・クレディビリティ”(ストリート・カルチャーに通じている都市の若者からの信頼や人気)のある人を使いたかったんだ」とペックはいう。「権力者にだって面と向かって真実を言えるような人をね」

「権力者に面と向かって真実を言う」点に関しては、ジャクソンはモアハウス大学に通いはじめた頃から変わらない。テネシー州チャタヌーガ市育ちの彼は、1966年の秋、ジョージア州アトランタ市のこの大学に通っていた。キャンパスで見かけたベトナム帰還兵にたちまち惹きつけられた彼は、その後、H・ラップ・ブラウンやストークリー・カーマイケルといった黒人解放運動の活動家たちにも傾倒していった。その間、ちょっと寄り道をしてサイケデリック・ロックや幻覚剤、サイケデリック・ファッションにハマった時期もあった。「俺はどちらかといえばアウトライヤー(どのグループにも所属しない異端児)だった」と語る。

 今では、スタイルへのこだわりがより目立つようになった。ブラック・パワー・ムービーの代表作『黒いジャガー』の続編として製作され、2000年に公開された『シャフト』でジャクソンが着ていたコートは、ジョルジオ・アルマーニが手がけたものだ。その後もアルマーニに洋服を頼むようになり、ジャクソンが注文した暗紫色のディナー・ジャケットはアルマーニのパーマネント・コレクションに認定されている。そしてこの春、ローマの紳士服ブランドであるブリオーニは、広告キャンペーンの主役としてジャクソンを起用することにした。現在、ジャクソンのクローゼットの中はフルオーダーしたスーツと靴でいっぱいだという(「オーダーってのは、異常にこだわりすぎな作業だね」)。

画像4: サミュエル・L・ジャクソン流の生き方

 ゴルフをやるにしても、その前夜に完璧に服装を決めておくという。「クローゼットの中に入って、『この短パンにあのシャツ、この靴下………』って感じさ」。最近では、映画撮影の現場にいる時間以外は、ほとんどゴルフ場で過ごしているくらいだ。一時期、ハンディキャップを2.3にまで下げたことがあるが、「今はそこまでじゃないんだけどね」と少し残念そうに言う。レギュラー・パートナーとして一緒にラウンドしているのは、俳優のアンソニー・アンダーソン、 元バスケットボール選手のチャールズ・バークレー、サックス・ミュージシャンのケニー・G、シンガーのダリウス・ラッカーなどなど。ビル・クリントンやドナルド・トランプの大統領2人ともゴルフをしたことがあるという。

「クリントンは冗談好きでね。ボールを6回打ったのに、おっと、今のは5にしといてくれと言わんばかりにハイタッチ(ギブ・ミー・ファイブ)してくるんだ。ダメダメ、そんなことしたって5打にはならないからな」とジャクソン。ちなみにジャクソンはもう一方の“成金の親玉”については「いかにも“自分はプロツアーにも出てもいいくらいの腕前だ”と見せびらかそうとするようなヤツだ」という(ちなみに今年の1月、ジャクソンがユナイテッド航空の機内誌『Rhapsody』の取材で、自分はトランプよりゴルファーとして優れていると発言したことに対して、トランプはツイッターで次のようにつぶやいた。「私は@SamuelLJacksonを個人的に知らないし、知る限りゴルフを一緒にやったこともない。それから、あいつはテレビCMに出すぎていると思う。つまらないやつだ。私はファンではない」)

 ジャクソンいわく、ゴルフをやると「その相手が忍耐力があるのかキレやすいのか、妬みを抱くようなタイプなのかがわかるんだ。自分の能力を過大評価してうぬぼれているやつもいる」

 そう語るジャクソン自身は、正確に身のほどをわきまえている。そして彼は、どうやってもうまくいかない時があっても、次のスウィングでは修正可能だということも心得ている。「自分がダメなショットをしても、引きずらないようにしているよ」

Styling by Djuna Bel, Grooming by Autumn Moultrie. Mr. Jackson is wearing Brioni.

 

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