今年デビュー50周年を迎える希代のミュージシャン、細野晴臣。自由の風が吹き抜けるようなドキュメンタリー映画『NO SMOKING(ノースモーキング)』を製作した、佐渡岳利監督に話を聞いた

BY REIKO KUBO

 伝説のバンド「はっぴいえんど」や、テクノ・ミュージックというジャンルを生んだ「Yellow Magic Orchestra(YMO)」の中心メンバーとして、世界に画期的な音楽を届け、今なお多くのファンを生み出し続けている細野晴臣。音楽プロデューサーとして、また『銀河鉄道の夜』や『万引き家族』など、映画音楽の作り手としても広く活躍しながら、音楽への愛を発信し続けている。そんな希代のミュージシャンのデビュー50周年を祝い、その音楽と横顔に寄り添うドキュメンタリー映画『NO SMOKING』が公開される。

画像: 細野晴臣(HARUOMI HOSONO) 1947年東京生まれ。音楽家。1969年「エイプリル・フール」でデビュー。1970年「はっぴいえんど」結成。73年ソロ活動を開始、同時に「ティン・パン・アレー」としても活動。78年「イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)」を結成、プロデューサー、レーベル主宰者としても活動。YMO散開後は作曲・プロデュース、映画音楽など多岐にわたり活動。2019年デビュー50周年を迎え、3月ファーストソロアルバム「HOSONO HOUSE」を新構築した「HOCHONO HOUSE」をリリースし、6月アメリカ公演、現在、東京・六本木ヒルズ東京シティビューにて展覧会「細野観光1969-2019」開催中(~11月4日) © 2019「NO SMOKING」FILM PARTNERS

細野晴臣(HARUOMI HOSONO)
1947年東京生まれ。音楽家。1969年「エイプリル・フール」でデビュー。1970年「はっぴいえんど」結成。73年ソロ活動を開始、同時に「ティン・パン・アレー」としても活動。78年「イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)」を結成、プロデューサー、レーベル主宰者としても活動。YMO散開後は作曲・プロデュース、映画音楽など多岐にわたり活動。2019年デビュー50周年を迎え、3月ファーストソロアルバム「HOSONO HOUSE」を新構築した「HOCHONO HOUSE」をリリースし、6月アメリカ公演、現在、東京・六本木ヒルズ東京シティビューにて展覧会「細野観光1969-2019」開催中(~11月4日)
© 2019「NO SMOKING」FILM PARTNERS

 1947年に、フレッド・アステアに憧れる、ダンスやギャグを愛する父と、洋楽好きのモダンガールの母との間生まれた細野晴臣。父方の祖父はなんとタイタニック号の生還者で、母方の祖父はピアノの調律師。叔母はパラマウント映画で働くキャリアウーマンという、ハイカラな家庭環境でレコードを聴きながら育ったという。そんな細野が大滝詠一や松本 隆と出会い、「はっぴいえんど」を結成。坂本龍一、高橋幸宏らと組んだYMOでは世界を席巻した。その秘話や当時の映像、そして現代の活動までを繋げながら、細野の歩みを辿る。ドキュメンタリーを製作したのは、2001年にNHKの番組「細野晴臣イエローマジックショー」を手がけて以来、細野と親交のある佐渡岳利監督だ。

画像: 佐渡岳利(TAKETOSHI SADO) プロデューサー・映画監督。1990年NHK入局。現在はNHKエンタープライズ・エグゼクティブプロデューサー。音楽を中心にエンターテインメント番組を手掛ける。これまでの主な担当番組は「紅白歌合戦」、「MUSIC JAPAN」、「スコラ坂本龍一 音楽の学校」「岩井俊二のMOVIEラボ」「Eダンスアカデミー」など。Perfume初の映画『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』も監督 PHOTOGRAPH BY SHINSUKE SATO

佐渡岳利(TAKETOSHI SADO)
プロデューサー・映画監督。1990年NHK入局。現在はNHKエンタープライズ・エグゼクティブプロデューサー。音楽を中心にエンターテインメント番組を手掛ける。これまでの主な担当番組は「紅白歌合戦」、「MUSIC JAPAN」、「スコラ坂本龍一 音楽の学校」「岩井俊二のMOVIEラボ」「Eダンスアカデミー」など。Perfume初の映画『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』も監督
PHOTOGRAPH BY SHINSUKE SATO

「YMOがデビューした当時、僕は小学校6年生でした。それまでは、歌謡曲の流行歌をごく普通に楽しんでいて、洋楽・邦楽の区別も意識していなかったから、僕にとって音楽をちゃんと聴くというきっかけとなったのがYMOでしたね。その頃はまだミュージック・ビデオというものが一般的ではなかったので、テレビでYMOを見たのだと思うんですが、『TECHNOPOLIS』だったか『RYDEEN』だったか、それを演奏する3人を初めて見て度肝を抜かれて。なんで彼らは赤い服を着て、あまり動かないんだろう? コンピューターの後ろにでっかい箱があって、ボタンがいっぱいついていて。なんだこれは!? って(笑)。未体験なものに触れた衝撃はすごかったですね。それ以来、細野さんのファンというわけです」

 映画には、ここ数年のワールドツアー・ライブや楽屋の様子など舞台裏も挟み込まれる。ニューヨーク公演では矢野顕子がピアノを担当し、ロンドン公演では5年ぶりに揃ったYMOメンバーによる演奏が映し出されるのも贅沢だ。

画像1: © 2019「NO SMOKING」FILM PARTNERS

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「細野さんは、とにかく音楽が大好きで、それが体から滲み出ている感じ。多くのミュージシャンは自分のスタイルを長く続けていくけれど、細野さんは、“これだな!”と思ったら、それまでやっていたことを躊躇なく変える。2~3年ごとにスタイルが変わるというのは珍しいと思うんですが、“今はここが面白い!”という興味に素直に従って、楽しいことをやる。そこが明確でブレがないんです」

 垣根がないのは音楽だけでなく、人に対しても同じ。ライブの合間には、水原希子・佑果姉妹ら、若い世代と軽やかに語らい、細野の音楽からの影響を公言している星野 源とはライブをともにし、「あとは、よろしく」と飄々とエールを送る。佐渡監督は、そんな星野 源に本作のナレーションを依頼している。

画像2: © 2019「NO SMOKING」FILM PARTNERS

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「基本はシャイなんですが、若い方とお話しされるのがすごくお好きですね。年齢など関係なく、とてもナチュラルに、フラットにお話をされる方です。よく若い人に昔話ばかりする人がいますが、細野さんはそういうこととは無縁。僕と雑談するときは、映画の話とかですかね。細野さんはとにかく映画好きなので、映画にまつわる楽しいお話をしてくださいます」

画像3: © 2019「NO SMOKING」FILM PARTNERS

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 シャイな細野晴臣が好きな映画のために観念し、煙草をくゆらせながらフィルムに納まったドキュメンタリー『NO SMOKING』には、心地よい自由の風がスイングしている。「自由にふれると、心が躍る」という、本作にも登場する細野の言葉通りに――

映画『NO SMOKING(ノースモーキング)』
2019年11月1日(金)より、シネスイッチ銀座、ユーロスペース他全国順次公開
公式サイト

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