ドラマ、映画、K-POP、ミュージカルなど、ますます盛り上がる韓流エンタメ。日本における韓流ブームの立役者で韓流エンタメのスペシャリストである田代親世さんが、さまざまな角度からその魅力をご紹介!今回は政治&選挙を描いたドラマをセレクト。5年に一度の韓国の大統領選挙のドラマチックさはニュースで見ておなじみでしょう。大統領選挙に代表される、選挙や政治の裏ではこんなことが起こっていたのかも…⁉

TEXT BY CHIKAYO TASHIRO

選挙に出るのも女、仕掛けるのも女
『 クイーンメーカー』

 このドラマ、大財閥グループのトラブル処理係として財閥の悪事を隠すことを一手に引き受けてきたやり手の女性ファン・ドヒが、ある出来事をきっかけに良心に目覚めて、この大財閥を相手取り真っ向勝負を仕掛けていくという物語です。

画像: 主人公ファン・ドヒ役のキム・ヒエ。Netflixシリーズ「クイーンメーカー」独占配信中

主人公ファン・ドヒ役のキム・ヒエ。Netflixシリーズ「クイーンメーカー」独占配信中

 その戦いの場はソウル市長選挙。財閥の婿がソウル市長として立候補したので、それに対抗するべく、彼女は、世間に注目されていた女性の人権弁護士を候補に担ぎ上げて、自分はその選挙対策本部長になるのです。

 このドラマは、選挙に財閥がどんな風に絡んで行くのかというところをまざまざと見せていくところが面白くて、大財閥の手にかかれば、市長を辞めさせて、自分の息のかかった人間を新市長に置くことも操作できてしまうんだなあと思いました。選挙の過程では人命も軽んじられるようなし烈な争いで、やらせもありだし、相手の弱みを探してつついて罠にかけるというのも当然のように行われる、凄まじくも恐ろしい戦いが繰り広げられていきます。選挙って怖すぎる!

画像: 人権弁護士オ・ギョンソク役のムン・ソリ。Netflixシリーズ「クイーンメーカー」独占配信中

人権弁護士オ・ギョンソク役のムン・ソリ。Netflixシリーズ「クイーンメーカー」独占配信中

 そんな巨大権力に立ち向かうファン・ドヒもこの財閥の悪事を知り尽くしているところを武器にして戦っていくわけです。そもそもは財閥に対抗してという気持ちが大きかったでしょうが、人権弁護士の志や誠実さに感化され、やはりこういう人物こそが市長になってほしい、心底彼女の真価を証明したいと思っていきます。出るのも女、仕掛けるのも女、そして財閥のトップも女という、女が前面に立った選挙選を描いているところが新鮮でした。

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大統領代行と秘書官たちの絆に胸アツ
『サバイバー: 60日間の大統領』

 これはアメリカドラマの韓国版リメイク作品ですが、なんと韓国の国会議事堂がテロにあい、現職の大統領を始め、主要閣僚がみんな死んでしまうという大惨事から始まります。そんな中ひとり生き残ったのが、テロ当日の朝、大統領から罷免を言い渡されてしまった環境大臣。法律上、ひとり生き残った大臣が大統領代行になるというのが決まりということで、いきなり「あなたが今日から大統領代行です」と言い渡されてしまうところから展開されていくお話です。

画像: 主人公パク・ムジン役のチ・ジニ(一番右)。Netflixシリーズ「サバイバー:60日間の大統領」独占配信中

主人公パク・ムジン役のチ・ジニ(一番右)。Netflixシリーズ「サバイバー:60日間の大統領」独占配信中

 もともとこの環境大臣は、研究者だったところを大臣に抜擢された、きまじめで融通が利かない、政治に似つかわしくない人だったので、そんな彼がテロ直後の大混乱という修羅場に放り込まれて、究極の選択をいくつも強いられていく場面はもう見ている方も胃が痛くなります。

画像: Netflixシリーズ「サバイバー: 60日間の大統領」独占配信中

Netflixシリーズ「サバイバー: 60日間の大統領」独占配信中

 で、この彼を支えていくのが大統領官邸の秘書官たちです。きれいごとだけじゃ政治は進まないことが身に染みている彼らにしてみれば、この大統領代行の存在は、頼りないし、始めは面倒くさい使えない人だな、みたいに思っているんですけれど、大統領代行がまっとうな言動を貫いていくので、なんかこう自分の中の奥底にあった情熱みたいなものが突きうごかされていって、どんどんこの大統領代行を支えて、本当の大統領にしたいと思うようになっていくんですね。この過程、この絆の結ばれ方が胸熱ポイントでした。政治に向かない人が、それでも自分の信じる道をまっすぐに突き進んで行動していくとこんなにも周りを変えるんだなと、とても感動します。

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韓国の大統領選をリアルに描く本格派
『プレジデント』

 この作品は ひとりの国会議員が大統領選挙に臨む過程をリアルに描いた本格的政治ドラマです。選挙に絡んだ権力闘争、あらゆる策略、スキャンダルなどが出てきて、それを支えていく家族や選挙スタッフの熾烈な戦いを見せていきます。もうまさにこれこそが大統領選挙の波乱の道のりを描いている作品です。

 5人の脚本家が投入されていて、その中には10年間国会で補佐官をしていた経歴を持つ脚本家もいるので、とにかくリアル。

画像: 主人公の大統領候補チャン・イルジュン役のチェ・スジョン。U-NEXT配信中。©2011 Feel-LimΣEG Ent. Ltd. All rights reserved.

主人公の大統領候補チャン・イルジュン役のチェ・スジョン。U-NEXT配信中。©2011 Feel-LimΣEG Ent. Ltd. All rights reserved.

 あまり支持率が高くないところからじわじわとのし上がっていく主人公。自分の選挙戦のキャンプの参謀役に新たな人材をスカウトしたり、妻が大財閥の娘なので、その実家の財力で後押ししたり。でもやりすぎて裏目に出てしまったり、うまくいきそうだなあと思うと息子がアチャチャなことをやってしまったり、身内に足を引っ張られて度々危機に陥ります。そんな様々な危機を正攻法で乗り切ることもあるけれど、ある時はスレスレのグレーなラインで乗り切ろうというところもあり。清廉潔白なだけではないところが現実的でした。理念や理想や志はすごくあって、そのためにやはりこの国を変えるんだという強い意思があるのですが、それを実現するためには正義だけ語っていてもやっぱり成し遂げられないというのも重々承知しているので清濁併せ呑んでいるという感じです。

画像: イルジュンの妻役のハ・ヒラ(右)。U-NEXT配信中。©2011 Feel-LimΣEG Ent. Ltd. All rights reserved.

イルジュンの妻役のハ・ヒラ(右)。U-NEXT配信中。©2011 Feel-LimΣEG Ent. Ltd. All rights reserved.

 様々な難関を度胸の良さや知略で乗り越えていくというやりとりも面白く、とても見応えのある人間ドラマになっています。とにかく韓国の大統領選を知りたかったらこのドラマを見ればいいですね。

■U-NEXT配信中

田代親世 韓流ナビゲーター 
韓流解説、韓流イベント司会の第一人者。公式サイト「田代親世の韓国エンタメナビゲート」やYoutube「ちかちゃんねる☆韓流本舗」「韓ドラ・マスター親世と尚子の感想語り」などで韓流情報を発信しているほか、会員制のコミュニティ【韓流ライフナビ】を主宰。ツアーやイベントを企画・開催している。


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